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衝撃の真実…科学データが示した人類最強の飲料は「水道水」だった

プレジデントオンライン / 2020年7月25日 11時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/taa22

水分を取ると心筋梗塞や脳梗塞の発症リスクを下げる。そして免疫機能を正常化させて感染症の回復にも役立つのだ。

■科学データが示した最強の飲料は「水道水」だった

感染症の予防や、感染してしまったときの回復に役立つのが、水の摂取。「ウイルス感染症は脱水を改善すると良くなることが知られている」と、総合内科専門医の大和田潔氏(秋葉原駅クリニック院長)が言う。

「まず感染すると発熱、下痢や嘔吐などによる脱水を起こすので、水分摂取は重要です。次にこのような強い症状がなくても、感染症のときは『血管内脱水』が起こります。感染症によって炎症を起こした組織のほうに水分が行ってしまい、血管内が水分不足になり、血液成分が濃くなります。特に具合が悪いときは意識して水分を摂取したほうがいいでしょう」

感染症にかかっていなくても、私たちの体から出ていく水分は一日におよそ2.5リットルとされる。尿が1.4リットル、便が0.1リットル、呼吸、発汗による皮膚からの蒸発がそれぞれ0.5リットルだ。一般的に1.3リットルほどは食事などから得られるが、残りの1.2リットルは飲料で補給しなければならない。加齢に伴って体内の保水能力が低下するため脱水になりやすい。

医学博士で管理栄養士の井上正子氏(日本医療栄養センター所長)によると「のどが渇く、尿が減る、皮膚がカサカサになるなどの症状が現れたら脱水のサイン」という。

「人の体の約60%が水分です。“のどの渇き”を感じたときは、すでに体内水分量の1%が喪失され、血液粘度が高まっている状態なので、のどが渇く前に飲みたいですね。適宜水分を取ることで血液粘度を下げ、血栓や血管の詰まりを予防し、心筋梗塞や脳梗塞の発症リスクを低下させます。また、痛風や尿路結石も水を適切に取ることで発症を防げるとされますし、膀胱炎も水分を十分に補給すると、尿道や膀胱に増殖する細菌を洗い流すことができ、予防・治療に役立ちます」

井上氏が飲み物で一番お勧めするのは「水」という。「カフェインを多く含むものは尿の量を増やし体内の水分を排泄してしまいますし、砂糖を多く含むものは吸収までに時間がかかります」とのこと。

飲んだ水はわずか30秒で血液に入り、1分で脳と生殖器に達し、10分で皮膚組織に、20分で肝臓や腎臓に届く。血液の82%は水でできており、その血液が体をめぐりながら全身の細胞に栄養分と酸素を運搬しているのだ。逆にいうと水分不足で血液循環が悪ければ、体のすみずみまで栄養や酸素が行き渡らず、細胞の新陳代謝が悪くなって免疫細胞の機能低下を招きやすくなる。

「水分を取ることで血液の流れをスムーズにしたり、汗となって体温の上昇を防いだり、活性酸素を消去する酵素の働きを活発にして免疫機能を正常化させます」と管理栄養士の望月理恵子氏が補足する。女性が気にしやすい「むくみ」も、水分の取りすぎが原因でなく、代謝が悪くなった状態。普段からこまめに水分を摂取する人ほど、むくみにくい体質になるようだ。

■水道水は厳格な基準を満たす

それでは、どのタイミングで水を飲めばいいのか。

井上氏は「1度に飲む量はコップ1杯弱(150ミリリットル)」を勧める。

「たくさん飲むと、体の水分量を一定に保とうとする生理作用により、せっかくの水分があっという間に排出されてしまいます。飲むタイミングと量を工夫すると、効率的に吸収されるでしょう」

「水分摂取タイムテーブル」を示したので参照してほしい。水の温度は、この時期なら常温より少し冷たいくらいの10~15度が適している。口に含んでのどを通り、胃に入るときにちょうど常温になるため、体に負担をかけずに飲むことができるだろう。

水分摂取タイムテーブル

「水道水」と「ミネラルウオーター」は、どちらがいいのだろう。

意外と知らない人が多いのだが実は水道水は、1日2リットル、100年飲み続けても人の健康に影響を生じないとする51項目の水質基準(水道法)をクリアしている。食品衛生法で安全性を確保した「ミネラルウオーター」とは安全性の保証レベルが違うといっていい。したがってコストが低いことと品質の安定性からいえば水道水がいいが、機能的な面を追求するなら市販のミネラルウオーターも利用しやすい。

しかし一口にミネラルウオーターといっても玉石混交。再び井上氏に解説してもらった。

■硬水のほうが、さまざまな効用を期待できる

「市販のミネラルウオーターの場合、『ナチュラルミネラルウオーター』と表記されているものが天然ミネラルを含む天然水。私たちが抱いている天然水のイメージに最も近い水です。ほかに特定水源から汲み上げられた地下水で、手を加えない『ナチュラルウオーター』や、ミネラル分を人工的に調整した『ミネラルウオーター』、本来の成分を大きく変化させる処理を行った『ボトルドウオーター』もあります。選ぶ際にラベルで確認しましょう」

ウオーターサーバーには、原水の本来の成分を大きく変化させる処理を行った「ボトルドウオーター」が多いので気をつけよう。

そしてカルシウムとマグネシウムの量が多いほど硬度の高い水だ。望月氏が「硬度101以上の中硬水や硬水」の効用を挙げる。

「日本人は硬度が低い軟水に慣れ親しんでいますが、基本的にはふんだんにミネラル成分を含んだ硬水のほうが、さまざまな効用を期待できます。ミネラルには歯や骨の主成分となるカルシウム、体内の水分バランスや血液の量を維持するナトリウム、ナトリウムとともに血圧を正常に保ったり、筋肉の働きを良くするカリウム、そして何より体内の免疫機能や感染防御に重要な役割を担う白血球の力を高めるマグネシウムがあります」

また、男性のがんトップ3に入る大腸がんの予防にもミネラル摂取が役立つという。

「マグネシウムやカルシウムを多く摂取する男性は、少ない男性と比べて大腸がん発症リスクが低いという報告があります。特にカフェインやアルコール、タバコはカルシウムの吸収を阻害するので、コーヒーやお酒が好きな方は普段からミネラルが高い水を取りたいですね」(同)

ただし硬水は腸を刺激するため、おなかが弱い人は注意を。

図に入手しやすい市販のナチュラルミネラルウオーターの中から「代謝促進」「骨強化」「抗肥満」につながるものを挙げたので目的別に参考にしてほしい。

入手しやすい目的別のミネラルウオーター

なお筆者は、水ばかりでなく、日中はカフェイン入りで抗酸化作用のある緑茶やコーヒーで覚醒を高め、夕方以降はノンカフェインのハーブティーなどでリラックスする方法を提案したい。メリハリのある飲み方と、飲み物を選べば、サーカディアンリズムもきれいに描けるだろう。

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笹井 恵里子(ささい・えりこ)
ジャーナリスト
1978年生まれ。「サンデー毎日」記者を経て、2018年よりフリーランスに。著書に『週刊文春 老けない最強食』(文藝春秋)、『救急車が来なくなる日 医療崩壊と再生への道』(NHK出版新書)など。

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(ジャーナリスト 笹井 恵里子 図版作成=大橋昭一)

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