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「人生の特急券を求めて…」ドラマ『二月の勝者』が中学受験を全然知らない人にも刺さるワケ

プレジデントオンライン / 2021年11月5日 11時15分

『二月の勝者―絶対合格の教室―』(日本テレビ系、土曜夜10時)のHPより

「『中学受験』は特急券」「塾講師は教育者ではなくサービス業」……インパクトの強いセリフが印象的なドラマ『二月の勝者─絶対合格の教室─』(日本テレビ系列)が話題を呼んでいる。中学受験に挑む家庭をリアルかつやさしい目線で原作を描いた漫画家の高瀬志帆さんに作品に込めた思いと、受験生家族へのアドバイスを聞いた――。

※本稿は、『プレジデントFamily2021秋号』の記事の一部を再編集したものです。

『二月の勝者絶対合格の教室
中堅進学塾「桜花ゼミナール」をおもな舞台として、中学受験に挑戦するさまざまな親子の成長を描いた人気漫画。2017年に『週刊ビッグコミックスピリッツ』(小学館)で連載が始まり、現在も継続中。コミックスの累計発行部数は160万部以上。柳楽優弥主演による連続ドラマが、10月より日本テレビ系列(土曜夜10時~)で放送開始予定。

■中学受験の現場取材をして驚きと興奮の連続だった

Q:中学受験をテーマにしたのはどんな理由からですか?

A:2014年に、ウェブメディアの「日経DUAL」で『中学受験をしようかなと思ったら読むマンガ』(原作/小林延江)の連載を依頼されたことが、中学受験に興味を持ったきっかけでした。

私自身は地方の公立中学、公立高校出身なので、それまで中学受験に関してほとんど知識を持っていませんでした。都会に暮らす一部の頭のいいお子さんがするもの、というくらいの認識でした。

ところが塾の関係者や中学受験を体験した方への取材を進めていくうちに、特別な子供、保護者ではなく、いろいろなご家庭が挑戦していて、泣いたり怒ったり喜んだりしながら、親子でがんばっている、ということがわかってきました。勉強そのものを楽しんでいる子、目標に向かってがんばっている子がいて、一生懸命になっている子供と並走して大変な努力で支える親がいる。どの家庭の話もドラマチックで、取材は驚きと興奮の連続でした。

「この世界をさらに深掘りしたらおもしろいかも」と考え、塾や教育専門家の方に取材を重ねて17年に描き始めたのが『二月の勝者―絶対合格の教室―』です。青年誌での連載ということで塾講師を主人公にした「お仕事もの」として描いているのですが、中学受験生や保護者の方にも読んでいただいていると伺って驚いています。

■中学受験で得られること「一緒に頑張った日々が、親子の宝物になる」

Q:首都圏・関西ではここ数年、中学受験が注目を集めています。高瀬さんが思う、中学受験で得られることとはなんでしょうか?

A:ご自身が子供のころに中学受験を経験した方にもお話を伺っていますが、受験経験者の多くが、塾通いは楽しかった、授業がおもしろかった……と、懐かしそうに振り返るのが印象的でした。

大人になっても当時の塾仲間と連絡を取り合っている方もいて、同じ目標に挑む仲間ができる、ということもあるようです。

また受験勉強をすることで学習習慣が身についたり、学ぶことに対してポジティブになれるお子さんもいるそうです。

子供の個性に合った学校に入れば、中高一貫で学ぶ環境が整っていますし、価値観の近い仲間ができることもあると思います。

また子供たちだけでなく、保護者の方の中には「たくさんぶつかったし、思い通りにならないこともあって大変だったけれど、しっかり子供と向き合えてよかった」と宝物のように受験体験を語る方もいらっしゃいます。子供はだんだん親離れを始めるので、もしかしたら中学受験は、親子が一丸となってがんばれる最後のいい機会なのかもしれませんね。

■塾テキストを破る人も…「親のイライラや不安対処法は」

Q:『二月の勝者』の中に出てくる「親御さんのメンタルに3回のクライシスが来ます!」などのせりふに象徴されるように、親のメンタルにも負担がかかるといわれています。親が、子供の受験を冷静に支えるにはどうしたらいいでしょうか。

