貯めようとしても、お金は絶対に貯まらない…本当に資産を作れる人が心得ている「パーキンソンの法則」とは
プレジデントオンライン / 2023年9月13日 9時15分
■収入を増やすより、支出を減らすほうが容易
支出とは「お金を支払うこと」で、100冊の著者の多くが、「お金を貯めるには、無駄な支出を減らすことが不可欠」と考えています。
◆支出の見直しをすすめる理由
・無駄な支出を減らすことは、誰にでもできる。
・収入を増やすより、支出を減らすほうが容易である。
・「稼ぐ」は時間がかかるが、「使わずに貯める」はすぐに成果が出る。
・市場や相場はコントロールできないが、節約は自分の力でコントロールできる。
・固定費(住居費、水道光熱費、保険料、通信費、定額サービス費など)を減らせば、継続的に支出を抑えられる。
・節約によってできたお金を投資に回せば、資産が増える。
「多少の貯金ができたときでさえも、僕は自分の贅沢のためにお金を使うことはほとんどなかった。のちに月給が増えても、生活費などの消費に回すのは2割くらいで、残りの8割は貯蓄と投資に回していた。働いて得たお金ではムダ使いをしない」(泉正人『お金の大事な話』/WAVE出版)
「身の丈に合った暮らしをしよう。おカネを賢く使い、必ず定期的に貯金すること。(略)きちんと貯めて、出費をなるたけ抑えられるような大人にならなくちゃ。そう、収入の範囲内で生活をしないといけないんだ」(デヴィッド・ビアンキ『13歳からの金融入門』/日本経済新聞出版)
■貯金ができない人は無駄遣いをしている
100冊の著者の多くが、
「貯金ができない人は、無駄遣いをしている」
「貯金ができない人は、現在の収支状況を把握していない」
と指摘しています。
■非常に恐ろしい「どんぶり勘定」
貯蓄を増やすためには、収入と支出をしっかり管理することが大切です。
公認会計士の林總(あつむ)さんは、著書の中で、家計の実態をつかむことの大切さを強調しています。
ファイナンシャル・プランナーの泉美智子さんも、
と述べています。
■家計簿を長続きさせるコツ
自分が「何に、いくら使っているのか」を把握する方法として、多くの著者が「家計簿をつける」ことをすすめていました。
100冊に紹介されてあった「家計簿を長続きさせるコツ」をまとめると、以下になります。
◆家計簿を長続きさせるコツ
・手書きや表計算ソフト、アプリなどさまざまな種類があるので、いくつか試してみて、自分に合った家計簿を見つける。
・食費や日用品費といった支出項目を、最初から厳密に分けなくていい。支出項目がたくさんあると「これは、どの項目に入れたらいいのか」と迷ってしまう。最初は項目を少なくして、慣れてきたら項目を増やしていく。
・家計簿をつけるタイミングを決めておくと、習慣化しやすい。
・「何に、どれくらいのお金を使っているのか」を把握することが目的であれば、1円単位のお金の誤差は気にしなくていい。
■「レシートを集める」だけでもOK
家計簿をつけるのが面倒であれば、「レシートを集める」だけでも、自分の支出のクセを把握できます。
たとえば、レオス・キャピタルワークス代表取締役会長兼社長・最高投資責任者の藤野英人さんは、
と述べ、次の方法を提案しています。
↓
大きなビニール袋を用意して、帰宅するたびに、その日の領収書を投げ込む。
↓
1カ月続けたら、溜まった領収書を一気に見直す(1カ月が長いようなら1週間でもいい)。
■「支出のレコーディング」でお金の使い方が変わる
漫画家のおづまりこさんは、
と考え、支出のレコーディングを開始。
支出のレコーディングとは、「支出を記録すること」です。半年ほど続けると、お金の使い方が変わってきたそうです。
↓
・1日1ページの手帳に毎日「お店」「金額」をメモする。
↓
・今まで見ないフリをしていた無駄遣いが見える化される。
レシート(クレジット明細なども含む)を見直すだけでも、
・いかに衝動買いを続けていたかがわかる
・何にお金を使っているのか、自分の支出の傾向が具体的になる
といった効果があります。
■「固定費」と「変動費」に分ける
支出は「固定費」と「変動費」に分かれます。
・固定費……毎月、固定で払っている費用のこと。住居費(家賃、住宅ローン)、水道光熱費、通信費(スマホ代、月額費用のかかる定額サービス)、教育費など。
