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「すごいね」→「すごいな」にするだけで子どもの反応がぐんと良くなる…元塾講師が教える"やる気を出す話し方"

プレジデントオンライン / 2024年3月3日 12時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Hakase_

子育て本にはしばしば「ほめて伸ばすのがいい」と書かれている。だが、実践するのは難しい。受験指導専門家の西村創さんは「ほめるよりも子どものやる気を引き出すコツがある。それは、今まで子どもにかけていた言葉から、1文字を変えることだ」という――。

※本稿は、西村創『中学受験のはじめ方』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

■「ほめて伸ばすのがいい」と言われても…

・かける言葉を1文字変えれば、子どもの反応は変わる
・感心を言葉にして伝える

多くの子育て本には「叱る」よりも「ほめて伸ばすのがいい」と書いてあります。確かに、ほめるより叱ることが多いと、子どもは反抗するか、心を閉ざして聞き流します。

でも、叱りたい状況で、気持ちにウソをついてほめると、親のストレスが溜まります。そもそも、宿題をせずにゲームをやり続けているような状況では、ほめろと言われても無理がありますよね。結局、叱ることで「そのときだけは」なんとか勉強に向かわせる、というご家庭が多いのではないでしょうか。

そこで、「ほめる」よりも子どものやる気を引き出すコツをお伝えします。それは、今まで子どもにかけていた言葉から、1文字を変えることです。それだけで、子どもの反応が変わります。

■子どもにかけていた言葉から変える1文字

子どものやる気を引き出すために変える1文字というのは、「ね」を「な」にすることです。「すごいね」と言っていたのを、「すごいな」と言い換えるのです。

「すごいね」は子どもをほめる言葉ですが、「すごいな」は子どもに感心する言葉です。「ほめる」というのは、相手の反応を期待する行動だといえます。でも「感心する」というのは、相手に関係なく、こちら側だけで完結する行動です。

ストレートなほめ方がそのまま子どものやる気に結びつくのは、個人差はありますが、だいたい小学校の低学年くらいまでです。高学年になると、ただ「よくできたね」とほめられても、子ども扱いされているようで、喜ばない子どもの割合が増えてきます。子どもは、大人扱いされたいものです。したがって子どもをほめようとすればするほど、子どもの機嫌は悪くなります。だから子どもの機嫌を取ろうとするのはやめて、ほめるのではなくて、ただ感心するのです。

■「ほめる」より「感心する」ほうが簡単

子どもは、ほめ言葉の裏にある親からの期待を感じ取るものです。そして、「そんなのあたりまえでしょ!」と反発します。すると親のほうも「せっかくほめたのに」と悔しくなってしまいます。

うまくほめるには、反発されない形でほめる技術と、反発されても温かく見守れる心のゆとりが必要になるのです。

その点「感心する」のは簡単です。自分が勝手に「感心する」だけですからね。感心は相手の反応を期待するものではなく自己完結していますから、悪い影響が出にくいのです。ここが「感心する」ことと、相手のリアクションを期待する「ほめる」ことが大きく違うポイントです。子どもをほめようと思ったら「ほめるのではなく、ただ感心を示そう」と考えてみてください。

感心を示すコツは、子どもに伝えるように感心するのではなく、心から感心して、それをひとり言のようにつぶやくことです。作為的ではなく、心から感心することです。これが習慣になると、子どもの態度が変わってきます。

娘の肩に手を置く母親に笑顔で話しかけている少女
写真=iStock.com/Hakase_
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Hakase_

■マイナス面よりプラス面を意識したほうが楽しい気分になれる

「そんなに感心できるところがあっただろうか」と思う方もいるかもしれません。日々一緒に過ごしているわが子のことは、あたりまえになりすぎて、良いところになかなか気づきにくいものですから。それよりも、悪いところばかりが目につくと思います。これは、子どもだけではなく、大人に対してもそうですよね。

人は、意識しないと、その人のプラス面よりもマイナス面に意識が向きます。だから、わが子のプラスの変化を意識的にとらえる必要があるのです。わが子への「関心」のアンテナ感度を上げて、「感心」を示せる機会を逃さないようにしましょう。

思い返せば私が多くの生徒から慕ってもらえたのも、ひたすら生徒1人ひとりのいいところを探して、感心し続けてきたからだと思います。こうした姿勢で生徒と向き合うことは、結果的に生徒のためにもなりましたが、もともとは自分のためでした。

