全体相場下落で「10万円で投資可能」になった銘柄をチェック。配当利回り投資の注意点も
トウシル / 2020年3月9日 9時29分
全体相場下落で「10万円で投資可能」になった銘柄をチェック。配当利回り投資の注意点も
新型コロナウイルスの懸念は遠からず取り除かれる?
「新型コロナウイルス禍」が、いつになれば市場の懸念でなくなるのか、言うまでもなく投資家の最大の関心事です。すでに「急に終息しないだろう(=一定の時間が要る)」という認識はコンセンサスになっており、さらに「相当程度の世界景気下振れにつながる」も同様と思われます。
新型コロナウイルスの発生地の中国・湖北省では日々の感染者が減少傾向を示しています。半面で、中国以外の国での感染は広がっており、むしろ懸念は拡大していると言えるでしょう。
3月2日の記者会見で、WHO(世界保健機関)のテドロス事務局長は「日本、韓国、イラン、イタリアの4カ国の状況について“深刻な懸念”がある」との認識を示しました。WHOのまとめで、この4カ国で(中国国外での)感染者数の8割を占めており、日本については2月下旬に国内での感染例が200人を超えたことを重くみた、とのことです。
深刻な懸念のある国として日本も名指しされたのです。日本国内では異論もあると思いますが、外国人投資家はWHOの見解を支持し、それに基づく行動を取ることは確実です。
大方の日本人はこのWHOの見解に違和感があるかもしれませんが、「異論」だけでは外国人投資家の行動を変化させることはできないのです。
では、どういう時にこの懸念がなくなるかを考えてみましょう。
- 治療薬・治療法の確立(オフィシャルなもの)
- 主要国の金融緩和策・財政出動
これが2大要因と考えます。
また、その前段階として「中国での新規感染者急減」も必要となってくるでしょう。治療薬・治療法については、一部のインフルエンザ薬や抗HIV薬、さらにはぜんそく薬が効果をもたらしたとする情報もあります。
他方、金融政策面ではすでに中国人民銀行は積極的な金融緩和にかじを切っていますし、日銀も3月1日に過去よりも大きな規模でのETF(上場投資信託)買い入れを行いました(金融緩和策と同様の効果を有する)。
FRB(米連邦準備制度理事会)は米時間3月3日に臨時のFOMC(米連邦公開市場委員会)を開き、政策金利を0.5%引き下げています。ECB(欧州中央銀行)のラガルド総裁も必要とあれば行動するとしています。米時間3月2日のNY市場ではNYダウ平均株価が1,296ドル高(約5%)も上昇するサプライズもありました。
そう遠くない時期に懸念は取り除かれていくと想定されます。
配当利回り投資の注意点
もうひとつ、現実的にありうるネガティブ事象を挙げておきます。とくに「配当利回り」を重視した投資を行っている投資家に向けたものです。
例年3月末は期末配当取りの動きが活発化する時期です。現在、総じて個別銘柄の株価が下落したことから「配当利回りが上昇した」ととらえることもできます。
しかし、現状のように多くの企業で業績下方修正が確実視される中では、前提条件に変更があるかもしれないことを認識しておくべきでしょう。
今手にしている『会社四季報』などに掲載されている予想配当利回りを前提として、これまでと同じように投資ができるのかどうかは未知数なのです。予定通りの配当を実施する企業はもちろんありますが、そうでなく減配・無配に転じる企業もあるからです。
ここでは、今回の下落局面で、株価が1,000円以上(10万円で投資できない)から1,000円以下(10万円で投資可能)になった銘柄を参考として取り上げます。個別に下落する要因に乏しく、どちらかというと「つれ安」になった印象の強い銘柄です。
全体相場波乱につれ安で「10万円株」になった銘柄をチェック
株価データは2020年3月4日終値ベース。
インフォマート(2492・東証1部)
ネットを活用した食材の企業間電子商取引プラットフォームを運営し、急拡大しています。
2019年来高値は2020年1月14日の1,044円です。
・インフォマートの日足チャート
オリコン(4800・JASDAQ)
かつての音楽チャートだけでなく、「オリコンランキング」 の知名度を生かし、 エンタメ関連ニュースを中心に配信するWebサイトの運営に軸足シフトしています。
2019年来高値は2020年1月9日の1,900円です。
・オリコンの日足チャート
長大(9624・東証1部)
建設コンサルタント上位企業、長大橋りょうで世界屈指の存在です。官公庁需要への依存が強いことから追い風も吹いています。
2019年来高値は2019年10月31日の1,420円です。
・長大の日足チャート
日本電子材料(6855・東証1部)
半導体集積回路の前工程の検査用部品であるプローブカードで国内次位級、世界では4位級の企業です。ここまで減益幅が縮小傾向にありました。
2019年来高値は2020年1月14日の1,222円です。
・日本電子材料の日足チャート
マクロミル(3978・東証1部)
オンラインを中心としたマーケティングリサーチで国内首位級グループです。米国は食品・飲料業界向け、欧州は広告代理店向け中心に展開しています。
2019年来高値は2019年1月21日の1,739円です。
・マクロミルの日足チャート
(天海 源一郎)
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