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野口悠紀雄「大学学部レベルの勉強は独学で可能」これから生き残れる人だけがやっていること

プレジデントオンライン / 2021年6月21日 11時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Alina Rosanova

『「超」勉強法』など、“学び”に関する幾多の著作で知られる野口悠紀雄一橋大学名誉教授は、「コロナ禍、そしてAI時代のいま、『独学』ほど重要なものはない。大学で学ぶ機会のなかった人も、学部レベルの勉強は独学でも十分可能。勇気をもって一歩を踏み出そう」とエールを贈る。多くの人に独学のすばらしさを伝えるべく、このたびセブン‐イレブン限定書籍『人生を変える「超」独学勉強法』を刊行。自身の体験を通して語る「人生の可能性を切り拓く極意」とは──。(第1回/全3回)

※本稿は野口悠紀雄『人生を変える「超」独学勉強法』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。

■「独学」があなたの無限の可能性を拓く

独学によって、無限の可能性を拓くことができる。これをできるだけ多くの方に知っていただきたいと願って、今回『人生を変える「超」独学勉強法』を書いた。

技術進歩が加速化している。つねに新しい知識を吸収していかなければならない。また、人生100年時代といわれるように、働ける期間も長くなっている。学生時代に勉強したことだけで仕事を進めるのは、困難になりつつある。このため、社会人になっても勉強を続けることが必要と、多くの人が認識するようになった。

ただし、そう思ってはいるものの、「いったい、どうやって勉強を進めたらよいのか、その具体的な方法が分からない」と考えている人が多い。そうした方々に対して、独学こそが最も効率的な勉強法であると指摘したい。

それだけではない。独学はなにより楽しいものである。ぜひとも独学の素晴らしさを実感していただきたい。

■飛躍的に改善された「学びの環境」

独学を進めるための条件は、10年前、20年前に比べれば、飛躍的に改善された。その時代には想像もつかなかったほどさまざまな手段を、いまは簡単に利用することができる。

野口悠紀雄『人生を変える「超」独学勉強法』(プレジデント社)
野口悠紀雄『人生を変える「超」独学勉強法』(プレジデント社)

とくに、検索技術を駆使してウェブから情報や知識を引き出すことができる。これによって、一昔前とは比べものにならないほど効率的に独学を進めることができるようになった。

このような条件変化を、最大限に活用すべきだ。

新型コロナウイルスの感染拡大で在宅勤務が広がり、自由に使える時間が増えた。この時間を無為に過ごしてしまうか、それとも勉強にあてて能力を高めることに使うか。

このどちらかによって、コロナ後の世界におけるあなたの地位は、大きく変わるだろう。

■「独学」に適しているのは誰か?

独学を進める人として想定しているのは、学校教育を終えて仕事についている方々だ。独学を進めることによって、さらに能力を高め、新しい可能性を切り拓いていただきたい。日本の未来は、そうした人たちの努力によって作られていくだろう。

また、大学で学ぶ機会が得られなかった方々に、申し上げたい。大学で教えていることは、独学によっても習得することができる。だから、「大学を出なかった」というだけの理由で自ら可能性を狭めないでいただきたい。

独学がきっかけとなって皆さんの人生が変わるなら、このうえない幸せだ。なにより私自身が、独学によって人生を切り拓いてきた。

■独学をスタートするための6つのポイント

① 独学を阻害する「3つの思い込み」を抜け出す

私が提案するのは、「周到な準備をしてから始めるのではなく、とにかく始める」ということだ。どんなことでも、いったん始めれば進展する。最初の第一歩を踏み出すことこそ重要だ。ところが、これはそれほど簡単なことではない。

では、どうしたら第一歩を踏み出すことができるか? 次の3つの思い込みから脱却する必要がある。

第1は「勉強のためには学校に通わなければならない。あるいは、先生につかなければならない」という考え。第2は「独学は難しい」という思い込み。そして第3は「独学できる人もいるかもしれないが、私にはできない」という考えだ。これらは、独学の可能性を具体的に検討したうえでの結論ではなく、単なる思い込みなのである。

たとえば、毎日ひとつ、新しい言葉の意味を調べることだ。このように簡単な方法によって、独学への門が開かれる。

② 私自身、人生の基礎は独学で決まった

私は、中学生の頃から、学校の勉強のかたわらで独学を続けてきた。そして大学での専門分野とは違う分野で仕事をすることとなったが、このための知識は独学で身につけた。私は、いまに至るまで独学を続けている。私の人生の基礎は、学校での勉強ではなく、独学で決まったのだ。