マイナス面を意識するよりも、プラス面を意識したほうが楽しい気分になりますからね。感心できるところを探すことは、子どもにも自分にもプラスの影響をもたらすのです。

■ 子どもへの声かけの語尾を「ね」から「な」に変える。
■ 「ほめる」のではなく「感心する」。
■ わが子のプラス面に目を向け、感心できるところを探す。

■親が子どもに勉強を教えるメリットとデメリット

・メリットとデメリットを理解し、家庭に合った選択をする
・コツを押さえて効果的に教える

勉強が得意だった親御さんの場合、「子どもの勉強は自分が見る」という方針で、実際にすでにわが子の勉強を見ている方もいらっしゃるかもしれません。こうした親が子どもに勉強を教えることにはメリット、デメリットの両面があります。

親子という近い関係ならではの良いところと悪いところを把握して、各ご家庭の方針に合った選択ができるといいですね。まずは、親が子どもに勉強を教えるメリットからお伝えします。

メリット1 子どものペースに合わせられる

集団塾の一斉授業では、子どもの理解が追いつかないことがあります。体調不良や学校の移動教室などで授業を遅刻・欠席することもあるでしょう。遅れたぶんは自習で取り戻す必要がありますが、独学で理解するのは難しいものがあります。

わからないところは塾講師に聞こうとしても、講師も忙しいですから、いつでも時間を取って教えてもらえるとは限りません。その点、親が教えるのであれば、子どもが遅れたぶんをすぐにフォローできます。

算数の問題を解いている子どもの手元
写真=iStock.com/gyro
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/gyro

■子どもの精神状態をつぶさに知ることができる

メリット2 子どもの現状把握ができる

親が教えることで、わが子の得意単元・不得意単元を知ることができます。正解・不正解だけでなく、答えを出すまでのプロセスも見ることができるからです。こうしたことを把握していると、塾講師との面談でも、課題や今後の目標について具体的な話をすることができるようになります。

ノートの使い方や鉛筆の持ち方、イスに座る姿勢など、勉強の作法がきちんと身についているかどうかを確認できるのも良いところですね。

メリット3 子どものメンタル面をケアできる

中学受験では、学校の授業よりもずっとハイレベルな学習内容を扱います。そのうえで、長時間の勉強に耐えられる体力や、成績が思うように伸びない中でも自己肯定感を失わない精神力が求められる、過酷な世界です。受験の世界に足を踏み入れたばかりに、メンタルをやられてしまう子も少なくありません。

でも、親が子どもの勉強を見てあげられるのであれば、子どもが今どんな精神状態にあるかをつぶさに知ることができます。

日々子どもの勉強に寄り添っていれば、子どもの元気がないときや様子がおかしいときに気づくことができるでしょう。子どもがつぶれてしまう前に危険信号を察知して、受験勉強の軌道修正、方向転換をすることができるのは大きなメリットのひとつです。

さて、ここまではメリットを伝えてきましたが、親が子どもに勉強を教えることは、良いことばかりではありません。次のようなデメリットもあります。

■学校や塾の先生も「自分の子どもの勉強」はプロに見てもらう

デメリット1 塾とは違う教え方になる

教えるための準備が不足していると、子どもは「塾の先生が言っていたことと違う」と混乱してしまいます。「これは当然こう教えるだろう」と自信がある問題でも、今はもう別の方法で解くことが主流になっていたり、講師によって全然違う教え方をしていたりするものです。そもそも、事実や名称が、親が子どもの頃に教わったものと、今では異なっていることが多いです。

いろいろな解き方や物事を知ったうえで、自分にベストな解き方や知識を選べる子ならいいですが、「船頭多くして船山に登る」ということわざの通り、あまり多くの解き方で説明されると、混乱してしまう子が多いのが実情です。

デメリット2 感情的になってしまう

子どもは、間違ったりわからない問題が多くなってきたりすると、やる気が下がっていきます。ふてくされたり、悪態をついたりすることもあるでしょう。

せっかく教えているのに思うような反応が返ってこないと、親のほうもだんだん怒りたくなってきます。わが子を大事に思い期待しているからこそ、「なんでこんなこともわからないの!」と腹が立ってくるのです。

子どもも、親にダメなところを見られたくなくて、できない姿を隠そうとします。そのせいで、親が一生懸命になって説明すればするほど、「もうわかったよ!」と反発しがちです。そして互いにストレスを感じて、親は「もう子どもに教えたくない!」、子どもも「もう親から教わりたくない!」となってしまうのです。

身内に教えるのは、なかなかうまくいかないものです。学校の先生や塾の講師が、自分の子どもの勉強は第三者のプロに見てもらうことが多いのは、こうした難しい面があるからです。

教室で先生とハイタッチする男の子
写真=iStock.com/paulaphoto
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/paulaphoto
デメリット3 夜更かしにつながる

