カーデザイナーが手掛ける宇宙船のコンセプトモデルとは!?

sorae.jp / 2020年10月28日 17時33分

サブオービタル宇宙船「Space Wonderlust」子機のコンセプトデザイン3DCG

▲サブオービタル宇宙船「Space Wonderlust」子機のコンセプトデザイン3DCG

皆さんはじめまして!今回この記事を担当させて頂きます、インタビュアーSです!

車のデザインを手掛けるカーデザイナーと宇宙船…意外な組み合わせですよね!?お話を伺ったのは、カーデザイナーでありながら「Creators Guild(クリエイターズギルド)」というモノづくり集団の代表を務める高野峯羽(こうのみねは)さん!

インタビューを通し、物腰が柔らかい雰囲気とは裏腹に、隠し持った強いこだわりと情熱がヒシヒシと伝わってくるアツイ方でした!
これまで宇宙にあまり興味がなかった僕でも、話にのめり込んでしまうような…

そもそも高野さんは小学生の頃からスターウォーズマニアだったようで、宇宙への憧れが半端なかったようです!
美術大学の卒業制作で火星探査機をデザインするなど、宇宙に対する愛は深まるばかり。寝ても覚めても宇宙…皆の顔も惑星に見えてくる…!(すみません、少し話を盛りました。)

しかし当時、宇宙業界でデザインの仕事はなく…同じモビリティの世界を学べると考え車業界へ就職しましたが、「宇宙のデザイン」に携わりたいという夢は、ずっと持ち続けていたようです…!(やっぱりアツイ方!!)

「Creators Guild」代表 高野さん カーデザイナー兼、宇宙プロダクトデザイナー

「Creators Guild」代表 高野さん カーデザイナー兼、宇宙プロダクトデザイナー

しかしついに一般の人々でも宇宙へ行ける時代がやってきたのです…!!
(キターーーーーーーーーー)

今回ご紹介したいのは「Creators Guild」が手がけた、
サブオービタル宇宙船のコンセプトデザインモデル「Space Wonderlust(スペースワンダーラスト)」について!!
(サブオービタル宇宙船というのは、宇宙との境界線である地上から100km付近まで飛行し、帰還するタイプの宇宙船のこと。)

インタビューを通しモデル製作に至った経緯や、デザインで表現したいことなどを深掘りしていきたいと思います!!

■カーデザイナーが宇宙船デザインをする理由

インタビュアーS「こんにちは、高野さん。改めて本日はよろしくお願いします!
高野さんの本業はカーデザイナーですよね、なぜ宇宙船のデザインをしようと思ったのですか?」

高野「カーデザイナーの仕事は、街を走る車のデザインが基本となりますが、時折モーターショーに出展するコンセプトモデル、いわゆるショーカーのデザインを手がけることがあります。
そのたび心の中で、『いつかスペースシップショーが開催されたら、宇宙船のコンセプトモデルを作って展示したい!』と考えていました。」

インタビュアーS「確かに、モーターショーのように宇宙船のコンセプトモデルのショーがあったら面白そうです!
しかし、昔から宇宙船はあるのに、スペースシップショーがない理由は何かあるのでしょうか…?」

高野「車の場合も、発明されてすぐモーターショーを行っていたわけではありません。ある程度生活に普及した結果、顧客が新しい製品を求め、見た目や乗り心地など、+αの価値観をデザインで差別化していく必要性が出てきた。そういう時代の流れがあり、モーターショー等でデザインを見比べることができるようになっていったのです。
それに比べ、宇宙旅行の時代は始まったばかりで、見比べられるほど多くのデザインがあるわけではないのが大きな要因だと思います。これまでの宇宙船はいわゆる一般向けの製品ではないので、機能重視で見た目や乗り心地は二の次でした。

そんな中、デザイン面で飛躍的に進歩している宇宙船がアメリカから出始めました。この間ISS(国際宇宙ステージョン)にドッキングした、イーロンマスク率いるspaceXのCREW DRAGONです。
こちらは、コックピットに全面タッチパネルを採用したり、インテリアも白を基調としたクールなデザインが印象的でした。

spaceXのCREW DRAGON photo by Official SpaceX Photos

spaceXのCREW DRAGON photo by Official SpaceX Photos

また、Amazonのジェフベゾスが手がけるBlue OriginのNew Shepardもカッコいいですよ。
これらの宇宙船は、宇宙飛行士だけでなく一般の人々が将来乗ることを想定しているのでデザインを重視しています。

インタビュアーS「なるほど。宇宙船も宇宙旅行の実現化により、一般のニーズにデザインで応える時代になってきたということですね。
では、具体的にどのようにデザインを進めていかれたのでしょうか?」

■キーワードは「没入感」

高野「先ずは、チーム作りのためにクリエイター達に向け有志を募りました。
NASA/JPLの小野雅裕さんから、リーマンサットプロジェクトの人工衛星デザイナー山下コウセイさんをご紹介頂いたところ、すぐに意気投合しまして…
今回の宇宙船デザインプロジェクトをスタートさせることができました!
また、本業で一緒に仕事をしているCGモデラーや、コンセプトアーティストなどの協力もありデザイン開発体制が整いました。
そして、自身が所属する宇宙ビジネスオンラインサロン『ABLab』メンバーの、スケールモデル制作へ向けた全面バックアップにより、イマジネーションを実現することが可能となったのです。」