A:中学受験は、高校受験や大学受験よりも親の関わりが大きいといわれています。塾への送り迎え、お弁当作り、スケジュールの管理、学習のフォロー、プリントの整理、学校や模試などの情報収集をこなしつつ、精神的にも子供に寄り添い続けるなど、保護者の方は本当に大変だと思います。

『プレジデントFamily2021秋号』より
『プレジデントFamily2021秋号』より

それだけ受験に注力していくと、余裕がなくなってしまうこともありますよね。子供の受験を経験した親御さんの中にはイライラを爆発させて、子供のテキストを破ってしまったという方もいて。普段は穏やかで、子育てでも決して取り乱さないような方でも、「あのときは精神状態が不安定だった」と振り返ります。

子供のためにできることは何でもやってあげたいと思うのは自然なことですが、受験のことにばかり目を向けてしまって悩んでいるという方には、例えば仕事や趣味など自分が夢中になれる別の世界を意識的に持つのも一つの方法としてあるかもしれません。それこそ、好きなアイドルの「推し活」でもいいと思います。

熱心に子供の勉強を指導している家庭と比べて、うちはそこまでできていないと、自責の念を持たれている方もいらっしゃるかもしれません。たしかに親御さんが深く関わって通勤時間にテキストを予習して帰宅後にお子さんに教える、というご家庭もありますが、勉強面は塾にまかせている、というご家庭もあります。受験への関わり方はご家庭ごとにさまざまですので、自分なりに工夫をして受験と距離を取り、うまく息抜きできるといいですね。

■「中学受験で成功」するためのコツは各家庭それぞれ

Q:漫画の冒頭に‟第1志望に合格する割合は3割”という衝撃的な数字が出てきます。ズバリ受験を成功させるコツはありますか?

A:何をもって成功とするかは、ご家庭ごとにさまざまだと思います。

高瀬志帆『二月の勝者─絶対合格の教室─』(小学館)
高瀬志帆『二月の勝者―絶対合格の教室―』(小学館)

たしかに中学受験で第1志望校に合格する子は3割といわれていますが、例えば実力より少し高いレベルの学校を「挑戦校」として、第1志望に選んだ場合、第1志望校への合格率は下がります。そうした子供たちが第2志望、第3志望の学校に進学するのは残念なのかというと、そうではないと思います。

ご家庭で話し合って、首都圏だけでも約200ある中高一貫校の中から選んだ受験校ですから、多くの子が自分で選んだ学校に通えているとも言えると思います。

「この学校に合格したい!」という目標を持ってまっすぐ進むのもいいですし、いろいろな学校を並行して目指し、選んでいくのもいいと思います。

最終的に、子供ががんばった結果に対して、皆でよかったねと言える受験になる、それも一つの成功の形だと思います。

■泣いたり怒ったりしながら、親子で頑張っている

Q:これから、中学受験の本番の季節を迎えます。実際に受験に励んでいる親子に、激励のメッセージをお願いします。

A:6年生の皆さんは、いよいよラストスパートですね。保護者の皆さんにとっても、受験本番が近づくにつれ、抱えている悩みがそれぞれ違うせいか、孤独を感じてしまう場面も増えるかもしれません。

本作の中でも、トップ校を目指す子ばかりでなく、勉強に苦手意識を持っている子、塾の授業に身が入らない子、小学校になじめず保健室登校をしている子など、いろいろな生徒とその家庭が登場して、時に泣いたり、時には怒ったりしながら、親子でがんばっている姿を描いています。

漫画はあくまでもフィクションですが、そんなときに少しでも、こういうのは「あるある」なんだとか、苦しいのは自分だけではないとか、感じていただくきっかけになれれば嬉しく思います。

そして、すべての受験生とご家族が、身体的にも精神的にも、健康で万全な状態のまま本番の日を迎えられるよう、心からお祈りしています。

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高瀬 志帆(たかせ・しほ)
漫画家
1995年デビュー。代表作に、2013年にテレビドラマ化された『おとりよせ王子 飯田好実』(徳間書店)など。

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(漫画家 高瀬 志帆 構成=尾関友詩)

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