・変動費……月によって、支払い額が変わる費用のこと。食費、医療費、日用品費、交通費、衣料品費など。
■節約効果が長く続く「固定費の削減」
家計の見直しにおいてまず着手したいのは、「固定費の削減」です。
毎月の支出額が減れば、「節約効果」が長く続きます。
〈代表的な固定費の見直し例〉
・家賃が少しでも安い部屋へ引っ越す。家賃は収入の30%程度までに抑えるのが理想的。
・繰り上げ返済や借り換えをして、住宅ローン負担を抑える など。
★水道光熱費
・契約プランや契約会社を見直す。
・電気とガスのセットプランにする。
・電気、水道、ガスの使用量を減らす。
・省エネ家電に買い替える など。
■格安スマホへ乗り換える
・格安プランや格安スマホ(格安SIM)へ乗り換える。
・スマホとインターネットをセットで申し込むと、料金が安くなる場合がある。
・契約したままで使っていないサブスクリプション(定額サービス)を解約する など。
★保険料
・ライフステージに合わせて、保障内容を見直す。
・複数の保険に入っている場合、保障内容が重複していないか見直す など。
★車
・自動車保険を見直す(不要な補償や特約が含まれていないかを見直す)。
・カーリース、カーシェアリング、レンタカー利用などへの切り替えを検討する。
・料金の安い駐車場を利用する。
・税金や保険料が安い車や、燃費がいい車を選ぶ など。
★教育費
・手当り次第に習い事をしない(させない)。
・オンライン授業やITツールを活用すれば、塾や教室に通うよりも費用がかからない場合がある。
■「必要なもの」と「欲しいもの」を区別
変動費を減らすポイントは、「必要なもの」と「欲しいもの」を区別して、「必要なものに優先的にお金を使う(欲しいものはあと回しにする)」ことです。
「必要なもの」は限られていますが、「欲しいもの」は限りがないため、何も考えずに欲しいものを買っていると、いくらお金があっても足りません。
■欲しいものが必要なものと勘違いする
「必要なものとは、生活をしていく上で必要不可欠なもの。欲しいものは、なくても生きていけるものだ。多くの人は、欲しいものが必要なものと勘違いする。(略)欲しいものが出てきたら、一週間待ちなさい。それでも欲しいものは、もう一週間待ちなさい。それでも欲しければ、そこで買ったらいい」(本田健『ユダヤ人大富豪の教え』/大和書房)
「必要なもの(ニーズ Needs)なのか欲しいもの(ウォンツ Wants)なのかを分けて考えるのがポイントです。『ニーズ』と『ウォンツ』を区別することで、賢い消費生活を送ることができます」(黒田尚子『お金が貯まる人は、なぜ部屋がきれいなのか』/日本経済新聞出版)
マネー本がすすめる「変動費を減らすコツ」を抜粋して紹介します。
◆変動費を減らすコツ
・意味のない飲み会や外食を減らす。
・必要がないなら、コンビニには立ち寄らない。
・買い物の回数を減らす。食材は、安いときにまとめ買いする。
・図書館を利用する。
・お弁当や飲み物を持参する。
・日用品の購入は会員割引のある店を活用する。
・リユースショップやフリマアプリを活用する。
・お金がかからない趣味、娯楽を見つける。
・スポーツジムには入会せず、公共施設を利用する。
・セール価格になるまで待つ など。
■人間はあればあるだけお金を使う
「支出の額は、収入の額に達するまで膨張する」という法則(パーキンソンの法則)があるように、人間はあればあるだけお金を使う傾向にあります。
「お金が余ったら貯蓄や投資をする」という考え方では、毎月の貯金額(投資額)にバラツキが出る上に、出費が多い月には貯金や投資にお金を回せなくなります。
したがって、「貯蓄分や投資分を先取りし、残ったお金で生活をする」ほうが、お金を増やすことができます。
「『振り込まれた給料で1カ月間生活して、残ったお金を投資にあてよう』と考えている人もいると思います。そういう発想だと、間違いなく計画は頓挫します。(略)給料が入ったら、まずは投資資金を確保しましょう」(長期株式投資『オートモードで月に18.5万円が入ってくる「高配当」株投資』/KADOKAWA)
