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「梅毒が10年前の23倍」の意外な原因とは?「性感染症は夫婦不仲の病気」という言葉がとんでもなく深いワケ

OTONA SALONE / 2024年3月12日 21時0分

2023 年の国内の梅毒感染報告数は、10 年前の2013 年と⽐較すると、男性約10 倍、⼥性は約23 倍。中でも20 代の⼥性での増加が顕著です。

 

「性感染症のうち梅毒は、男性は50代まで結構感染するいっぽう、女性は20代がピークで30代まで続き、そこから急に減ります。ですが、コロナ禍を経てこのバランスにも変化が見られます」、そう語るのは愛知医科大学 臨床感染症学講座・教授の三鴨廣繁先生。

 

いっぽうで、『【ジェクス】ジャパン・セックスサーベイ2024』によれば、40代女性の27.3%、50代女性の18.0%が「現在不倫をしている」と回答しています。従って、性感染症は全くの対岸の火事というわけではなく、ふとしたきっかけで私たちもリスクを負う可能性がある事象と言えるでしょう。三鴨先生に詳しく伺いました。

 

名前はよく聞くけれど、どんな病気なのかはほぼ知らない…梅毒とは何なのか?

性感染症とは性行為を経由して感染する病気を指します。4大性感染症のうち、女性の場合、統計上の罹患数で圧倒的な1位はクラミジア。離されて2位ヘルペス、3位コンジローマ、4位淋病と続きます。が、三鴨先生の外来での実情イメージは、1位クラミジア、最近ではコンジローマが増え、もう一つが圧倒的に梅毒なのだそうです。

 

「いずれの性感染症も同じように、粘膜の接触で感染が成立します。男性に比べて女性のほうが身体の内部に菌が入るため洗い流しにくく、粘膜の摩擦も高いため感染しやすい傾向があります。中でも梅毒は自然に軽快する時期もあって病気の進行が特殊なため、治療が遅れてしまうことが多く、その間に感染を広げてしまうのが問題です」

 

性感染症は直接は命をとらないものの、やっかいごとを多々巻き起こします。例えばクラミジアは不妊症を引き起こします。梅毒は進行すれば神経梅毒と呼ばれる視覚聴覚の障害、麻痺などを深刻な症状を引き起こし、また母体が感染している場合に胎内の子どもは先天性梅毒を発症することもあります。

 

実際、40代50代女性はどのようなルートで梅毒に感染するのか?

「40代50代女性の梅毒は大きく2つに分かれます。ひとつは出会って付き合った男性から移されるパターン。もうひとつは、知らないうちに旦那がどこかで遊んできて奥さんに移すパターン。レスではないが性交渉頻度は少ないという夫婦の場合は後者が起き得ます。そして、そのまま離婚に直結することも多いというのが外来での印象です」

 

離婚。いや、それはそうですよね、外で勝手なことをしてきたばかりか、家の中にまで迷惑をかけるなと。

 

「奥様はショックを受け、嘆き悲しみます。なので、私は検査結果を伝えるとき、『結果をお聞きになったらもめるかもしれません、これは【夫婦不仲の感染症】なんですよ』と前置きをしてお気持ちを和らげるようにしています。クラミジア、コンジローマも同様で、配偶者のある者にとっての性感染症とは夫婦不仲の感染症です。仲がよければ外で感染してこないですし、仲がよくても感染したなら不仲になります」

 

さらに昨今は、女性が外で男性と盛り上がって罹患というケースも増加しているのだそう。

 

「どちらのケースでも共通するのが、女性は比較的すんなりと梅毒という検査結果そのものを受け入れる点です。そのうえで、私が悪かった、または旦那が外でという話になります。それを経て多くの女性が悩むことは2つ。ひとつは家族に移さないかどうか。もうひとつは自責の念です」

 

こと、家族に移さないかは女性全員が必ず気にするのだそう。食器やタオルを共有していますが大丈夫ですか?お風呂は別にしたほうがいいですか?などもよく聞かれます。

 

「もうひとつの自責の念とは『私がこんなことをしたのが悪かったんだ』と自分を責める気持ち。抑うつに近い状態になりますから、私の外来もときに性感染症外来の範疇を越えてカウンセリングを行うことも。原因は体感比率で男性4:女性1ほどで、つまり約20%は女性の側がきっかけです。女性の側にもリスクのある時代だと認識してもらいたいです」

 

梅毒とはどのような経過の病気?どう発見されるのでしょう?

さて、実際に梅毒はどのような症状が出るのか、その現状を教えていただきましょう。

 

「梅毒は1期~4期と段階が分かれるのが他の性感染症との大きな違いです。感染から10日~3週間ほどの潜伏期間を経て、1期では感染した性器や口などの部位にに赤いしこりやただれができて近くのリンパ節が腫れます。いったん症状が消失してしまうので、治ったかなと誤解しがちです。2期はその後3~12週間くらいの間で、発熱、全身倦怠など全身症状とともに、皮膚に様々なタイプの発疹が現れます。大抵の患者さんはこの2期でおかしいなと気づいて来院します。さらに10~30年かけて心臓や血管、脳が冒される3、4期へと続きます」

 

冒頭では10年前の23倍という数値が提示されましたが、なぜこういうことが起きたでしょう。

「グラフでもわかるとおり、梅毒感染数は2021年から増加に転じました。女性比率の急増も目立ちます。アプリなど出会い方の多様化のほか、大勢の宴会ではなく2人だけで盛り上がる機会の増大など、生活様式そのものの変化が背景でしょう。特にコロナ禍で梅毒とクラミジアは顕著に増加しました。梅毒は潜伏期間があるため、1人の感染者が気づかない間に複数に再感染させているほか、固定パートナーとの間で何度も移しあってしまうピンポン感染も考えられます」

 

もう一つ、三鴨先生は、男女ともどもカップルのターンオーバーの早まりを感じるそうです。カジュアルな出会いの機会が増えたことから、女性の側も過去に比べて「この人と合わなければさっさとあきらめて次を探そう」という身軽さを獲得したのでしょう。

 

「男性側が多数のパートナーを抱えている可能性に加え、女性側が短いスパンでパートナーを変更していくことで、感染リスクが双方で増大しているのではと感じます。パートナーが変わる際、相手にはもしかして複数のパートナーがいるかもしれないと緊張感を持つ必要があるのかもしれません。出会いは慎重に見極める必要があるのです」

 

前編記事では梅毒が急増する背景を教えていただきました。続く後編では「もしかして感染したかも?」と思ったときにとるべき行動をお伝えします。

 

>>>「もしかして梅毒に感染したかも?」婚外恋愛を「するかもしれない人」が知っておくべき対策とは

 

≪OTONA SALONE編集長 井一美穂さんの他の記事をチェック!≫

 

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