親はキリの良いところまで進めたいので、「ここまでやろうよ!」とがんばらせますが、子どもの体力と気力にも限界があります。遅い時間帯になると、眠くなって集中力が落ちてきます。

そうなると、かけた時間のわりに成果が出にくくなりますし、睡眠不足から健康や翌日の活動への悪影響が出てしまうおそれもあります。

■親が教えるときは4つのポイントを押さえる

このように、親が教えると、子どもの学習効果が下がってしまう可能性があります。とはいえ、やはりわが子の勉強に関わりたいという方も多いはずです。

では、親が子に教えるには、どうすればいいのでしょうか。4つのポイントをお伝えします。

ポイント1 復習を中心に、塾の教材を使う

予習や先取り学習はしないで、塾のテキストなどを使って、すでに習った範囲に絞って復習をしましょう。塾のテキストで復習すれば、塾の講師が教えたことから、そう大きく外れることはありません。

また、「教える」よりも、計算や漢字の読み書きなど、基礎的な学習を子どもがするのを「見守る」ことを優先するほうがうまくいきやすいです。

ポイント2 時間を短く区切り、メリハリをつける

親と一緒だと気持ちもゆるむため、子どもの集中は長くは続きません。短時間での集中とリラックスをワンセットにして、メリハリをつけて勉強しましょう。

キッチンタイマーを使って、「25分勉強したら5分休憩」というように時間を区切る、ポモドーロテクニックという集中法を使うのもおすすめです。

■教える極意は「できるだけ教えないこと」

ポイント3 子どもに考えさせ、説明させる

私は、教える極意は「できるだけ教えないこと」だと思っています。親は一から十まで全部説明するのではなく、問いかけて子どもに考えさせ、説明させましょう。

考える材料を示して子どもに考えさせて、わからないようであればヒントを出して、子ども自身が気づけるように辛抱強くサポートしましょう。

教えるというのは、知識や話術よりも、忍耐力が最も大事だと私は考えています。

ポイント4 プロセスを重視し、少しの成長でも認める

家庭学習で大切にしたいのは、○か×かという結果ではなく、勉強のプロセスです。計算の途中式や筆算の書き方、漢字の書き順やトメ・ハネなどをチェックして、たとえ不正解でも、「ここがさっきより上達したなぁ」と、成長を認めて小さな成功体験を積み重ねていきましょう。

教える側に立つと、つい相手のできないところばかりが目につくものですが、それを指摘するのはガマンしましょう。成長しているところは必ずあります。ささいな成長でもいいので、探して認め、感心を示しましょう。

■「もう無理だ」と思ったらプロに任せたほうがいい

西村創『中学受験のはじめ方』(KADOKAWA)
西村創『中学受験のはじめ方』(KADOKAWA)

子どもに勉強を教えるとなると、「うまく教えなくては」と力が入りすぎる親御さんがいます。でも、自転車や車を運転するとき、ハンドルを力一杯握りしめるよりも、ちょっと遊びがあるくらいにゆるく握るほうがスムーズな運転ができますよね。子どもに勉強を教えるのも同じです。

うまく教えようと気合いを入れるよりも、できたうれしさを子どもに感じさせて、親子で喜びを分かち合うことを大切にしてほしいと思います。肩の力を抜いて、「子どもと並んで一緒に勉強する」くらいの気持ちで臨むといいでしょう。

そして、「自分には教えるのはもう無理だ」と思ったら、第三者のプロに任せましょう。勉強面はプロに任せて、親は生活面と精神面のサポートに徹したほうが、うまくいくことが多いです。

■ 親が教えると、時間の融通が利くことや、子どもの現状把握ができることがメリット。

■ 塾と違う教え方になって混乱させてしまったり、つい感情的になったり、夜更かしさせてしまったりする可能性があるのがデメリット。

■ 勉強面のサポートは親ががんばりすぎず、無理だと感じたらプロに任せる。

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西村 創(にしむら・はじめ)
受験指導専門家
早稲田アカデミー、駿台、河合塾Wingsなどで指導歴25年以上。 新卒入社の早稲田アカデミーでは、入社初年度に生徒授業満足度全講師中1位に輝く。 駿台ではシンガポール校講師を経て、当時初の20代校長として香港校校長を務め、過去最高の合格実績を出す。 河合塾Wingsでは講師、教室長、エリアマネージャーを務める。 現在はセミナー講演や書籍執筆、「にしむら先生 受験指導専門家」としてYouTube配信などを中心に活動。 著書は『中学歴史が面白いほどわかる本』(KADOKAWA)など多数。

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(受験指導専門家 西村 創)

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