「貯金のお金を先取りする方法は、『pay yourself first(まず自分のためにお金を使う)』と表現されることもある。貯金は自分のためだということを思い出させてくれる言葉だ。貯金のお金は最初からないものと考えれば、使いたい誘惑に打ち勝つのも簡単になるだろう」(アンドリュー・O・スミス『アメリカの高校生が学んでいるお金の教科書』/SBクリエイティブ)
----------
ライター、文道 代表
有志4名による編集ユニット「クロロス」のメンバー。日本映画ペンクラブ会員。編集プロダクションにて、企業PR誌や一般誌、書籍の編集・ライティングに従事。編集プロダクション退社後、出版社にて自動車専門誌2誌の編集長を歴任。2001年からフリーランスとなり、雑誌、PR誌の制作や、ビジネス書籍の企画・執筆・編集に携わる。著書に『「文章術のベストセラー100冊」のポイントを1冊にまとめてみた。』、『「話し方のベストセラー100冊」のポイントを1冊にまとめてみた。』、『「勉強法のベストセラー100冊」のポイントを1冊にまとめてみた。』(いずれも日経BP)、『文章力が、最強の武器である。』(SBクリエイティブ)がある。
----------
----------
ライター、文道 取締役
有志4名による編集ユニット「クロロス」のメンバー。日本映画ペンクラブ会員。日本女子大学文学部(現人間社会学部)教育学科卒業。編集プロダクションにて、雑誌や企業PR誌、書籍の編集・ライティングに従事。その後、フリーランスとして、企業のウェブサイトのコンテンツ制作にも関わる。著書に『「文章術のベストセラー100冊」のポイントを1冊にまとめてみた。』、『「話し方のベストセラー100冊」のポイントを1冊にまとめてみた。』、『「勉強法のベストセラー100冊」のポイントを1冊にまとめてみた。』(いずれも日経BP)がある。
----------
(ライター、文道 代表 藤吉 豊、ライター、文道 取締役 小川 真理子)
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
夫の転勤で育休中に退職した妻「赤字家計をパート収入だけで補えますか?」
MONEYPLUS / 2024年5月10日 7時30分
-
よく「先取り貯金」をすすめられますが、不意の出費が多くて先取りをすると足りなくなります。「残った額を貯める方法」はうまくいかないでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年5月3日 9時40分
-
手取り30万円ですが全く貯金していません。手取り30万円の人はどれくらい貯金しているんですか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年5月3日 5時0分
-
ポイントカードは「節約」ではなく「出費」の象徴…「ポイ活」をやめたら月2万円の節約になった理由
プレジデントオンライン / 2024年5月1日 8時15分
-
40代後半ですが貯金がほとんどありません。今から「2000万円」貯めることは可能ですか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年4月27日 2時10分
ランキング
-
1パスコ超熟「60ミリの子ネズミ混入」対応の成否 誠実ゆえに、消費者に過度の想像をさせた
東洋経済オンライン / 2024年5月24日 18時30分
-
2ソニーがアニメ事業へ「超本気」で踏み込む胸算用 日本のアニメ業界が抱える"闇"を払拭できるか
東洋経済オンライン / 2024年5月24日 13時15分
-
3ついに変動金利も上がりはじめた…「住宅ローンの繰上げ返済と新NISA」どちらを優先すべきかの最終結論
プレジデントオンライン / 2024年5月24日 8時15分
-
4左目の中の光を見て話せば相手の悪意は"鎮火"する…「お前はバカ」と叫ぶ嫌なヤツを無力化する会話テンプレ
プレジデントオンライン / 2024年5月24日 7時15分
-
5円安進行で買収のターゲットにされる日本企業…日本人がわかっていない"外資系ファンドの意外な効果"
プレジデントオンライン / 2024年5月24日 9時15分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください