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「小学5年で英検2級合格」フィギュア宮原知子のすごい英語勉強法

プレジデントオンライン / 2021年4月2日 11時15分

フィギュアスケート選手の宮原知子氏 - 撮影=原貴彦

フィギュアスケート選手の宮原知子さんは英語が堪能だ。多忙でストイックな練習生活の間を縫って、どのように勉強を続けてきたのか。イーオンの三宅義和社長が聞いた——。(第3回/全3回)

■「できるだけ自分の言葉で話したい」

【三宅義和(イーオン社長)】宮原さんといえば、英語が堪能で、海外でのインタビューも英語で受けられていますね。

【宮原知子(フィギュアスケート選手)】通訳の方にお願いすることもできるのですが、「できるだけ自分の言葉で話したい」という気持ちがあるので、頑張って英語で受け答えするようにしています。

【三宅】そうすると、国際大会に行かれても、心に余裕が生まれますよね。

【宮原】そうですね。もちろん試合での緊張はありますけど、国際大会は小学生のときから出ていますし、もともと海外に行くことに関しては楽しみのほうが大きいので、「この試合なら、この選手が出場するはずだから、お話しできたらいいな」とか、そういうことを考えています。

【三宅】「話したい」という願望があると、英語は伸びますよね。

【宮原】それは強く思います。

■幼少期の海外生活が与えた影響は大きい

【三宅】宮原さんは4歳から2年間、アメリカにお住まいでしたね。

【宮原】はい。現地の幼稚園と小学校を1年ずつ経験しています。一応、帰国子女ということになるのでしょうが、小学1年生レベルですから語彙力は限られますし、ちゃんとした英語力を身につけたのは日本に帰ってからです。

【三宅】そうはいっても、実際に海外に住み、現地の子どもたちと一緒に過ごす経験をされたことは、いろいろプラスに作用したのではないですか?

【宮原】影響は大きいと思います。たとえば、耳が慣れていたので、日本に帰っても英語に対する抵抗感はほとんどありませんでしたし、日本にいても外国に対して自然と意識が向くようになりました。

私はいまでも異国の地に行ったり、外国の人と話したりすることが好きなのですが、それは幼少期の影響かなと思います。

■リスニング力向上に、ディクテーションはすごく効果的

イーオン社長の三宅義和氏
撮影=原貴彦
イーオン社長の三宅義和氏 - 撮影=原貴彦

【三宅】帰国後、英語をどうやって勉強されましたか?

【宮原】小学4年生までは英会話スクールに通い、そこから茅ヶ崎方式英語会に変えました。

【三宅】英語のニュースを聴いて書き取りの訓練をする学校ですよね。英語学習の世界で、ディクテーションはあまり注目されていませんが、実はリスニング力をつけるのにディクテーションはものすごく効果的です。なぜなら、相当集中して聴かないといけないから。

【宮原】本当にそうですね。そこで徹底的にリスニング力を鍛えました。会話と違ってニュースなので、出てくる単語は難しいですし、初めて聞く固有名詞も多くて、毎回大変な思いをしていた記憶があります。

【三宅】スケート中心の生活を送られながら、英語を勉強する時間をしっかり確保されていたのは素晴らしいと思います。

【宮原】少しずつでもいいから継続することが大事だと思ったんです。

【三宅】そして小学5年生で英検2級に合格されました。

【宮原】正直、文法はかなり怪しいレベルだったのですが、「こんな表現、しないよな」とか、「この表現なら、聞いたことがあるな」みたいな感覚重視で解いていったら、なんとか合格できました。

【三宅】まさにネイティブの感覚ですね。

■大学では「英米文学」を学んでいる

【三宅】関西大学では英文学を学ばれています。

【宮原】「英語のコミュニケーション能力をもっと高めたい」という気持ちで、英米系の専修に進んだのですが、選べるテーマが「英米系文化」と「英米文学」「英語学」の3つがあって、私は本を読むことが好きなので、「やっぱり英米文学にしようかな」と思って、そちらに決めました。

【三宅】どんなことを勉強になられたのでしょうか?

