トヨタ"EVシフトの成否"を分けるキーマン
プレジデントオンライン / 2019年8月12日 15時15分
■EV巻き返しの舵取り役
すべての人に移動の自由を届ける「モビリティ・カンパニー」を目指して大きくハンドルを切り始めたトヨタ自動車が、遅れている電気自動車(EV)の商品化を加速する。
同社の先進技術開発カンパニーなどを統括する寺師茂樹副社長は2019年6月7日、東京での説明会で「世界各地で電動車への期待が高まっている。我々もこれに応えるべく準備を急がなければならない」と強調。2030年までに新車販売に占める電動車の割合を約半分の550万台以上とする当初目標を「5年ほど前倒しで、25年には達成できそうだ」と意気込む。
トヨタはお家芸のハイブリッド車(HV)では大きくリードしているが、急激なEVシフトを進める欧州や中国などの世界市場からは取り残される危機感をもつ。そのEVを強化する取り組みの舵取り役である。
神戸大学大学院工学研究科を修了後、工販合併2年前の旧・トヨタ自動車工業に入社。08年にモデルチェンジした13代目「クラウン」の開発責任者を務めたエンジニアだが、米国のトヨタテクニカルセンター出向や北米トヨタ社長などの海外経験も豊富。専務役員で取締役就任後は、会長、社長を交えて重要な経営方針を議論する戦略副社長会の事務局長なども務めた。
次世代移動サービスやシェアリングなど新しいビジネスモデル展開のためには、車載用電池の安定的供給とともにEV普及がカギ。スピードを上げて巻き返しを図れるか。就任10年の豊田章男社長の右腕として寺師氏が担う役割と責務は大きい。
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トヨタ自動車副社長
1955年生まれ。80年、神戸大学大学院工学研究科専攻修了後、トヨタ自動車工業入社。専務役員などを経て、2017年、取締役・副社長に就任。
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(経済ジャーナリスト 福田 俊之 写真=時事通信フォト)
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