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いつの間にかお菓子を食べすぎてしまう人に教えたいシンプルな解決策

プレジデントオンライン / 2020年11月4日 15時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Milatas

小腹が空くと、なぜ甘いものに手が伸びてしまうのか。生活習慣病・循環器系のエキスパートである池谷敏郎医師は「糖質をとると、脳が快感を得てしまう。糖質の依存性は麻薬よりも強いという研究結果もある。小腹が空いたらまず水を飲むのがいい」という――。(第1回/全2回)

※本稿は、池谷敏郎『代謝がすべて やせる・老いない・免疫力を上げる』(角川新書)の一部を再編集したものです。

■ニコチン中毒と仕組みは同じ

「小腹が空くとつい甘いものに手が伸びてしまう」
「ちょっと空腹を感じると何かをお腹に入れなければ落ち着かない――」

そんな人がいると思いますが、そういうときにこそ、ぜひ体を動かしてほしいと思います。

そもそも、小腹が空くといつも甘いものを食べてしまうのは、「糖質中毒」かもしれません。というのは、糖質は、タバコのニコチンと同じように依存性が強いのです。

喫煙者は、体内でニコチンが切れると、すぐにタバコをほしがりますよね。そうした反応がなぜ起こるのかと言うと、タバコを吸うとニコチンが脳の前頭葉のあたりにある「報酬系」という回路をダイレクトに刺激し、「ドーパミン」という神経伝達物質が放出されます。

そうすると、脳は快感を得られるので、そのうちにニコチンが切れてくるとイライラするようになり、すぐにタバコを吸いたくなってくるのです。

じつはこれと同じような反応が糖質でも起こるのです。糖質をとると、脳が快感を得てしまうのです。糖質の依存性は麻薬よりも強いという研究結果さえあるほどです。

■むやみに欲求を刺激してはいけない

しかも、ドーパミンが出ると、摂食中枢が刺激され、「もっと食べよう!」というシグナルが出されてしまうので、止まらなくなってしまう。クッキー1枚、ポテトチップス3枚でやめようと思っていたのに、気づいたら箱ごと、袋ごと食べてしまった……なんてことありませんか。糖質というのは、十二分に満たされるまでほしくなってしまうものなのです。

私も、恥ずかしながら、コーヒーのお供に少しだけと思って買ったアーモンドチョコを気づいたらひと箱食べてしまった、ということがつい近年までありました。

美味しいからこそ食べてしまうのですが、糖質は依存をつくるとわかっているはずの自分でも失敗してしまうのですから、それだけ常習性があるということでしょう。最近は、これまでの反省をもとに、安易に「最初の1個」に手を出さないように気をつけています。つまり、欲求をむやみに刺激しないようにしているのです。

禁煙中のタバコと同じですね。「1本ならいいかな」と思って、飲みの席などで1本吸ってしまうと、それまでの禁煙が台無しになってしまいます。糖質も最初の一口が肝心です。一口、甘いものを食べてしまうと、脳が喜んでもっと欲してしまうということを肝に命じておきましょう!

■小腹が空いたらまず水を飲む

そこで、小腹が空いたときに、甘いものに手を伸ばす代わりにおすすめしたいのが、体を動かすことなのです。

「え? お腹が空いたときに運動がいいの?」と不思議に思うかもしれませんが、「いい」理由がちゃんとあります。

ウォーキングなどの運動を行うと、食欲を増やすホルモンである「グレリン」の分泌量が減り、逆に食欲を抑えるホルモンである「ペプチドYY」の分泌量が増えるのです。思えば、学生時代の体育の授業後、給食の際に意外と食欲が減退していたような記憶があります。

1日3回の食事をとって栄養が足りているのであれば、食事と食事の間の中途半端な時間に空腹を感じたときには、まずは水を飲んでちょっと我慢してみること。そして、とりあえず体を動かしてみることです。

空腹を感じたときというのは、「(エネルギーの)備蓄倉庫のシャッターがガラガラと上がり、在庫が運び出されはじめたところ」です。空腹は、体内の備蓄を減らすチャンスと考えるべきなのです。

私は、来院する患者さんには、体を粘土人形に見立てて、こんな風に説明することがあります。

空腹感が今、粘土でつくられた体を少しずつ削り取ってくれようとしているのに、甘いものを食べるということは削り取ってくれている手を止めて、新たな粘土をくっつけるようなものですよ、と。せっかく削り取られようとしているところに、新たな粘土(脂肪)をくっつけるのは嫌ですよね。

ちょっとお腹が空いたなと思ったら、そんな風にイメージしながら、体を動かしてみてください。前向きな気持ちで体を動かせるのではないでしょうか。

そのときに家の中を掃除したり、仕事机を片付けてみたり、掃除ついでに体を動かすこともおすすめです。そうすれば、体とともに家(机)もきれいになって一石二鳥、さらに家族や同僚に好感を持たれたなら一石三鳥です。

■筋肉を“無駄”に動かして代謝UP

活動代謝を高める方法は、何もスポーツジムに行ったり、ランニングをしたり、ゴルフやテニスといったスポーツをしたりといった運動だけではありません。家にいながら、あるいは仕事中の隙間の時間にできることもたくさんあります。

そもそも、もともと運動をする習慣のない人、スポーツが好きではない人にとっては、「筋肉を使いましょう」「運動をしましょう」と言われても、スポーツジムに行ってマシーントレーニングを行ったり、ランニングをしたりといったことは、ちょっとハードルが高いですよね。ハードルが高いからこそ、「今日は雨だから」「寒い(暑い)から」「忙しいから」など、できない言い訳をすぐに思いついてしまいます。