【宮原】昔の文学作品を原文で読みながら、日本語に翻訳されたものと比較していろんなテーマ分析をしたりしていました。自分が原文を読んだときに得た印象と、翻訳されたものを読んだときに得た印象が異なる箇所に遭遇すると、つくづく「言語って奥深いな」と思いましたし、「翻訳って大変なんだな」と思いましたね。

【三宅】映画で英語を勉強されることはありますか?

【宮原】あります。英語の映画は基本的に英語だけで観るようにしていますが、たまに字幕をつけることもあります。字幕があったらあったで、自分が理解した英語との違いに気づくことができるので、「なるほど。そういう解釈もあるんだ」みたいな発見もあり、すごく勉強になります。

■英語力を高めれば、TOEICのスコアも上がる

【三宅】そういえばTOEICの個人授業を受けようとしたら、先生に「あなたは授業を受けなくても800点くらいは取れるよ」と言われたそうですね。それだけ生きた英語を身につけられているということだと思います。これは英語学習者にとって本質を突くアドバイスだと思っていて、TOEICのスコアアップを目的に英語を勉強するのではなく、純粋に英語力を高めていけばTOEICのスコアは上がる、ということですからね。

フィギュアスケート選手の宮原知子氏
写真=Getty Images
「オールジャパン メダリスト・オン・アイス 2019」での宮原知子さん - 写真=Getty Images

【宮原】そうですね。ただ、自分の実力を客観的に把握しておくことも大切かなと思って、TOEICの勉強をはじめたのですが、去年はコロナの影響で試験を受けられなかったので、今年はなんとか受けたいと思っています。

【三宅】ぜひがんばってください。ちなみにリスニングとリーディングではどちらが得意ですか?

【宮原】やはりリスニングのほうが好きですね。最後の長文問題が少し苦手で、時間に追われるとどうしても焦ってしまう自分がいて。

【三宅】大丈夫です。あそこはみんな焦ります(笑)。

■英語表現はとにかく真似して覚える

【三宅】宮原さんは『宮原知子の英語術』(KADOKAWA)という本を出されていますね。宮原さんのお人柄がよく伝わってくる素敵な本だと思いました。どういった経緯で出版に至ったんですか?

【宮原】本を出すことが当初の目的ではなく、私の英語力を生かせるものはないかといろいろアイデアを出し合っているときに、「本を作ったら面白そうだね」ということになって、始まった企画です。

【三宅】最後の章にさまざまなシーンで役に立つ表現が載っていますけれども、こういう表現はどういうタイミングで学ばれていったものですか?

【宮原】外国の方が使っているのを聞いて、それを真似しているうちに使えるようになったものがほとんどですね。「こういう場面だとよく聞くな」という表現があれば、意識的に自分からも使うようにして、自然と覚えられるようにしています。

■失敗を恐れずに、英語でどんどん話しかけている

【三宅】いまカナダでは、どのようなかたちで英語の勉強をされているんですか?

【宮原】とくに決まったルーチンがあるわけではないですが、家にいるときは英語の小説を読むようにしているのと、外に出るときはソーシャルディスタンスを保ちつつも、なるべく英語で会話をする機会を増やすようにしています。

【三宅】いい心がけですね。

【宮原】根底には、やはり「海外の選手ともっと話がしたい」という思いがあります。リスニングは得意なので、相手の言うことはだいたい聞き取ることができるのですが、いざ自分がしゃべる番になったとき、言いたいことがパッと出ないのが本当に嫌で。

これはもう自分からどんどん話しかけていって、場数をこなすしかないと思うようになりました。

【三宅】文法や単語、発音が多少怪しくても、ガンガンいくわけですね。

【宮原】そうです。私のかつての競技スタイルではないですが、英語でパーフェクトを目指して減点を気にしていたら、いつまでたっても話しかけることができませんし、失敗を恐れて話しかけなかったことを後悔したくないんです。そこはもう失敗する前提でチャレンジしていくしかないのかな、と思っています。

【三宅】それに、会話では相手も一生懸命意味を理解しようとしますから、完璧な英語でなくてもけっこう通じますからね。

【宮原】本当にそうなんです。

【三宅】では、スピーキングもだいぶ慣れましたか?

