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輝ける失敗。危機に直面した「アポロ13号」のミッションから50年

sorae.jp / 2020年4月16日 11時0分

「アポロ13号」打ち上げの瞬間(Credit: NASA)

1970年4月12日の朝4時すぎ(日本時間)、ケネディ宇宙センターから3回目の有人月面探査を目指す「アポロ13号」が打ち上げられました。このときサターンVロケットの第2段(S-II)に搭載されていた5基のエンジンのうち1基が飛行中に停止してしまうというトラブルに見舞われたものの、アポロ13号は月へと向かう軌道へと無事に投入されています。

アポロ13号の宇宙飛行士たち。左から:ジェームズ・ラベル、ジョン・スワイガート、フレッド・ヘイズ(Credit: NASA)

しかしミッション2日目となる1970年4月14日12時8分頃(日本時間)、司令・機械船「オデッセイ」を構成する機械船に搭載されていた液体酸素タンクのひとつが爆発してしまいます。宇宙飛行士の呼吸に必要な酸素が漏れ出しただけでなく、機械船に搭載されていた電力源である燃料電池も3つすべてが機能を失ったため、オデッセイは電力不足にも陥ります。宇宙飛行士が帰還する際に切り離される司令船にも酸素やバッテリーが搭載されていましたが、これらは大気圏再突入時に必要とされるものなので、温存しておかねばなりません。

切り離された月着陸船「アクエリアス」。事故発生の直後から大気圏再突入の直前まで3名の命を支え続けた(Credit: NASA)

司令船の酸素や電力を温存するためにオデッセイのシステムはシャットダウンされ、宇宙飛行士のジェームズ・ラベル、ジョン・スワイガート、フレッド・ヘイズの3名はオデッセイとドッキングしていた月着陸船「アクエリアス」へと乗り移ることになりました。使い捨ての月着陸船から救命ボートとなったアクエリアスは、月の裏側を経由して地球へと戻る自由帰還軌道に乗った3名の命綱となり、大気圏再突入の直前まで彼らを支え続けました。

地上のNASA職員が作り方を考案して宇宙飛行士が実際に船内で組み立てた、司令船のものを転用したフィルター(中央やや上に見える箱状のもの)(Credit: NASA)

機械船が使用不能に陥るという事態を乗り越えて3名が無事帰還したことから「Successful Failure」、日本語では「成功した失敗」や「輝ける失敗」などと呼ばれるアポロ13号のミッション。今年でこのミッションから50年を迎えたNASAでは、当時の状況を詳細にまとめたテキストコンテンツや、宇宙飛行士と地上の交信を50年越しの「リアルタイム」で聞くことができる特設サイトなどを公開しています。いずれも英語ではありますが、当時の緊迫したやりとりや解決に向けた取り組みが、当時の様子を伝える写真や動画とともに紹介されています。

3名が生還したことで喜びに湧く管制室(Credit: NASA)

なお、宇宙飛行士の生還に向けた彼ら自身とNASA職員たちの奮闘ぶりは、1995年公開の映画「アポロ13」でも描かれています。

 

関連:まもなく50年、アポロ13号の宇宙飛行士たちが見た月面をNASAが再現

Image Credit: NASA
Source: NASA / Apollo 13 In Real Time
文/松村武宏

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