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Kroiが語る、試行錯誤しながら貫く自分たちの活動スタイル

Rolling Stone Japan / 2022年8月12日 18時5分

Rolling Stone Japan vol.17掲載/Coffee & Cigarettes 38|Kroi(Photo = Tim Gallo)

音楽、文芸、映画。長年にわたって芸術の分野で表現し続ける者たち。本業も趣味も自分流のスタイルで楽しむ、そんな彼らの「大人のこだわり」にフォーカスしたRolling Stone Japanの連載。常に面白いことを追い求めて、ジャンルの壁を軽々と飛び越えるフットワークの良さとジャンプ力。どこにも属さない自由さを手にしたKroiの5人は、普段から大真面目に遊んでいる。だからこそ、こだわりも強いのだ。

Coffee & Cigarettes 38 | Kroi

 ロックやソウル、ヒップホップなどルーツミュージックにリスペクトを捧げつつも独自の感性で再構築していく音楽性で人気の5人組Kroi。サウンドと同様メンバーたちのファッションも、ストリートカルチャーに根差したカラフルかつスポーティな装いだ。「でも、僕らこう見えて実はめちゃめちゃインドアなんですよ」と、笑いながら明かしてくれたのはギター&ボーカルの内田怜央。休日になると、メンバーこぞって秋葉原へ遊びに行くことが多いという。

「最近はほとんど毎日働いているので、休みの概念があまりないんですけど、『じゃあ今日は遊ぼう!』と決めた日はみんなでサバゲーをしに行くことが多いですね」

 そう話すのはベースの関将典。「先日も秋葉原のカードショップへ行って、『デュエル・マスターズ』トレーディングカードで遊んだあとにメイド喫茶へ行ってメイドちゃんと戯れて(笑)。そのあとサバゲーをやって最後は焼肉で締めるっていう最高の1日を過ごしました」

 ギターの長谷部悠生によれば、サバイバルゲームを始めたきっかけはMV撮影の打ち合わせの席上だったという。「『生き残り』をテーマにした映像を撮ろうみたいな話が雑談の中で出てきて。結局『サバゲー案』は採用されなかったんですけど、『一度やってみたいよね』という話になり、メンバーだけでなくスタッフも含めてみんなでやりに行ったらドハマリしてしまったんです」

 ひと昔前はサバイバルゲームというと、ミリタリー好きが楽しむマニアックなゲームというイメージが強かった。が、今やチームワークを高める上でも有効なアーバンスポーツの一つとして、世界中で愛されている。

「そうなんです。会社帰りのサラリーマンとかがスーツでやってきて、その場で銃をレンタルして参加するなど、みんなカジュアルに楽しんでいるんですよ。しかも、自分が撃たれたことを『自己申告』しなければゲームとして成り立たない、紳士なスポーツという側面もあって」(関)

 オフでも一緒に遊ぶくらい仲の良い5人。しかし、音楽的ルーツがバラバラであることからも分かるように、ハマっている趣味も全く違うようだ。例えばドラムの益田英知は、80年代後半~90年代前半くらいに流行ったレーサーレプリカのバイクに夢中だという。

「実は、今日もバイクでここまで来たんですよ。スタッフさんの中にもバイク好きがいるので、長距離のツーリングにもいつか行ってみたいなと思っています。敢えてマニュアルのバイクを選んだのですが、ロケットを抱えて吹っ飛んでいるような『マシンとの一体感』もたまらないです」

 一方キーボードの千葉大樹は、引っ越しを機に観葉植物に凝り始めた。

「シェフレラやモンステラ、サンスベリアとかいわゆる王道を揃えた後、種子から育ててみたいと思うようになって……(笑)。今はアガベという植物のタネを何種類もメルカリとかで手に入れたり、エアプランツの専門店へ行ったりしていますね。1つで十数万円する植物もあって、コレクター心をくすぐられるんです」

「俺も千葉(大樹)と同じく最近引っ越しをしたんですよ。目の前にホームセンターがあるので、そこで工具や使えそうな資材を買ってきては部屋の中をDIYで仕上げていくのが楽しくて仕方ない」(関)


 また、メンバーの中でも人一倍ファッションへの意識が高い長谷部は、50年代から80年代くらいのビンテージウェアに凝っているという。

「今は『リジッドデニム』と呼ばれる、ウォッシュ加工がされていない糊付けされたジーンズにハマっています。今履いているジーンズはKroiの1stアルバム『LENS』をリリースした2021年に購入して、そこから1年くらい洗わずに履き続けているんです。そうすることで、独特の色落ちになっていくんですよ。ジーンズを育てていくような感覚というか」

「俺は曲作りに煮詰まると、気晴らしによく行くのが商業施設にあるオモチャ売り場です。100円で1枚出てくるカードゲームとか、気が済むまで遊んだら家に戻ってまたひたすら曲を書く……ということをやっていますね(笑)」(内田)