リーマンサットプロジェクトで人工衛星のデザインも手掛ける山下コウセイさん 本業は大手バイクメーカーのデザイナー

インタビュアーS「現役のクリエイター達が集まれば、実現化も早そうですね、心強い…!!様々な角度から意見が飛び交う様が目に浮かびます。」

高野「それぞれが一人の宇宙旅行者になったつもりで、打ち合わせを行いました。
キーワードを決める際に、『カッコいい』『乗り心地がいい』『地球を綺麗に見たい』など様々な意見が出ましたが、
突き詰めていくと、日本ならではの感性である『おもてなし』の気持ちや、スペック勝負ではなく『体験し、感動すること』を通じて伝わる『価値』を心に訴えかけることが重要であり、宇宙業界で軽視されていた『情緒』の部分がこれからは大事なんじゃないか、という話にまで発展しました。

それらを表現するためのキーワードとして選んだのが『没入感』。
ターゲットは、宇宙旅行者。
宇宙空間を全身で体感し、没入できる体験を与えたい。をコンセプトに、具体的なデザインへと進んでいきました。

ただ、コンセプトモデルとはいえ実現性のあるデザインにすることが前提です。
SF映画に出てくるような、ワープしてどこへでも行ける’’非現実的なメカ’’ではなく、実際に進行中の宇宙船のスペックをベースに、その少し未来を見せられるモノにすることにしました。…非現実的なメカも大好きなんですけどね(笑)」

■コンセプトから、デザインへの落とし込み

インタビュアーS「カッコいい機体ですね!!インパクトがある見たことのないデザインです!

サブオービタル宇宙船のコンセプトデザインモデルということですが、
この二つの機体にはそれぞれ役割があるものなのでしょうか?
合体しているようも見えますが、乗客が過ごす空間はどちらになりますか…?」

高野「上部が大気圏内を水平に離陸できる親機にあたり、
下部が大気圏より外へロケットエンジンで上昇できる子機となります。
これは、英virgin galactic社のSpace ship twoとおなじ設計思想です。
乗客は子機部分に乗り込み、途中で親機から切り離された後、高度100kmの宇宙を目指します。
写真だと小さく見えるかもしれませんが、子機だけで全長15Mほどあり、パイロット含め計8名が乗れる空間が確保されています。」

インタビュアーS「意外と広い!!そうか、下部の子機だけが宇宙へ行けるという訳ですね。窓が沢山配置されていて、乗客は景色も楽しめそうですね。」

高野「現在あるサブオービタル機は船内が狭く、窓も小さいため視界があまり良いとはいえません。その問題点を、親機・子機の構造からデザインで解決する必要がありました。
例えば親機は、子機からの視界を遮らないよう翼部分の位置を高めに設定し、ゆとりのある空間を設けています。出発の際は、ロケット発射台ではなく普通の空港から離発着できることを想定しているので、宇宙へ行くまでの間も景色を楽しむことができますよ。」

インタビュアーS「普通の空港ですか!?飛行機に乗ろうとして、この機体が隣にあったら、魅入っちゃいそうです。間違えて乗っちゃいたいっ(笑)
こんなにスタイリッシュで美しい機体…他にないですからねー…子供も大人も関係なく、空港へ訪れた多くの人が憧れてしまうんじゃないですか?」

高野「憧れの存在になってほしいですね。いつか乗ってみたい、と思えるような『映える(ばえる)』外観は意識しています。

遠くから見ただけで魅了される流麗なフォルムは、親鳥が子供を抱くイメージからもきていて、ターミナルにいる人でも目に留まるようデザインしています。」

インタビュアーS「子機の顔が映るほどピカピカの塗装にも目が留まりますが、こちらにも何か意図が…?」

高野「重要な役割があります。宇宙空間を飛行するので、太陽からの熱による影響を最小限に抑えるために鏡面仕上げにしました。
また、子機の翼先端にカメラが付いていて、いわゆる「自撮り」ができるようになっています。地球と宇宙が映りこんだ宇宙船の中で浮遊する乗客を撮影できれば、インスタ映えすると思いません?(ニヤリ)」

インタビュアーS「むむ、塗装にまで機能があり、SNSもしっかり意識されている…イイッ!抜け目ないですね~!それになんですか?鏡面効果で、まるで宇宙船が宇宙に溶け込んでいる様というのは…まさにキーワードにある、宇宙に『没入』じゃないですか、面白い!
そのほかにも没入ポイントはありますか?」

