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「企業理念に共感して」だけでは落とされる…就活に成功した東大生を調べて分かった「なぜ弊社を?」への最適解

プレジデントオンライン / 2024年3月18日 7時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/byryo

就職活動で「どうして弊社を希望するんですか?」と聞かれたら、どう答えるのがいいのか。東大生の就活テクニックを調べた東大カルペ・ディエムの『東大就活』(星海社新書)より、一部を紹介する――。

■超優秀なインターンが語った仕事への正しいモチベーション

我々の会社「東大カルペ・ディエム」は2020年にスタートした会社です。継続的に40人程度の東大生がバイト・インターンをしていて、2020年から数えると200人近い東大生が出入りしたことになります。

その中で、インターンとしてとても活躍した人物がいました。仮にCさんとしましょう。Cさんは、書籍編集の仕事にとても積極的で、さまざまな書籍のライティングや進捗(しんちょく)管理に関わってくれました。

「そのモチベーションはどこにあるか」と周りが聞くと、こんな風に言っていました。

自分にも出したい本がある。そのためには、書籍編集の仕事を手伝って、自分もスキルアップしなければならないし、うちの会社の書籍編集部を盛り上げなきゃならない。

そして、その本を出すときには、会社のみんなにも手伝ってもらいたいから、みんなの仕事を手伝っているんだ。

つまり、「自分のやりたいことを実現させるために、会社のことを盛り上げよう」という考えがあって、だからこそ積極的に「会社のために頑張ろう」という主体性が生まれるのです。

このように「自分のやりたいことのために会社を利用する」というプレゼンをして就活を成功させた人は、東大生の中にも多くいます。

■最初に自分の希望を具体的に伝えてもいい

たとえば、建設会社に「こういう建築が作りたいから御社に入りたい、こういう建物を将来普及させるための経験として、御社に入りたい」とアピールして通った人がいます。

最初に自分の希望を具体的に伝えることで、就活を成功させるという方法もあるのです。

人間は結局、自分の欲望や願望を叶えるために生きるエゴイストだと思います。もちろん「他の人とこんなことがしたい」とか「人を助けたい」という願望もありますが、しかしそれだって、「社会の中で居場所がほしい」とか「自分が生きていて誰かの支えになっているという自信がほしい」とか、そういう「自分のための欲望」であることも多いです。

そしてそのために、人は努力をします。主体性の源泉とは結局、自分の欲望を叶えたいという個人の欲望なのです。

でも、エゴイストであることと、「会社のために何かしたい」というモチベーションを持つこととは、必ずしも矛盾しません。

むしろ、会社が大きくなることが自分のやりたいことにつながったり、自分の目的と合致したりするのであれば、「自分のために」と同じように「会社のために」、主体的に行動することができます。

「会社」と「自分」の距離が近いので、「うちの会社」と捉えて行動することにもなるからです。そうなると個人にも会社にもメリットがありますよね。

もっと言えば、この「エゴ」「自分のために」の範囲を意識的に広げることができる人こそが、何に対しても主体的に行動できる人だと言えます。

■主体的に行動できる人の思考

ひとつ具体的に考えてみましょう。もし仮に同僚の誰かが困っているときに、その人を助けるか、助けないかという二択があるとします。

ここで「助けない」と選択する人は、「自分には関係ないから」「助けても自分にとってプラスにならないから」と考えていることでしょう。

他方で「助ける」という選択をする人は、ただ利他的なだけでなく「ここで助けることによって、自分にもあとからプラスがあるかもしれない」と考えることができる人だと言えるのです。

手と手を取り合おうとするイメージ
写真=iStock.com/Pornyot Palilai
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Pornyot Palilai

もしかしたら、自分が困ったときに、後から助けてもらえるかもしれない。同僚が困っているポイントを知っておけば、自分も同じところで困ったときに解決策がわかるかもしれない。同僚の困りごとを解決することが会社にとってプラスになって、ひいては自分のプラスになるはずだ。

そんな風に、「自分のために」の解釈の幅を広く持てるからこそ、主体的に行動することができるのです。先ほど、「責任範囲が広い人=主体性のある人」と定義しましたが、そこの裏側にはこういう背景があったのです。

まとめると、主体的になれる人というのは、「自分事=責任」の範囲を広げることができる人だ、と言うことができるのです。

■「どうして弊社を希望するんですか?」の正しい答え

就活ではよく、「どうして弊社を希望するんですか?」という志望理由が聞かれます。その質問に対して、多くの人は「御社を志望した理由は、御社の掲げる企業理念に共感したからです」なんて言いますね。

建物を見上げるビジネスマンのイメージ
写真=iStock.com/bee32
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/bee32