でも、家でテレビや動画を見ながらできる運動や、仕事中に席に座りながらできる運動であればどうでしょうか。そのくらいなら「やってみようかな」という気になりませんか。

私自身、新型コロナウイルス感染症が流行した際に、せっかく入会したスポーツジムに通えない日々が続き、わざわざ着替えてジムなどにいかなくても家でできる運動の重要性を実感しました。

ポイントは、「筋肉を“無駄に”動かすこと」と「筋肉にちょっと負荷をかけること」です。

ここからは、家の中でも仕事の合間にもできる、そして運動嫌いな人にもできるエクササイズを紹介します。

■「コサック体操」で血行を促進させる

①椅子に浅く腰かけ、お腹を凹(へこ)ませるようにグッと下腹に力を入れます
②体を安定させるために、両手で椅子の両端をつかみます
③両足を少し床から浮かせます
④その状態のまま、リズミカルに左右の脚を交互に伸ばします

この動き、何かに似ていませんか。

そう、コサックダンスです。しゃがんだ状態のまま、左右の脚をリズミカルに交互に伸ばすのが、本物のコサックダンス。うかつにやろうとすると膝を痛めてしまいそうな動きですが、座った状態で行えば、適度な負荷で、下半身の筋肉と腹筋を使えます。

もし前述のやり方では「ややきつい」を超えてしまうときには、椅子に深く腰かけて背もたれを使いましょう。そうすると、少し楽に行えるようになります。

座りっぱなしで疲れたなと思ったときや、仕事中の気分転換などに、ぜひやってみてください。体を動かすと血流も良くなるので、スッキリするはずです。

■「妄想ドローイン」で姿勢は改善できる

もうひとつ、生活のなかでこっそりとできるエクササイズを紹介しましょう。

池谷敏郎『代謝がすべて やせる・老いない・免疫力を上げる』(角川新書)
池谷敏郎『代謝がすべて やせる・老いない・免疫力を上げる』(角川新書)

「ドローイン」という体幹トレーニングはご存知でしょうか。

お腹を凹ませた状態をキープしながら呼吸を続けるというものです。お腹のいちばん奥にあり、内臓全体をコルセットのように包み込んで守っている「腹横筋」や「腹斜筋」を鍛えるトレーニングです。

通常は、膝を立てて仰向けに寝た状態で行うことが多いのですが、このドローインをいつでもどこでも咄嗟にやろうということで考案したのが、「誰かが自分のお腹を見ている!」と勝手に妄想することです。

たとえば、会社内にいるときに「みんなが自分のお腹を見ている!」と妄想するのです。そうすると、咄嗟にグッとお腹を凹ませますよね。外出先でも「お腹を見られている」と思いながら歩くと、お腹を凹ませて腹横筋や腹斜筋を使いながら歩くことになります。

気が抜けると元に戻るので、鏡やガラスに自分の姿が映ったときには、必ずグッとお腹を凹ませる。そう習慣づけるのもいいですね。

自分の姿が映ったときに髪形を気にする人は多いですが、みなさん、お腹は無防備です。でも、中高年になってくると、シルエットで見た目の若さが変わります。薄くなった髪を一瞬で変えることはできませんが、ポッコリと出っ張ったお腹を一瞬で凹ませることは可能です。

■お腹がへこむだけで印象は大きく変わる

お腹の奥の筋肉を使ってグッと凹ませるだけで、ぽっこりお腹が一瞬で薄くなり、姿勢がよくなり、シルエットが若返ります。たったそれだけのことでびっくりするほど印象は変わるので、ぜひ一度、鏡の前で試してみてください。

下腹部の力を抜いて背もたれにもたれかかって座った状態と、お腹をグッと凹ませて背もたれを使わずに座った状態を見比べたら、無防備なお腹を見られることに危機意識が芽生えるかもしれません。ちなみに、ダイエットのビフォー・アフターの写真でもこの手法がよく使われています。

私は、外来診察中、あえて背もたれのない椅子に座っています。背もたれがなければ、当然、背もたれに寄り掛かれないので、姿勢を維持するために常に筋肉を使うことになります。それだけでも、ずいぶんとエネルギーを使うので活動代謝が上がっているはずです。

まずは、「お腹を見られている!」という妄想と、鏡などで自分の姿を見たらグッとお腹を凹ませるという習慣づけからはじめてみましょう。

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池谷 敏郎(いけたに・としろう)
池谷医院院長、医学博士
1962年、東京都生まれ。東京医科大学医学部卒業後、同大学病院第二内科に入局。97年、医療法人社団池谷医院理事長兼院長に就任。専門は内科、循環器科。現在も臨床現場に立つ。生活習慣病、血管・心臓などの循環器系のエキスパートとして、数々のテレビ出演、雑誌・新聞への寄稿、講演など多方面で活躍中。東京医科大学循環器内科客員講師、日本内科学会認定総合内科専門医、日本循環器学会認定循環器専門医。著書に『50歳を過ぎても体脂肪率10%の名医が教える 内臓脂肪を落とす最強メソッド』(東洋経済新報社)、『「末梢血管」を鍛えると、血圧がみるみる下がる!』(三笠書房)、『血管を強くして突然死を防ぐ!』(PHP文庫)などがある。

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(池谷医院院長、医学博士 池谷 敏郎)

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