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40億年前古代の火星で「数千回の破局噴火」が起こっていたことが判明

sorae.jp / 2021年10月1日 21時0分

火星周回探査機マーズ・リコネッサンス・オービターのデータから作成されたアラビア大陸のクレーターの画像。火山灰は、このようなクレータなどに風によって運ばれ、水の作用によって粘土に変化しました(Credit: NASA/JPL-Caltech/University of Arizona)

【▲ 火星周回探査機マーズ・リコネッサンス・オービターのデータから作成されたアラビア大陸のクレーターの画像。火山灰は、このようなクレータなどに風によって運ばれ、水の作用によって粘土に変化しました(Credit: NASA/JPL-Caltech/University of Arizona)】

NASAは9月16日、NASAのゴダード宇宙飛行センターの地質学者パトリック・ウェリーさん率いる研究チームが、火星の北半球にあるアラビア大陸で、40億年ほど前に、5億年ほどに渡って、数千回の破局噴火が起こっていたことを突き止めたと発表しました。

破局噴火(super eruptions)は最大規模の火山の噴火です。数十年に渡って惑星規模の気候変動をもたらし、後には、大きいものだと40kmほどから60kmほどにもなるカルデラが残されます。

火星のアラビア大陸にこのような破局噴火を引き起こすことができる超巨大火山群が存在したことの最初の証拠はアラビア大陸に存在する7つの陥没した地形でした。

最初、これらの陥没した地形は隕石の衝突によってつくられたものだと考えられていました。ところが、2013年に発表された研究によって、これらの陥没した地形は、クレーターにみられるような完全な円の形をしていないことや側壁の近くの非常に深いところに岩石の床や棚があることなどから、超巨大火山の破局噴火によってつくられたカルデラであることが指摘されました。

この研究成果によりつつ、研究チームが着目したのが火山灰(volcanic ash)です。

破局噴火によって噴き出された火山灰は風に乗って広がっていき、地面に降り積もり、やがて、水の作用によって粘土に変化します。研究チームは、火星周回探査機マーズ・リコネッサンス・オービターの観測データを使って、地表にあるこのような火山灰に由来する粘土に含まれる鉱物の分布などを詳しく調べました。そして、同じく、火星周回探査機マーズ・リコネッサンス・オービターの観測データを使って作成したアラビア大陸の3D地図にこの火山灰に由来する粘土に含まれる鉱物の分布などのデータを重ね合わせました。こうして、研究チームが算出した火山灰の厚さから逆算して、アラビア大陸で過去に数千回の破局噴火が起こったことが解ったというわけです。

研究チームによれば、このような破局噴火を引き起こすことができる超巨大火山はアラビア大陸に集中していますが、それはなぜなのか、また、なぜ地球の半分ほどの大きさしかない火星で数千回もの破局噴火を引き起こしうるだけの量のマグマが発生できたのか、まだ多くの謎が残されているといいます。

これからの研究の進展がとても楽しみですね!

 

Image Credit: NASA/JPL-Caltech/University of Arizona
Source: NASA/論文
文/飯銅重幸

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