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税理士も頭を悩ませる「為替差益を計上するタイミング」について専門家が解説

相談LINE / 2017年10月25日 19時0分

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個人の確定申告で税理士も頭を悩ませる問題の一つに、為替差益の問題があります。為替差益とは、外貨建ての資産を持っている場合における、円換算による利益を言います。例えば、一ドル100円の時に1万ドルの預金をした場合、1ドルが120円になれば、為替差益は20万円(=(120円―100円)×1万ドル)と計算されます。
この為替差益については、所得税の計算上雑所得として課税されることになりますが、実務上、問題になるのは為替差益を計上するタイミングです。

■同一通貨の場合の疑問点

税理士からもよく質問があることですが、例えば10万ドルの外貨預金(預入時は1ドル=100円)を使って、アメリカの賃貸不動産を10万ドルで購入する場合の取扱いについて、混乱します。例えば、購入した場合のレートが1ドル=120円とした場合、円建てでこの取引を考えると200万円(=(120円―100円)×10万ドル)の為替差益が発生していることになります。

一方で、従来から持っていた米ドルを使って賃貸不動産を買った訳ですから、本人の理解としては、買った段階では何かしらの利益が発生している訳ではありません。このため、雑所得として200万円を申告する必要があるのか、往々にして問題になります。

■国税庁の取扱いを見ると

先に結論から申し上げますが、この場合には、200万円の雑所得の申告が必要になります。と言いますのも、従来は米ドルという資産だったものが、賃貸不動産という全く別の資産に転換したからです。

専門的になりますが、例えば持っている建物を他人の土地と交換した場合には、建物の譲渡所得を申告する必要があります。これと同様に、別の種類の資産に転換した場合には、その利益を申告するのが妥当である、このような整理がなされています。詳細につきましては、こちらの国税庁の質疑事例をご参照下さい。

このような取扱いの例外として、持っている外貨預金について、同一の金融機関に、同一の外国通貨で、継続して預け入れる場合には、為替差益を認識する必要はありません。これは、別の資産に転換された、と判断できないためです。詳細はこちらをご参照下さい。

■申告漏れが目立っている模様

報道によると、個人の為替差益の申告漏れが目立っているようです。上記のルールを整理した上で、専門家とも相談しながら、適正申告を行うよう心掛ける必要があります。

■専門家プロフィール

元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は税理士向けのコンサルティングを中心に118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開するとともに、法律論や交渉術に関する無料メルマガを配信中。

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