会社を出てすぐホテルへ…「不倫社員」のレッテルを貼られた彼女がとった、驚きの行動とは(後編)
OTONA SALONE / 2024年3月22日 19時1分
ジェクス ジャパン・セックスサーベイ2020によれば、浮気・不倫経験があると答えた男性は67.9%、女性は46.3%。40代女性の32.9%が「特定の人物1人と(現在も)している」と答えています。婚外恋愛は、決して遠い対岸の火事ではありません。
では、過去に不倫を経験した人たちは、その後どんな人生を歩んでいるのでしょうか。
相手との関係や自身の生活の変化について、女性たちのリアルをお伝えします。
【不倫のその後#5】
「私だって大変なの」と彼女は言うけれど
「ね、先に私から『この人がやっていることはコンプライアンス違反です』って、人事に言ってもいいかな?」
アサミは意気込んで言った。私はしばらく考えてから、
「そうだね、やめてほしいときちんと伝えたのにその人がまだ勝手にこだわっているって感じだし、迷惑をしていることは知ってもらったほうがいいかもね」
と慎重に答えた。「その通りよ」となぜかテンションの上がった声で返すアサミは、今や「一方的に攻撃される被害者」の面をかぶっていた。
「隠せるんだね?」
続けて質問すると、「え?」と聞き返したアサミはすぐに意味を理解して
「隠せるわよ。彼のことは誰にも話していないもの。そもそも、ホテルに入ったのが確実に私だったって証拠もないのよ」
と答えたが、語調はかすかに揺れていた。この「お局さま」の状態を第三者を通して問題にするのなら、「噂の真相」について確認されることは必須で、アサミは嘘をつき続けないといけないのだ。
「こっちだって大変な思いをしているのよ」
拗ねた口調でアサミは言うが、それが自業自得だとは思わないのだろうか。不倫はもとより不貞行為であって重い責任がつきまとううえに、噂が流れたのもアサミたちの軽率な行動が原因なのだ。
「ま、いつまでもこのままは嫌だものね」
アサミの気持ちをかわしてこの話題を終わらせるつもりでそう返すと、
「私は何も悪くないのに」
と、今度は暗い調子の声色が返ってきた。
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不倫を正当化する彼女に…
「え?」
またとんでもない言葉が出たぞと思わず聞き返すと、
「だって、彼との関係はもう終わっているし、仕事は一生懸命しているのよ。彼とのことを会社に持ち込んだこともないし、誰にも迷惑をかけてないわ」
と、アサミは着信に出たときと同じ怒りを含ませた声で答えた。
「……」
そういうことではないのだ。アサミは自分の有り様を会社をメインに肯定しているが、そもそも不倫は「してはいけないこと」であり、噂になったのも大多数の人間が不倫はネガティブなことだと受け止めているからなのだ。「誰にも迷惑をかけてない」が本当だとしても、だからといって不倫そのものが「いい」とは絶対にならず、自分たちの浅はかな行動でこうなった事実からアサミは目をそらしていた。
「……とにかく、会社の人に相談してみるのがいいかもね」
アサミが求めているのは「そうだね」という同調だとわかっていても、できるはずがなかった。そんなことをすれば、アサミは今の自分に間違った自信を持ってしまう。「私は何も悪くない」と言い切るが、裏切られた夫や家族についてはどう思っているのか、確認する気にもなれなかった。
「そうね」
そっけない声で返すのは、こちらがどうしても自分の期待に応えないからなのだろう。こうやって窮屈な同意を求めてくるのが苦痛で、最近はアサミからの着信に出るのはためらうことが増えた。
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事実は隠せても…自分からは逃げられない
自分で被害者だと騒ぎながら、こちらが肯定しないとなると一気にテンションが下がるのがアサミで、「そうね」と返した後はどうでもいい世間話に話題は移り、通話は終わった。いつまでこんな電話が続くのだろうかと思いながらイヤホンを外すと、どっと疲れが押し寄せてきた。
不倫を後ろめたくないと思う人は確かに一定数いて、アサミもそのひとりだった。なぜ不倫に走ったのかは忘れたが、チャンスがあれば後先を考えずに飛び込んで後で後悔する、という人は本当に多い。厄介なのは、不倫が問題のある関係だと理屈ではわかっていても、その道に踏み込んだ自分を正当化する姿だった。
その男性との関係は終わっているが、もしまだ続いていたら、アサミは噂についてどう対処しただろうか。アサミの開き直りは「もう終わったこと」「迷惑をかけてない」にあるのを感じるが、不倫が進行中であれば、今と同じような「いつの間にか被害者」の立場をとるのは気持ち的に難しくなるだろう。
第三者を挟めば不倫は絶対に否定せねばならず、自分のしてきたことに嘘をつき続けるのもまた、通常の精神であれば苦痛が避けられない。事実は隠せても、こうやって不倫から新しい問題が生まれたのも確かであって、「その自分」からは逃げられないのだ。
自分がしたことは自分に返る。誰に言うでもなくそうつぶやいてから、スマートフォンをテーブルに置いた。
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