客数減のココイチ「高くてもうトッピングできない…」 問われる今後の戦略
LIMO / 2020年1月25日 8時20分
客数減のココイチ「高くてもうトッピングできない…」 問われる今後の戦略
カレーチェーン店としてはガリバー的存在の「カレーハウスCoCo壱番屋」(以下、ココイチ)。元々は愛知県一宮市を本拠とするオーナー企業でしたが、2015年にTOBによりハウス食品(2810)の子会社となっています。
そのココイチ、インド進出など海外展開が話題となることも多いのですが、昨年3月の値上げ以降、国内では来客数の減少傾向が明らかです。
度重なる値上げの結果、財布に相談すると気軽にトッピングできなくなったココイチのカレー。値上げ効果でカレー自体の採算は向上したと考えられますが、昔ながらのトッピングの楽しみを顧客から奪う結果も招いています。
客数の伸びが止まったココイチ
ココイチを運営する壱番屋(7630)の既存店売上高が、今期(2020年2月期)下期に入りパッとしません。上期は7月を除き対前年同月比でプラス成長が続きましたが、下期に入った9月以降は11月を除きマイナス成長です。
また、客数は上期から変調をきたしています。既存店の客数は今期12月までの10カ月のうち、7カ月が対前年同月比マイナス、プラスは3カ月に留まっています。
値上げが影響? 今期は3月に値上げを実施
ココイチといえば値上げを行う外食チェーン店としても知られています。今期は昨年3月(期初に該当)に値上げをしており、東京23区内ではポークカレーが484円から505円へと、約4%値上げされました。
そして3月の既存店客数は対前年同月比で若干のマイナス(99.8%)に。4月こそ101.1%と戻したものの、以降は6月と11月を除き客数はマイナス成長となっています。
しかしそれでも上期の貯金があり、同社は12月25日に通期業績予想の上方修正を発表しました。
さらば気軽なトッピング、値上げでカレーだけしか頼まなくなった
筆者は二十数年来のココイチファンです。かつて金曜日の晩は、飲みに行かなければ、ほぼココイチで夕食という時期があったほどです。
当時のお決まりのメニューは、野菜カレー大盛に野菜サラダ。時々サラダや大盛をやめてカツやチーズ等のトッピングに1〜2辛です。それでお値段850円程度の夕食を楽しんでいました。
2020年1月現在で同じセットを注文すると、野菜カレー745円+大盛110円+野菜サラダ189円(全て税込み)で1,000円を超えます。さすがにカレーを食べるのに1,000円出すのは痛い…。現在のココイチは財布のことを考えると、気軽にトッピングを頼むことができません。
ココイチといえば、トッピングには肉類、魚介類、野菜類、その他など、チーズや納豆、ウインナー、カツなどまで幅広い選択肢があります。個人的にはその昔、納豆カレーの5辛にハマッた時期があり、どんなトッピングでもココイチのカレーならうまい具合に仕上げてしまうのはさすがと思ったものです。
今は以前ほどではなくなりましたが、それでも時折ココイチには行きます。しかしある時、楽しみの一つだったトッピングを全く頼まなくなった自分に気付きました。度重なる値上げの結果、定番のカレーしか頼むことができない店となってしまったのです。
当然ココイチも商売ですから、食材や人件費上昇の結果の値上げだということはわかります。ただ、外食チェーン店では数少ないトッピングの楽しみがあった店だということもあり、一抹の寂しさを感じざるを得ません。
客数減少の中で値上げ戦略の真価が問われる
上述のように、壱番屋の月次情報を見る限り2020年2月期下期の結果は芳しいとは言えません。この状況が続くようなら、来期は減益決算の可能性もあります。
ココイチの度重なる値上げは、トッピングに頼らずカレー単体で収益を上げる体制を目指した、と考えることができます。しかし古くからのファンとしては、価格面からトッピングを楽しむことができない現在のココイチは、店に行く動機が一つ減ってしまった状態です。
ココイチの値上げ戦略は今後も顧客に受け入れられるのでしょうか? 足元で続く客数の減少が改善されていくのか、今後の推移が注目されます。
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