 自分たちの「こだわり」について、タバコを吸いながら楽しそうに語り合う5人。実はメンバーだけでなく、スタッフもほぼ愛煙家だという。そのため打ち上げや打ち合わせの時など、場所を押さえるだけでも一苦労。普段から喫煙可のお店やスポットなどの情報交換は頻繁に行っている。

「現場で誰かが『ちょっと一服』と切り出すと、その場にいた全員があとに続くという(笑)。でもタバコを吸うことで一度頭をリセットさせたり、そこで交わされる雑談から新たなアイデアが生まれたり、いいことばかりなんですよ」

 ちなみに関と益田と内田はキャメルのメンソールライト、長谷部はハイライトのメンソール、千葉はWinston(キャスター)1mmロングを愛用中。そしてタバコとともに欠かせないのがコーヒーだ。

「俺たち、コーヒーもめちゃくちゃ飲みますよ。コンビニとかでペットボトルのコーヒーが売っているじゃないですか。スタッフさんは分かってくださっているので、ケータリングとして10本とかまとめ買いしておいてくださっていて。あっという間に空けてしまってますね(笑)」(関)

 インドア派のKroiだが、アルコールもほとんど飲まない。

「唯一飲むのが悠生ですね。酔っ払ってくると、目がバキバキになってる」(関)

「もともとビールが大好きだったんですけど、最近はダイエットも兼ねてハイボールに替えました。しかもウィスキーと炭酸水を買って、自分で割って飲んでいますね。おうち時間が長かった時は、ウィスキーの銘柄をいろいろ試したんです。その結果、サントリーの『山崎白秋』を、炭酸水と1:3で割って飲むのが一番美味しいことに気付きました(笑)」(長谷部)

 そんなKroiが5月にデジタルリリースした「Pixie」は、国際ファッション専門職大学のTVCM曲として書き下ろされた曲。クリエーターを目指す人たちに向けた、彼らなりの応援ソングだという。

「モノ作りのとき、何もないところから着想を得るのはどこか『妖精を追い求めている行為』に近いんじゃないかと思っていて」

 ピクシー(妖精)と名付けられたこの曲のテーマについて、そう明かす内田。「さっき『気晴らしにおもちゃ屋へ行く』と言いましたけど、そこで子供の頃にハマっていたカードゲームで遊ぶのは、当時の気持ちに戻りたいというか。非日常が欲しくなっているからだと思うんですよね」



 思い返してみれば、ザ・ビートルズのジョン・レノンとポール・マッカートニーも幼少期のインスピレーションをもとに、それぞれ「Strawberry Fields Forever」「Penny Lane」という名曲を生み出した。ザ・ビーチ・ボーイズのブライアン・ウィルソンも、「神に捧げるティーンエイジ・シンフォニー」をコンセプトにあの『Pet Sounds』を作り上げている。自身のインナーチャイルドと向き合うことは、クリエイティブにおいて最も重要なプロセスの一つであることは間違いない。

 コロナ禍の直前に今のメンバーとなり、試行錯誤を繰り返しながらもメジャーデビューを果たすなど一定の成果を上げてきたKroi。彼らは今、どんな未来を見据えているのだろうか。メンバーを代表し、最後に関が心強い言葉を発してくれた。

「ありがたいことに、2ndアルバム『telegraph』を今夏にリリースすることが決定し、それに伴い初の全国ツアー『Kroi Live Tour 2022 "BROADCAST"』を行う予定です。コロナ禍とはいえ、その中で俺たちはやれることを模索して、やれるだけのことはやってきたし、そこで着実にステップアップしてきた自負はある。その結果が今年のアルバムリリースにつながっていると思うんです。なので、今後もメンバーだけじゃなくてスタッフ陣も含め、全員で試行錯誤しながら面白おかしく自分たちの活動スタイルを貫きたい。そうすれば今後もさらに飛躍できるんじゃないかなと思っています。これからのKroiも楽しみにしていてほしいですね」

Kroi
R&B、ファンク、ソウル、ロック、ヒップホップなど、あらゆる音楽ジャンルからの影響を昇華した音楽性を提示する5人組バンド。2021年6月、ポニーキャニオン内のレーベルIRORI Recordsからメジャー1stアルバム『LENS』を発表。2022年夏、2ndアルバム『telegraph』をリリース予定。


『Pixie』
Kroi

ポニーキャニオン
配信中
https://lnk.to/pixie

無料配信ライブの開催が決定!
Kroi FREE LIVE「TAKE OFF」
2022年8月12日(金)19時30分開演
”Kroi FREE LIVE「TAKE OFF」@ Zepp Haneda”

ロケ地協力:DJ Bar 東間屋

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