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「日本だけがどんどん貧しくなっている」日経平均株価を最高値更新でも豊かにならない実状…実質賃金は21か月連続下落

集英社オンライン / 2024年3月4日 16時1分

3月4日、東京市場で日経平均株価はついに4万円の大台を超えて史上最高値を更新した。2月22日にバブル期の1989年12月29日につけた史上最高値(3万8915円)を上回って以降も右肩上がりを続けている。「株価=景気」というイメージはあるが、なぜ株価が上昇しているにもかかわらず、私たちの生活は豊かにならないのだろうか。新潟県佐渡市議会議員を務め、積極財政を推進する地方議員連盟の共同代表・広瀬大海氏に話を聞いた。

潤っているのは誰か

東京証券取引所のプライム市場(旧東証一部)に上場している、取引が活発な225銘柄を日本経済新聞社が選定して算出した平均株価を指す“日経平均株価”。

日経平均株価の上昇によって投資家以外では誰が潤っているのか。



「まず、上場企業に勤務する人たちが挙げられます。株価上昇は企業の業績が好調であることを意味しており、増益したぶんは従業員に還元されやすい。実際、経団連が昨年末に発表した大手企業の2023年冬のボーナスの平均額は90万6413円(前年比1.37%増)と2年連続の増加を記録しました。日経平均株価で算出されている企業は大手企業が多く、ボーナスが増加していることを鑑みると、大手企業の従業員は潤っているといえます」

首都圏と地方の格差は開くばかり

しかし、日本企業の9割は中小企業。株価が高水準を記録していたところで、多くの国民にはあまり関係ない話かもしれない。

「上場企業を含む大企業やそれなりの規模の中小企業は景気がいいと思います。裏を返せば、それ以外の中小企業は厳しいです。とりわけ地方の企業では顕著です。私が住む佐渡市などのように零細企業が中心の地方では、企業や店舗の倒産や撤退は少なくありません。

それに伴って若者の人口流出も相まって、経済が急激に縮小していることを実感しています。東京で働く知人に先日、東京の経済状況を聞いたところ『悪くないどころか好調だ』といっていました。業績のいい大企業が集中している東京と地方の格差は深刻なレベルで広がっています」

ちなみに現在の株価上昇の背景として、広瀬氏は以下のように解説する。

「まず2024年1月から新NISAが開始され、株式投資に対する機運が高まったことが大きい。また、コロナ禍による金余りも挙げられます。日本ではコロナ禍に一律給付金として10万が1回配られるだけ、というとても小規模な支援策が実施されました。ただ、海外ではそれを超える金額のコロナ支援金などが実施され、富裕層を中心に金余りが起きた結果、株式市場に大量の資金が流入したことの影響も無視できません」

「日本だけがどんどん貧しくなっている」


日経平均株価が私たちの生活状況を表す指標とはあまり言えないことがわかった。私たちの生活が豊かになっているかどうかを確認するうえで注目すべき指標として、広瀬氏は“実質賃金”を挙げる。

「厚生労働省によると実質賃金は21か月連続下落しており、30年前と比較しても、これだけ賃金が上がらない国は日本だけです。2021年3月の経済財政諮問会議に提出された資料によると、全世帯の年間所得は25年で178万円減少。25~34歳の若い世代の単身世帯では、非正規雇用の世帯の割合が大きく上昇しており、年収200万円台の低所得者の割合が増えました」

生活がまったく豊かにならない現状を鑑みると、実質賃金は端的に国民の生活レベルを表している数字と言っていい。続けて、実質賃金だけではなく、税金や社会保険料などを合計した“国民負担率”という指標にも言及する。

「私が生まれた1977年の国民負担率は27.3%でしたが、44年後の2021年には約1.75倍にあたる48.1%まで膨れ上がっています。税や社会保障の負担増に伴い、貯蓄ゼロ世帯は4割を超えました。世界中のほぼすべての国の国民の生活が豊かになっていく中、日本人だけはどんどん貧しくなっているのです」

まずは消費税廃止

どんどん世界から置いていかれている現在の日本。私たちの生活を豊かにするアイデアとして、広瀬氏は消費税廃止を強調する。

「“税”とは収入や資産の多い人と低い人の格差を是正したり、社会を安定化させて公平な社会秩序を保ったりするためなどに存在する制度です。断じて行政運営を行なうための財源ではありません。中でも、消費税はとても質が悪い。消費税が導入されたり消費税率が上がったりする度に景気は悪くなりました。

景気悪化を招くだけではなく、高収入な人ほど負担が少なく、“逆進性”の高い税制こそ消費税です。年収1500万円以上の人の消費税負担率は約2%ですが、年収200万円未満の人は約9%というデータがあり、消費税は格差をより拡大させる恐ろしい税制といえます。消費税の影響によって日本国民の賃金は下がり、貯蓄できない人が増えていることは自明の理。まず消費税を廃止することが、多くの日本国民の生活を豊かにすることにつながります」

矛盾する財務省

消費税廃止の必要性が見えてきた。ただ、なぜ日本政府はそれらを講じようとしないのか。その背景には日本の財政を司り、霞が関最大の権力を持つ財務省の存在が大きいと話す。

「財政法4条に『国の歳出は、公債又は借入金以外の歳入を以て、その財源としなければならない』と記されています。財務省はそれに則って借金(国債発行)を抑制して、ありとあらゆる増税策を今日まで施行してきました。

しかし、財務省のホームページには20年以上も前から『日・米など先進国の自国通貨建て国債のデフォルト(財政破綻)は考えられない』と書かれています。また、『国が発行しているから安心』『元本割れなし』といった広告まで使って個人向け国債を販売しています。

国債発行を嫌がっていながらも、国債発行のリスクがないことを示し、さらには国債販売にも力を入れており、矛盾していると言わざるを得ません。にもかかわらず、財務省はいまだに財政出動を抑制し、増税策を推進するように政府に圧をかけ続けています」

財政論に右も左もない

ちなみに、広瀬氏は財務省の誤った行動を指摘して、積極的な財政出動・消費税廃止の必要性を訴えるために「積極財政を推進する地方議員連盟」を立ち上げたという。現在も積極財政派の議員を後押しするため活動していると説明。

「全国の地方議員143名(3月1日現在)が加入しており、政党に属していない地方議員も少なくありません。また、自民党、公明党、国民民主党、日本共産党、れいわ新選組、参政党などに所属している半数以上の会員も、消費税減税・廃止に向けて積極財政の必要性を日々訴えています。財政論に右も左もないのです」

積極財政派の議員を多く誕生させる

では、日本で暮らす人がより豊かさを高めるために、私たち国民がやるべきことは何なのか。

「国民だけではなく政治家や行政官の多くが、財務省によるプロパガンダ(政治的宣伝)によって『国の支出を抑えて税金を増やさなければ日本は破綻する』と思い込んでいます。まずはその誤解に気付くこと、なにより消費税がいかに私たちの生活を圧迫しているのかを知ってもらうことが大切です。

また、私が共同代表を務める『積極財政を推進する地方議員連盟』に所属する地方議員、積極財政派の国会議員を支持してもらい、同じ考えの政治家を党派に関係なく1人でも多く増やしていかなければいけません。そして、積極財政派の総理を誕生させることで、多くの国民の生活が豊かに生活になります」

積極財政派の議員を多く誕生させなければ、どれだけ株価が上がったところで、私たちの生活は明るく豊かにはならない。財政出動に対して、そして消費税に対してどのように考えているのかを、1つの指標として投票先を決めていきたい。

取材・文/望月悠木 写真/shutterstock

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