■とにかく広い内装

高野「主に子機の内装デザインで注力しています。
先ほど、’’サブオービタル機は船内が狭い’’と、お話させて頂きましたが、
その理由の一つに、ロケットエンジンが機体後部と一体型のため、燃料タンク等にスペースがとられるという問題点があります。
その改善策として、エンジンを二つに分けキャビン(室内)から切り離すことで、室内を広く確保し、宇宙へ出た際の無重力体験をより楽しめる空間を提案したいと考えました。

これにより、後端がエンジンで遮られないため、巨大なキューポラを配置することも可能になりました。」

インタビュアーS「見事にデザインで問題解決されていますね!だからこのような窓も沢山配置できるのかぁ…最高ですね、宇宙船って狭いイメージがあったので、このような空間設計なら乗ってみたいかも…!
ところですみません、キューポラってなんですか…?後ろの丸い窓のことでしょうか・?(急に専門用語出てきてさっぱりだぜ)」

高野「はい、機体後部から突き出している半球型の丸窓を指しています。
語源はイタリア語の”cupola”からきていて、屋根やドームや塔などの上に立つ小さな半球形の建造物の事です。
ISS(国際宇宙ステージョン)にもキューポラがあるんですが、宇宙船に組みこんだデザインは他にないと思います。」

インタビュアーA「半球型に突起しているガラスって事だから…360°宇宙を見渡せるということですね!!!」

高野「そうです!宇宙空間に囲まれて、まるで船外で宇宙遊泳しているような気分を安全に味わってほしいと考えています。
それも今回のキーワードである『没入感』からきています。(ニヤリ)」

インタビュアーS「キーワードからブレることなく、一貫したデザインへのこだわりを感じますねー!
もしかして、シートにもアイデアがあったりするのですか…?」

■折り紙のような可変シート

高野「はい、これも宇宙に出てから最大限空間を広げられるよう、床へ収納できる構造となっています。

内蔵したエアバッグを膨らませたり縮めたりするとシートの厚みが変わります。
まるで折り紙のようにシートを可変させて、離着陸時と宇宙空間それぞれの状況で最適な形状になる仕組みです。」

インタビュアーS「おお!シートが折りたたまれると更に広く感じます!!広いってだけでテンションが上がってしまうのはなぜなんでしょうね(笑)無重力の中、はしゃいで変な動きになっても、誤ってシートにぶつかる心配もなさそうです!
あ、でも何もなさすぎて逆に人にぶつかってしまうかも?何か掴まるところなどはありますか?」

高野「窓の周りや天井、床にも掴まるためのスリットが配置してあり、自由に船内を飛び回れるようになっているので大丈夫ですよ。無重力では上も下もないので、地上とは全く違った感覚になると思います!うまくはしゃげますかね?それは行ってからのお楽しみってことで(笑)」

■Gotoトラベルで宇宙へ!?

インタビュアーS「いやあ、聞けば聞くほど、本当に様々なアイデアで「没入」体験を実現できていることがよくわかりました。
このモデルは実際に飛ぶ予定はあるんですか?
GoToキャンペーン適用で、僕なんかでも乗れないかな…こんなに広い空間だし、大勢で乗って割り勘とか…(ブツブツ…)」

高野「これはあくまで’’コンセプトモデル’’ですので、実現は未定です。
こういった提案を国内外の宇宙船を開発している企業に見ていただいて、コラボレーションできたらと考えています。」

インタビュアーS「もし実際に飛行することになったら、宇宙婚活パーティーとか企画しても面白いでしょうね~!僕、速攻フラれて、すぐ地球が恋しくなりそうです(笑)」

高野「5分しか宇宙にはいないので、フラれてもすぐ帰れますよ(笑)まぁ色々想像すると楽しいですよね。」

インタビュアーS「今回のお話を通し、宇宙旅行に向けた開発が盛り上がってきているように感じました!このような夢のある提案は企業だけでなく、多くの人に知っていただきたいですね!!」

高野「はい。そのためにも、このコンセプトモデルを宇宙関係のイベントに展示することを予定しています。
具体的には11月27日(金)28日(土)に開催される「ロボット・航空宇宙フェスタふくしま2020」へ出展することが決定しています。

コンセプトデザインのスケールモデルだけでなく、プロモーションムービーや製作の過程を紹介するパネルなども展示します。

よろしければ是非会場まで足をお運びください。」

インタビュアーS「今年はコロナの影響で会場の参加に制限がかかり、オンラインでの配信も予定されているようですね?
一人でも多くの方に興味を持って頂き、遠方で参加が難しい方でも、配信で宇宙の最新情報に触れてみてくださると嬉しいですね!
本日は様々なお話を伺わせていただきありがとうございました!!」

イベント詳細

「ロボット·航空宇宙フェスタふくしま2020」

URL : https://robotfesta-fukushima.jp/
日時 : 2020年 11月27日(金)10:00~17:00/ビジネス向け展示会
11月28日(土)10:00~16:00/一般向け展示会
場所 : ビックパレットふくしま 福島県郡山市南2丁目52番地
https://www.big-palette.jp/

 

クリエイターズギルド詳細
Facebook : https://www.facebook.com/groups/130431271629930/about
Instagram : creators_guild_japan
twitter : @CreatorsGuild_J

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