“和製ハーランド”U―20代表・後藤啓介が独占インタで誓い 今年中にA代表デビューからロス五輪へ
スポニチアネックス / 2025年1月11日 5時2分
日本サッカー界期待の若き大型ストライカーがいる。1メートル91の長身を誇るベルギー1部アンデルレヒトのU―20日本代表FW後藤啓介(19)だ。冬季休暇で帰国中に本紙の独占インタビューに応じ、“ハタチの誓い”を立てた。28年ロサンゼルス五輪世代のエース候補は、今年中のA代表デビューを目標に掲げ、26年W杯経由で五輪行きを目指すことを誓った。 (取材・構成 滝本 雄大)
今年20歳を迎える大型FWには、25年中にかなえたい目標がある。後藤ははっきりした口調で「(A代表の)森保監督が招集してくれれば、自分は準備ができている。メンタル的にも、いつでも呼ばれていい。あとは呼んでもらうだけ」と堂々と宣言。今年中に歴代最強と言われる森保ジャパン入りをターゲットに定めた。
“ビッグマウス”と力強い自信の裏には、10代で積み重ねたベルギーでの経験がある。昨年1月に磐田からアンデルレヒトへ期限付き移籍。当初は対応に苦しみながらも、徐々にアジャストしてみせた。
「ベルギーの特徴はボールを奪ってからも、奪われてからもゴールまでが速い。日本だとバックパスやつなぎで攻撃を遅らせることもあるけど、ベルギーは奪ったら、一気にゴールへ向かう攻撃が多い。慣れるまでは苦労したけど、慣れてからは結果もついてきた。環境への適応が結果につながったと思う」。最終的に昨季はベルギー2部所属のセカンドチームで14試合6得点1アシストと結果を出した。
基本は英語でコミュニケーションを取っているが、言語の勉強は「俺は感覚派なので(笑い)。現地で吸収していくタイプ」とあまり意に介さない。異国の地でもまれた経験が血肉となり、今季はここまでセカンドチームで15試合5得点1アシストと真価を発揮。その実力が認められ、昨年12月に磐田からの完全移籍も決まった。
今は平日にトップチームの練習に参加し、週末はセカンドチームで試合をこなす日々。残りのシーズンはトップチームでプレーし、1部で「10得点を取ることも目標」と言う。
特長はポストプレーや高い決定力だが、武器は他にもある。大柄ながら、少年時代の陸上競技経験で培った抜群のスピードだ。ボランチやセンターバックの経験で磨かれた足元の技術も魅力。まさに「強さ」「速さ」「うまさ」の三拍子そろった唯一無二のアタッカー。そのプレースタイルは、1メートル94のFWハーランド(マンチェスターC)をもほうふつさせる。また、幼少期から小学2年まではバレーボールにも打ち込み、ボールを受ける感覚が養われたという。
「トスのタイミングや跳躍がヘディングに凄く役立っている。自分のゴールにはバレーボールの良さが詰まっている」
昨年2月にはパリ五輪へ向けて欧州視察していたU―23日本代表の大岩剛監督が直々に面談に訪れた。大岩監督は続投が決まり、28年ロサンゼルス五輪に「出たい」と出場意欲を見せるが、目標はあくまでもA代表入り。「A代表経由でロス五輪に行くことが理想」と言い切った。
背番号はこだわりの強い「42」。中学3年時に磐田のトップチームで、清水との練習試合でゴールを決めた時の背番号だ。以降、“ヨニ(世に)出る”との思いも込めて、背番号は42番と決めている。スケールの大きい若武者が大志を抱き、目標を実現させていく。
≪ロス世代すでに海外組多数≫ 28年ロサンゼルス五輪を目指す世代は既に海外組が多い。後藤を筆頭にFW道脇豊(ベルギー2部ベベレン)やFW塩貝健人(オランダ1部NECナイメヘン)、DF小杉啓太(スウェーデン1部ユールゴーデン)が海を渡って活躍中。さらに日章学園のFW高岡伶颯はイングランド・プレミアリーグのサウサンプトン加入が内定している。パリ五輪では海外組の招集が難航し、世代だったMF久保建英らが不参加。3年後に向け、日本サッカー協会の調整力や今後の動向も注目される。
【取材後記 堂々とする姿の中に垣間見せる繊細さ】
後藤とは今回が初対面だったが、会ってすぐに大物ぶりを感じた。まずはサイズ感。記者も身長1メートル80だが、圧倒的大きさに見上げてしまった。さらに取材場所だった都内のカフェでは注文カウンターで「飲み物、何にしますか?」と尋ねると「たらこパスタにします!」と返ってきて、思わず笑ってしまった。
過去の他競技経験がサッカーに生かされていることを具体的に言語化してくれたことも印象的で、堂々とする姿の中に繊細さも兼ね備えている一面も垣間見えた。かなり空腹だったのか、パスタを頬張った後にキャラメルラテを飲み干した無邪気な笑顔を一生忘れない。 (サッカー担当・滝本 雄大)
◇後藤 啓介(ごとう・けいすけ)2005年(平17)6月3日生まれ、静岡県出身の19歳。磐田の下部組織出身で2種登録された22年7月の天皇杯4回戦でトップデビュー。正式にトップ昇格した23年のJ2開幕戦で2得点。高原直泰のクラブ最年少記録(18歳290日)を25年ぶりに更新した。24年1月にベルギー1部アンデルレヒトに期限付き移籍し、同12月には完全移籍。日本代表はU―15から各年代で選出。趣味はなく「休養日は昼寝で部屋から出ない」。1メートル91、70キロ。利き足は右。
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