③ 独学によって新しい働き方が可能になる

技術進歩が加速化しているので、学校時代に学んだことは急速に陳腐化する。さらには、新しい技術のために仕事が消滅してしまうこともある。しかし、変化は同時にチャンスを意味する。それを活用することが重要だ。

日本では、これまで組織に依存して仕事をする人が多かった。しかし勉強を続けることによって個人の価値を高めていけば、組織に依存しない生き方が可能になる。兼業や副業を認める企業が日本でも増えつつあるので、現役時代から準備を進めれば、定年後にそれを拡大して生涯仕事を続ける、という働き方も夢ではなくなる。

④ 独学で重要なのは「カリキュラム作り」

独学のもうひとつの問題は、「何を学ぶべきか」というカリキュラムだ。学校ではカリキュラムは与えられるが、独学の場合には、それを自分で作らなければならない。方向を間違えては、いくら努力しても成果は上がらない。

⑤ 「検索」を最大限に活用する

独学を進める場合の強力な武器は、検索だ。いかにして検索するかという方法論が重要になる。検索すべきキーワードが分からないときにどうするかが、最大の問題だ。

⑥ AI時代こそ独学が重要

AI(人工知能)がいかに進歩しても、勉強の必要性はなくならない。それどころか、AIが進歩するほど、人間でなければできない仕事の価値が高まり、勉強の必要性が高まるだろう。情報技術の発達が勉強に大きな影響を与える。

■ニューノーマルの世界を生きる若者たちへ

新型コロナウイルスは、世界に大きな影響を与え、私たちの生活を大きく変えた。

新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、在宅勤務(テレワーク)の導入が進んだ。また、外出自粛が要請されたことから、休日、週末の外出も抑制され、家にいる時間が長くなった。「家にばかりいてやることがないから、面白くない」などと言う声も聞かれた。

しかし、そうしたときこそ、勉強をする絶好のチャンスなのだ。そのように考えを転換する必要がある。

新型コロナウイルスがどのように終息するか見通しがつかないが、必ずいつかは終息する。終息した後の世界で、人間の行動は前と同じように営まれていくだろう。

しかし、「コロナ後」の世界は、これまでのものとは同じものではない。さまざまなことが、大きく変わる。これは、「ニューノーマル」という言葉で表現される。社会の基本が、コロナ以前の社会とは別のものになるのだ。

コロナ後のニューノーマルの世界であなたがどのような地位を占めるかは、この期間にあなたが何を学ぶかによって決まる。この期間にこそ、自らに投資し、知識を深め、能力を高めるべきだ。

紙が破けた部分から見える「UPDATE」の文字
写真=iStock.com/Andrei Askirka
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Andrei Askirka

■対面型教育・勉強からの移行は“時代の必然”

自宅に閉じこもることが要請されたために、勉強の方法もこれまでとは違うものへと変わらざるをえない。それは、学校や塾などでの対面の教育・勉強から、「独学」への移行だ。

これらについて、多くの人は、社会人のための専門学校や英会話学校に通いさえすれば、自動的に学力がつくような錯覚に陥(おちい)っている。基礎的な内容を教える学校教育の場合には、学校に通っていれば、自然に学力がつく。しかし、すでに述べたように、社会人になってからの勉強や外国語の勉強では、そうはいかない。

外出したり、人と接触したりすることを避けねばならない状況下においては、とくに独学が最も望ましい勉強の方法だ。

ただし、独学は、外出ができなくなったから必要になったことではない。もともと必要であったことだ。

新型コロナウイルスの問題は、われわれの生活に大きなストレスを与えた。このことを単に試練とだけ考えるのではなく、積極的に受け止めることも必要だ。「禍(わざわい)を転じて福となす」という態度が必要だと思う。

この機会に、ぜひ独学であなたの能力を飛躍的に高めていただきたい。ニューノーマルの時代でのあなたの地位を決めるのは、勉強だ。

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野口 悠紀雄(のぐち・ゆきお)
一橋大学名誉教授
1940年東京生まれ。63年東京大学工学部卒業、64年大蔵省入省、72年エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。一橋大学教授、東京大学教授、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを歴任。一橋大学名誉教授。専攻はファイナンス理論、日本経済論。近著に『経験なき経済危機──日本はこの試練を成長への転機になしうるか?』(ダイヤモンド社)、『中国が世界を攪乱する──AI・コロナ・デジタル人民元』(東洋経済新報社)ほか。

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(一橋大学名誉教授 野口 悠紀雄)

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