1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. 経済

傷病手当金の対象が拡大「コロナ療養限定」で国保加入者にも

LIMO / 2020年5月21日 21時15分

写真

傷病手当金の対象が拡大「コロナ療養限定」で国保加入者にも

「健康に自信があり、病院とは無縁の生活だった」。そんな人も、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大を目の当たりにし、自分が病気になったときのお金や暮らしについて考える機会が増えたのではないでしょうか。

今回は「傷病手当金」、業務外の病気やケガで仕事ができなくなったときに支給されるお金のお話です。

この「傷病手当金」は会社員や公務員などの健康保険や共済組合などの加入者を支給対象としていますが、COVID-19感染拡大を受け、「国民健康保険」や「後期高齢者医療制度」に加入して働く人も支給の対象とする特別措置が、期間限定で行われています。

それでは、従来からの制度の概要や、COVID-19に関連した新たな動きなどをみていきたいと思います。

「傷病手当金」って?

ひとことでいうと、「病気やケガで働けない状態になったとき、加入している健康保険組合や協会けんぽから支給されるお金」です。まずは、従来通りの枠組みでの「傷病手当金」について、あらましを整理していきます。

もらえるのはどんな人?

健康保険(勤務先の健康保険組合、協会けんぽ)の加入者

共済組合(公務員や公立学校教職員など)や船員保険の加入者

もらえる要件って?

業務外の事由による病気やケガの療養のための休業であること

「医師の意見」などが書かれた支給申請書の提出が必要となります。
業務中・通勤中の病気やケガは「傷病手当金」ではなく「労災保険」で補償されます。

仕事に就くことができないこと

連続する3日間を含み4日以上仕事に就けなかったこと

最初の3日間は「待機期間(土日祝日などの公休日も含む)」となり、傷病手当金が支給されるのは4日目からです。

休業した期間について給与の支払いがないこと

ただし、給与の支払いがあっても、その額が傷病手当金より少ない場合には、その差額が支給されます。

もらえる金額は?

1日あたりの支給額は、「日額報酬(*)の3分の2」。個人の報酬額をもとに、以下のように算出されます。

*日額報酬の計算方法
(支給開始日以前の継続した12カ月間の各月の標準報酬月額を平均した額)÷30日

(注)通勤手当などの報酬を得ているときや、同一疾病で障害厚生年金・障害手当金を受給している場合は、支給額が調整されます。

もらえる期間は?

支給開始日から最長で1年6カ月間。途中で一時的に復帰した期間も算入され、支給開始日から1年6カ月で支給終了となります。

退職したらどうなるの?

退職日までの健康保険加入期間が1年以上あり、かつ3日間の待機期間の経過後、すでに傷病手当金が支給されているか、支給を受けることができる状態であれば、退職後も継続して支給されます。

(注)退職後に公的年金を受給している場合、年金額に応じて傷病手当金支給額が調整されます。

コロナ流行で「国保加入者」にも対象拡大

さて、冒頭でも述べたように、COVID-19の感染拡大を受け、傷病手当金の支給対象に「国民健康保険」と「後期高齢者医療制度」に加入する被用者(勤め先から給与等の支払いを受けている人)も含めるという特例措置が取られました。この点について整理していきます。

対象拡大の理由は?

先述のとおり、従来「傷病手当金」の対象者は、健康保険や共済組合などの加入者に限られていたため、国民健康保険などの加入者には仕事を休んだときの収入の補償がありません。「傷病手当金」の支給対象とすることによって、新型コロナに感染もしくは感染が疑われた場合に、仕事を休みやすくするねらいがあります。

特例措置で新たに対象となったのはどんな人?

以下の3つの要件を満たす人です。

COVID-19に感染した(発熱などの症状があり感染が疑われる場合も含む)

「国民健康保険」「後期高齢者医療制度」に加入している「被用者」である

勤務できないことで給与の全部または一部を受け取ることができなかった

短時間のパート・アルバイトなど、非正規雇用で勤務先の健康保険に加入していない人が対象になるイメージですね。あくまで「被用者」が対象なので、「事業主」は国民健康保険に入っていても対象外です。

もらえる金額は?

1日あたりの支給額は健康保険加入者を対象とする「傷病手当金」と同じ、「日額報酬の3分の2」ですが、日額報酬の算出方法が少し異なります。

日額報酬の計算方法
(支給開始日直近の継続した3カ月間の給与収入の合計額)÷勤務日数

適用される期間は?

2020年1月1日~9月 30 日の間で仕事に就くことができなかった期間です。
(※)5月18日時点情報。国内の感染状況によって変更される可能性があります。

特例措置で留意する点は?

従来の傷病手当金(健康保険加入者向け)の適用は「業務外で発生した病気やケガ」全般です。一方、今回の特例措置である「国民健康保険」と「後期高齢者医療制度」加入者を対象とする傷病手当金は、COVID-19に感染したこと(感染が疑われる場合も含む)による休業であることが支給の要件となります。

さいごに

COVID-19に限らず、病気やケガは予告なく私たちをおそってきます。お金のことを気にしながらの療養は、心身ともに休まりませんよね。「傷病手当金」は、労働者が安心して治療に専念するために、ぜひ活用したい社会保障制度です。

申請するには、「傷病手当金支給申請書(世帯主・被保険者・事業主・医療機関それぞれが記入する4枚セットの書類)」の提出が必要となります。申請先は、健康保険の加入者であれば健康保険組合・協会けんぽ、共済組合など。国民健康保険・後期高齢医療制度に加入している人がCOVID-19関連で申請を出す場合は、各市区町村の担当窓口(保険年金課など)となります。

なお、COVID-19感染拡大防止のため、地域によっては受付方法を郵送のみに限定するなどの対策がとられています。申請される場合は、事前にホームページなどで確認してください。

【参考】
傷病手当金:「病気やケガで会社を休んだとき」(https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/cat310/sb3040/r139/)全国健康保険協会(協会けんぽ)HPより
「新型コロナウイルス感染症に感染した被用者等に対する傷病手当金の支給について(https://www.mhlw.go.jp/content/000612737.pdf)」厚生労働省 通達
「治療中にお金の不安を抱えないために…『公的医療保険制度』のしくみ(https://limo.media/articles/-/16617)」LIMO

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください