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好印象な人は"アゴ"が20度上向いている

プレジデントオンライン / 2019年2月6日 9時15分

※写真はイメージです。(写真=iStock.com/Bojan89)

初対面の印象をよくするコツはあるのか。カナダの心理学者がアゴの角度と印象の変化を調べたところ、最も印象がいいのは「20度上向き」だったという。また、会話の中で相手の名前を呼ぶと、「もう一度会ってみたい」と思われやすくなるという実験結果もある。好印象を与えられるテクニックを紹介しよう――。

※本稿は、岸 正龍『相手に響く伝え方 人生を変える心理スキル99』(きこ書房)の一部を再編集したものです。

■初対面の印象は「7秒」で決まる

人の印象は、初対面の場合は7秒で決まると言われます。この初対面の印象を軽々しく考えることはやめてください。いったん、印象が決まると、その後は自分が持った印象が正しいことを証明する情報ばかりを無意識に拾い上げるからです。最初に示された特性が記憶に残り、その後の印象を強く左右することを「初頭効果」といいます。

たとえば、ある人が相手に対して「だらしない」という印象を持ったとしましょう。するとその後は相手がどんな言動をしても「やっぱりここがだらしない」と、自分の最初の印象を裏付ける部分に目がいくようになってしまうのです。それも、無意識のうちに(これは「根本的な帰属の誤り」「対応バイアス」とも呼ばれます)。

初頭効果を唱えたのはアメリカの心理学者ソロモン・エリオット・アッシュで、以下のような実験を行いました。

1.被験者をA、B、2つのグループに分ける
2.それぞれのグループに、同じ人物の特徴を単語で伝える
3.その際、伝える順番を以下のように変える

【Aグループ】知的→勤勉→衝動的→批判的→頑固→嫉妬深い
【Bグループ】嫉妬深い→頑固→批判的→衝動的→勤勉→知的

4.その人物の印象に違いが出るかを分析する

ご覧の通り、それぞれのグループに示された単語はまったく同じで、ただ順番を逆にしただけです。ところが、両グループのこの人物への印象は大きく違いました。Aグループの方があきらかに良い印象を持ち「この人物を好意的に受け入れる」という結果になったのです。

■「相手からどう見られたいか」を考えよう

アッシュの実験からもわかるように、誰かと初めて会う場合には、第一印象に気をつけることが大切です。――といっても、自分が考える「キレイな格好」をして、「明るくハキハキ」話せばOKというわけではありません。

まず「相手からどんな印象を持たれたら効果的か」を考えてください。

私は自身の経営する眼鏡ブランドの代表者としてどなたかと会う場合は、金髪を隠しません(はい、私、金髪なのです)。タトゥ柄の入った洋服をザックバランに着て、無精髭を蓄えていることもあります。そしてもちろん、自社ブランドの眼鏡をかけます。

なぜこんなくだけた格好をするのかというと、私のやっている眼鏡ブランドの雰囲気にはこの格好が合っているからです。自分のところで作っている眼鏡を一番魅力的に見せる装いを選んでいるのです。

一方、心理テクニックを日常に活かす講師としての私は、髭を剃り、スーツを着てネクタイを締め、金髪もあまり目立たないよう帽子をかぶります。言うまでもなく、この格好の方が講師としての初頭効果が有効に働くからです。

自分がどんな格好をしたいかという「自分軸発想」ではなく、その時の相手にとって自分がどう見えたら効果的かを考える「相手軸発想」、まずはこれをしっかり身につけるように心がけてください。

■「アゴ」の20度アップで「自信のある人」に

人と会うときに初対面の印象が重要であることは「初頭効果」でお話をしました。良い印象とは「元気」「自信」「親しみやすさ」「優しさ」「頼りになりそう」などのプラスのイメージのことです。

イメージはちょっとした表情や姿勢で大きく変わります。ここで紹介するのは、「アゴ」を使って第一印象をアップさせるテクニックです。

カナダのモントリオールにあるマギル大学で、心理学者のA・マイノルトがこんな実験をしました。

1.アゴの角度をマイナス30度(うつむき加減)からプラス30度(上向き加減)まで10度刻みで変化させたCGを作る
2.それを64人の被験者に見せる
3.感想を聞く

その結果、驚くべきことがわかりました。96.9%(62人)もの人が、アゴをプラス20度の位置に設定した画像に「自信にあふれた快活な人」という好印象を抱いたのです。

英語のネイティブスピーカーが使うフレーズに「Keep your chin up」という表現があります。直訳すると「アゴを上げて」という意味ですが、実際には困っている人や落ち込んでいる人を励ましたいときに「あまりに気にするなよ」とか「前に進もう、がっかりするな」という意味合いで使われます。