この文言は就活においてよく聞きますし、もう使い古され過ぎていて逆に空虚な言葉になっている感じもありますが、実際、本気で「企業理念」に共感している人材は、会社としてはとても望ましい人材なんです。

ある食品会社があったとしましょう。「日本人により多くの食品の選択肢を提供したい」という企業理念を掲げていたとします。

そしてそれに対して、「たしかに自分がおじいちゃんになったときに、もっといろんな食品の選択肢が欲しいもんなぁ」「美味しいものがもっと食べられるようになったらいいよなぁ」と考えている人がいたとしたら、企業のために頑張ることが、自然と自分のために頑張ることとつながっていきます。

その企業の目標と、自分という人間の目標がマッチしているのであれば、仲間としてスムーズに協力して仕事を進めていくことができますよね。

先ほどから解説している「自分のために」の解釈を広く持てるというのは、志望理由を考える上でも活きてくるのです。そして、だからこそ「御社を志望した理由は、御社の掲げる企業理念に共感したからです」という文言はずっと言われ続けているのです。

■共感は具体的に

でも、これを形だけ真似してもうまくいくことはないでしょう。なぜうまくいかないかというと、「企業理念がすばらしい」のと、「自分のやりたいことが、その企業理念とマッチしていること」とは別だからです。

「この企業理念、いいですよね!」と言っても、重要なのは共感の部分で、「その就活生自身とその理念がどう結びついているのか」が明確でないと意味がないのです。

そして多くの人は、この「共感」を抽象的に答えてしまいがちです。先ほどの食品会社の志望理由にしても、「日本人に、より多くの食品の選択肢を提供したい」という企業理念はすばらしいと思います。自分も食品の分野に興味があり、高校時代も大学時代も食品に関わる活動をしていて、その上でこの理念に共感しました。

なんて言ったとしても、「何に共感しているのか?」、もっと言えば「自分の目標として会社の理念を認識できるほどに共感し、これから数十年もこの会社のために働けるほど、自分事にできる理念として捉えているのか?」という疑念は払拭できませんよね。

■「給料がいいから応募した」はOKなのか

じゃあ、本音ベースで「給料がいいからこの会社に入りたいと思っています」と言っても問題ないのか、と思うかもしれませんが、それは少し解釈が違います。

カルペ・ディエム『東大就活』(星海社新書)
東大カルペ・ディエム『東大就活』(星海社新書)

もちろん「仕事は大変だと聞いていますが、でもその分給料がいいと伺っています。であれば、どんなにやりがいがない仕事でも、大変な仕事でも、自分は頑張りたいです。どうか御社に入れてください!」と言って通る企業も一定数存在するかもしれませんが、それであれば、社会的に見れば「社員」になる必要ってそんなにないんですよね。割のいい業務委託の仕事をずっと受け続ければいい、という話になってしまいます。

会社がその人を「社員」として迎えるのは、会社がその社員を「育てる」ということを考えているからです。今の時点でスキルがない人を採用するリスクを取ってまで会社が採用をするのは、その人が成長し、成長した先で一緒の目的を追うことができるからだと言えます。

会社も、そしてその会社に所属する社員も、就活生と一緒に目的を追いたいから、ゼロから育てるコストをかけてでも共に働きたいと思っているのです。

ですから、やっぱりお金以外のモチベーションで主体性を発揮できると考えられる部分があなたにあると思えるかどうかが、採用する側からすると重要になってきます。

ということで、シンプルに言ってしまえば、就活で成功できるのは、こういう人物だと言えます。

「自分のために」その会社で働くことができる人

「自分の目標」と「会社の目標」が一致していて、会社のために主体的に行動できる人

逆に、その反対の「自分の目標」と「会社の目標」が一致しているかが不明瞭、または一致していないと解釈されてしまう人は、就活でうまくいかない人です。

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東大カルペ・ディエム 東大生集団
2020年6月、西岡壱誠が代表として株式会社カルペ・ディエムを設立。西岡を中心に、貧困家庭で週3日バイトしながら合格した東大生や地方公立高校で東大模試1位になった東大生など、多くの「逆転合格」をした現役東大生が集い、日々教育業界の革新のために活動している。漫画『ドラゴン桜2』(講談社)の編集、TBSドラマ日曜劇場『ドラゴン桜』の監修などを務めるほか、東大生300人以上を調査し、多くの画期的な勉強法を創出した。そのほか「リアルドラゴン桜プロジェクト」と題した教育プログラムを中心に、全国20校以上でワークショップや講演会を実施。年間1000人以上の学生に勉強法を教えている。

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(東大生集団 東大カルペ・ディエム)

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