「桃鉄教育版」を親子で体験 府中市の親子ら150人参加
OVO [オーヴォ] / 2024年3月11日 11時48分
日本各地を巡るすごろく形式の人気コンピューターゲーム「桃太郎電鉄」の教育版を親子で体験する催しが3月9日、東京都府中市で開かれ、市内の小中学生60人とその保護者約90人が、小中学生の学習用に工夫されたゲームを楽しんだ。
この催しは、府中市立小中学校PTA連合会が任意のテーマを選んで学ぶ「家庭教育学級」活動の一環として開催。連合会では、インターネット・ゲーム依存症の子どもの問題を学ぶ催しを保護者向けに昨年開いたことから、功罪両面含めた広い視野からゲームについて再度考えようと、桃太郎電鉄を販売するコナミデジタルエンタテインメント(東京都中央区)から教育版の無償提供を受け、今回の体験会開催にこぎ着けた。
主催した連合会の村野太郎会長は「昨年のネット・ゲーム依存症に関する催しで学んだ知見を踏まえ、今度はネット・ゲームの肯定的な面も見てみようということになった。今回の体験が、ゲームとの付き合い方について親と子が共に考え、話し合うきっかけになってほしい」と話す。
参加した親子は、会場に設けた15台のパソコンの前に分かれて集まり、教育版に挑戦。地元の関東地方を巡る設定の下、栃木県や横浜市、埼玉県などを巡った。
勝敗は、駒を進めて一定の場所に着くと獲得できる「持ち金」と、鉄道駅に到着すると購入できる「物件の価格」の合計額の多寡で決まるが、この日は主催者から「勝敗にはこだわらずにゲームを楽しんでほしい」との呼びかけがあった。参加した親子は、画面に表示される駅所在地の基本情報や名所、特産品などの説明に視線を向け、各地の地域情報を得ながら、目的地を目指して駒を進めた。
体験したPTA役員の40代女性は「桃鉄ゲームは昔やった。子どもは初めてだが、各地の地域情報がいろいろ表示されるので学習のきっかけにはなるかもしれない」と話す。この女性の小学2年の娘さんは「楽しかったけど、資産がマイナスになっちゃった」とはにかみながら感想を述べた。
ゲーム終了後、「栃木県はイチゴの生産量が日本一、日光東照宮もある」「横浜市で有名なものは赤レンガ倉庫」など、ゲーム中に学んだ訪問地の“ミニ知識”を子どもたちは披露した。
この日の催しの冒頭、講演した東京学芸大附属小金井小学校教諭の小池翔太さんは、コンピューターゲームのことを考える際に重要な点は「ゲームの作り手の目線。ゲームを作る人のことを考えることだ」と指摘。「ほとんどの人がゲームで遊ぶ、ゲームの使い手だが、作り手の目線になるとゲームの豊かな側面を学ぶことができる」と述べ、一例として、ゲームの作り手の思考回路を生活向上のヒントにする「ゲーミフィケーション」の考え方を紹介した。
ゲームの作り手は、達成しやすい小さな目標(スモールステップ)をたくさんゲーム中に設けたり、達成時に褒める場面をつくったりするなど、ゲームで遊ぶ人の意欲を高める工夫を重ねている。この作り手の考え方を生活に応用すれば、生活上の面倒なことがそれほど面倒でなくなるという。
小池さんは「漢字ドリルを5分間やったらお菓子がもらえる」というようなことも「やる気や挑戦意欲を引き出すゲーミフィケーションの一つ」と指摘した上で「作り手の目線になると世の中を見る目が変わる。個人の生き方や社会を変えるヒントになる」と述べた。
桃太郎電鉄の教育版に関して、小池さんは「鉄道駅に到着すると購入できる物件の種類(飲食店、工場、娯楽施設など)と価格を埋める空欄があり、プレーヤーは自由にその空欄に物件の種類や価格を書き込むことができる点は素晴らしい。子どもをゲームの作り手目線にしてくれる」などと学習上の工夫を評価した。
コナミデジタルエンタテインメントの調べによると、桃太郎電鉄の教育版は、西日本を中心に全小学校のおよそ2割で地理の学習などに使われた実績があるという。同社プロモーション企画本部の戸部浩史さんは「予想を上回るペースで教育版を使用する小学校が増えている。われわれには地理の学習などに役立ててほしいとの思いがあり、学校教育機関には教育版を無償で提供している。今後も提供校を増やしていきたい」と意気込む。
「桃太郎電鉄 教育版」の制作を担当する村本なぎささんは「教育版は学校側の意見を取り入れながら改善を重ねている。これからも教育現場の声を聞きながら教育版をより良いものにしたい」と語った。
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