まさに「アゴを上げた状態」が、前に進む明るいエネルギーを与えることを表したフレーズだと言えます。

プラス20度というのは、正面を向いた状態から気持ち上を向いた程度。あなたが、人に好印象を与えたいなら「アゴを気持ち上に向けておく」ことを意識してみましょう。

■「30度」上げると尊大な印象になる

ただし、注意してください。マイノルトが行った同じ実験では「アゴを上げる角度が30度になると尊大に見える」という結果も出ています。アゴを上げ過ぎると、目の前の相手を見下すような視線になってしまうからです。

岸 正龍『相手に響く伝え方 人生を変える心理スキル99』(きこ書房)

アゴの上げ過ぎに注意するには練習しかありません。自分なりに20度や30度を意識した姿を写真や動画で撮りましょう。それを自分で見て、好印象を抱く角度かどうかチェックしてください。可能であれば、誰か信頼のおける方にチェックしてもらえると安心です。

私は若いころ、劇団に所属して演劇をしていました。そこでは、自分のアゴの角度を含む表情や立ち姿が観客にどのような印象を与えるか、厳しく指導され、毎日毎日練習をしました。

心理テクニックは読んですぐにできるものではありません。運動と同じく日々の地道な練習が必要なもの。しかしいったん身につけてしまえば、一生あなたを助けてくれるでしょう。頑張って練習してくださいね。

■ざわめきの中で「自分の名前」だけが聞こえる理由

大勢が雑談しているザワザワした状況なのに「自分の名前が入った会話だけが突然聞こえた」という経験はありませんか? これは、イギリスの心理学者コリン・チェリーが提唱した「カクテルパーティー効果」と呼ばれる心理メカニズムです。

チェリーが行った実験をご紹介しましょう。

1.被験者にヘッドホンをさせる
2.ヘッドホンの左右で違う内容を流す
3.話に集中する側を指定する

この実験の結果、被験者は集中するように指定した側から流れてくる情報はよく理解していた反面、反対側から流れてきた情報はほぼ記憶に残っていないことがわかりました。次にチェリーはこんな実験をしました。

1.先ほどと同じように被験者にヘッドホンをさせ、ヘッドホンの左右で違う内容を流す
2.話に集中する側を指定する
3.ただし今度は、集中しない側の音源に被験者の名前を呼ぶ音声を入れる

この実験結果は大変興味深いものでした。集中していない側で自分の名前が呼ばれるとそちらに集中が移り、その(集中しろと指定されていない側の)情報を覚えてしまったのです。

■相手の名前を呼ぶと印象が良くなる

またアメリカでは、男女に15分間会話をさせ、相手の名前を呼んだ場合と呼ばなかった場合で印象がどう変わるか、という実験も行われています。結果は、名前を呼んだ時のほうが「フレンドリー」「社交的」「もう一度会ってみたい」など相手に対して好印象を持った、となりました。

実験から分かるのは、「人は自分の名前を呼ばれると自動反応的に意識がそちらに向く」ということ、そして「会話に相手の名前を入れて話したほうが相手にいい印象を持ってもらいやすい」ということです。

実際私は、コールセンターに電話するときは、必ず相手の名前を言うようにしています。具体的には以下の感じです。

【コールセンター】「お電話ありがとうございます。山田が承ります」
【自分】「山田さんですね、よろしくお願いいたします。実は山田さん、~(以下、用件を言う)」

コールセンターってなにかとクールな対応をされることが多いもの。ところがこうして相手の名前を入れると、びっくりするくらい親身になってくれるのです。やって損はないと思いますので、ぜひ試してみてください。

■名前を呼びすぎると不信感を与える

相手の名前を呼ぶことが効果的だからといって、呼び過ぎは禁物。名前を呼び過ぎた会話は「普通の会話」ではないため「なにか作為があるに違いない」と無意識が注意信号を出し、結果として自分の名前を連呼されることに不快感を覚えるからです。

たとえば、以下の文章を声に出して読んでみてください。

「山田さん、昨日は山田さんにお越しいただき良かったです。山田さんがいないと盛り上がりませんからね、山田さん。本当、山田さん、ありがとうございます」

いやこれ、ウザくないですか? 例文はちょっと大げさですが、「こういう心理テクニックがある」と学ぶと、忠実に実践しすぎる人がいます。

どのテクニックを使う場合にも覚えておいてほしいのは「普通の会話を逸脱すると、相手に不信感や不快感を与える」ということ。相手を観察しながら過剰にならないよう気をつけてください。

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岸 正龍(きし・せいりゅう)
ビジネス心理コンサルタント
株式会社浅野屋代表取締役、一般社団法人日本マインドリーディング協会理事、日本ビジネス心理学会上級マスター。1963年名古屋生まれ。上智大学経済学部卒業。卒業を前に萩本欽一さんの事務所で芸人になるが、コピーライターに転身。その後デザイナーに転職。1996年、地元の名古屋に小さな眼鏡店をオープン。現在は「サブリミナル心理学研究所」主宰として講演やセミナーを小学校から大学、商工会から海外まで多数実施。

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(ビジネス心理コンサルタント 岸 正龍 写真=iStock.com)

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