【宮原】そうですね。私は基本的に寡黙なタイプなのですが、ようやく最近、自分から英語で話しかけることに対して、抵抗がなくなった気がします。すると面白いことに、日本語で話をしているときも、「ここはちょっと自分の意見を入れてみようかな」と思えるようになったんです。

■引退後の夢は、スポーツドクター

【三宅】宮原さんはまだお若いですが、選手生活が終わったあとのことは考えていらっしゃいますか?

【宮原】いまはスポーツドクターに興味があって、時間がかかってもいいのでしかるべき勉強をして、スケート界やスポーツ界に貢献できれば良いなという夢はあります。

【三宅】ご両親もお医者様でいらっしゃいますからね。宮原さんの真面目さとストイックさがあれば、どこの医学部でも行けるような気がします。

【宮原】陸上競技に詳しいスポーツドクターは大勢いるのですが、フィギュアスケートという、「靴を履いて氷の上を滑る」という特殊な世界に詳しいスポーツドクターが少ないんです。その点、スケーター出身であれば、選手にしかわからない微妙な足の使い方とかもわかるので、私なりに貢献できることはあるのかなと思います。

まだ具体的なことは考えていないですが、引退したら、どの道、海外留学したいという気持ちがあるので、何らかのかたちで勉強をやり直したいと思っています。

■「前向きな気持ちを忘れないこと」が成長のためには大切

【三宅】最後に、英語学習者、あるいは海外への挑戦を含めて目標に向かって頑張っている読者へメッセージをお願いいたします。

三宅 義和『対談(5)! プロフェッショナルの英語術Ⅱ』(プレジデント社)
三宅 義和『対談(5)! プロフェッショナルの英語術Ⅱ』(プレジデント社)

【宮原】スケートや英語に限った話ではなく、何事も嫌々やるより心の底から「やりたい!」という強い思いを持って、なおかつできるだけ楽しんでやったほうが、早く上達できると思います。どうやるかという話も大切なんでしょうけど、それよりもいかに前向きな気持ちを忘れないかが、成長においては大事と思います。

【三宅】たしかにスケートも英語も、宮原さんご自身が自分からやりたいと思ったもので、それが成果につながっている感じはしますね。本日はありがとうございました。

 

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三宅 義和(みやけ・よしかず)
イーオン社長
1951年、岡山県生まれ。大阪大学法学部卒業。1985年イーオン入社。人事、社員研修、企業研修などに携わる。その後、教育企画部長、総務部長、イーオン・イースト・ジャパン社長を経て、2014年イーオン社長就任。一般社団法人全国外国語教育振興協会元理事、NPO法人小学校英語指導者認定協議会理事。趣味は、読書、英語音読、ピアノ、合氣道。

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宮原 知子(みやはら・さとこ)
フィギュアスケート選手
1998年、京都府生まれ。フィギュアスケート選手で種目は女子シングル。幼少期を過ごしたアメリカでスケートと出合う。帰国後に本格的にフィギュアスケートを始め、国内外の大会で活躍。2014年から2017年にかけて全日本フィギュアスケート選手権4連覇を果たし、2015年には世界選手権2位となる。2018年の平昌オリンピックに出場し、個人戦で4位、団体戦で5位と入賞を果たす。

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(イーオン社長 三宅 義和、フィギュアスケート選手 宮原 知子 構成=郷和貴)

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