投資に成功する人、失敗する人、何が違う?:「老Tuber」ラジオヤジさんインタビュー前編
トウシル / 2020年11月26日 9時0分
投資に成功する人、失敗する人、何が違う?:「老Tuber」ラジオヤジさんインタビュー前編
今回は、投資系YouTubeチャンネル『ラジオヤジのYouTube研究所』を運営する、ラジオヤジさんにご登場いただきました。
もともと投資顧問会社を経営していましたが、2010年頃からYouTubeやブログで投資情報を発信するように。その後、いったん休止しましたが、現在は毎日、投資にまつわる動画を配信しています。
御年61歳。自ら「老Tuber」と名乗るラジオヤジさんに、投資を始めるときの心構えや投資家として成功する秘訣(ひけつ)などを聞きました。
投資には人を狂わせる魔力がある
──YouTubeチャンネル、拝見しました。投資系のコンテンツは15分程度のものが多いですが、ラジオヤジさんの動画は長いですよね。
短くても30、40分、長いと1時間を超えるものもあり、見応えがあります。それを毎日、収録して配信するのって大変ではないですか。
昔は1日に3、4本配信することもあったんですよ。今は1日1本ですから、その頃に比べたらラクなものです(笑)。
──1時間の番組を作るとなると、かなり時間がかかるのではないですか。
通常、朝起きるといろんな媒体に目を通して情報を集め、それから4~5時間かけて収録と編集を行います。
──本業は投資顧問業なのですか。
そちらは引退しました。もう還暦を過ぎたし、そろそろ一線を退いてもいいかなと。今は本業がYouTuberです。
──YouTubeを始めようと思ったきっかけを教えてください。
長年、投資顧問業に携わる中で、いろんな人を見てきました。その中にはリスクの高い商品に手を出したり、無謀な取引を行ったりして、なけなしの財産を失いかけた人もいます。
僕は投資が大好きですし、人生を豊かにしてくれるものだと思っていますが、それもやり方次第であって、1つ間違うと一生を台無しにすることもあります。
だから、投資とはどういうものなのかをきちんと知ってから始めてほしい。それで、僕が培ってきた知識やノウハウをたくさんの人にお教えできればと考えました。
──投資で失敗する人を多く見てきた、ということですか。
もちろん、うまく投資と付き合っている人はたくさんいますし、中には驚くような利益を上げている人もいます。でも、一夜にして大金を失った人もたくさん見てきました。
──今も覚えている人はいますか?
ある経営者の方ですが、仕事が手につかないくらい投資にハマっていました。「ここは引くべきです」などと助言しても、1億、2億とつぎ込んでいく。根拠がないのに、いつか取り戻せる、いつか増やせると信じ切っているんです。
結局、この方は会社をつぶしかけました。
──他にも印象に残っている人はいますか。
30代くらいの主婦の方でしたが、証券会社の担当者に勧められてある商品を買ったら、500万円失ったと相談を受けました。よく聞いてみると、どうやら先物だったらしいんです。先物が何なのかを知らずに大金を投じたとか。
ご主人に内緒で購入したらしく、今さら打ち明けることはできない、何とか取り戻せないかと泣きつかれたのですが、僕としてもどうしようもなかったですね。
──どちらも、わりとよく聞く話かもしれません。どこかで冷静さを取り戻していれば、途中で引き返すことができたのではないかと思うのですが。
投資には人を狂わせる魔力みたいなものがあるんです。だから、普段は慎重な人でもうかつな行動に出てしまうことがあるし、知らず知らず深みにハマってしまうこともあるんです。
自分は大丈夫と思っている人も、いざとなったらどうなるかわからないと考えておいたほうがいいと思います。
勝つことしか考えない人は負けやすい
──こういうタイプの人は気をつけたほうがいい、みたいなものは何かありますか。
1つは思い込みが激しい人ですね。これと思ったら、それ以外のことは目に入らない、周りが見えなくなってしまうタイプです。
一例を挙げると、投資をやっている人には、特定の有名投資家やアナリスト、あるいは有名ブロガーなどを信奉する人が多いんですね。その人の言うことはすべて正しいと頭から信じ込んでいる。
当たり前のことですが、どんなに実績がある投資家やアナリストでも判断を誤ることはあるわけで、何でも正しいと思うのは危険だと僕は思います。
──ラジオヤジさんにもそういうファンの方がいそうです。
僕にファンと呼べるような方がいるかどうかはわかりませんが(笑)、もしいらっしゃったら、僕の話をうのみにするのでなく、あくまでも参考にとどめてほしいと言いたいですね。
実際、動画のなかでは「投資の際は、ご自身でよく考え、ご自身の判断のもと、自己責任で投資してください」と必ず言っています。
──自分で判断できない場合はどうすればいいでしょうか。
特定の誰かを信奉するのでなく、いろんな人の意見に耳を傾けることでしょう。今も米国大統領選が終わり、日本の株式市場がどう動くか、多くの専門家が見解を述べていますが、それぞれ見方はさまざまです。たくさんの人の意見を聞くのは大事だと思います。
──ちなみにラジオヤジさんには「信奉する人」はいますか?
僕は毎日、いろいろな投資メディアをチェックしていますが、鋭い見方をするな、分析が的確だな、と思う方は何人かいます。ただ、信奉しているわけではありません。
──他に、投資で失敗する人に共通することはありますか。
いつも勝つことしか考えていない人ですかね(笑)。
──みんなそうなんじゃないでしょうか(笑)。
それはそうなんですが、実際には勝てるとは限らないわけですよね。株価が上がると思って買っても、当然下がることもあります。いや、むしろ、下がることのほうが多いかもしれない。
ですから、本来、株を買うときには、アテが外れたらどう対処するのかを考えておかなければなりません。そうすれば、どんな事態が訪れてもあわてずに対応できます。
その点、勝つことしか頭にない人は、株価が急落したりすると、どうしていいかわからなくなってしまう。それでは勝つことはできません。
買い時や売り時をじっくり待てる人が勝てる
──反対に、成功しやすいタイプはどんな人ですか。
今、話したことの裏返しになります。つまり、さまざまな情報やデータに基づいて総合的な判断を下せる人、そのときどきの状況を見ながら柔軟に対応できる人、万が一のことを想定して行動できる人……。
──なるほど。
それともう1つ、じっくり待てる、ということも重要かもしれません。
──どういうことですか。
株でも何でも「買い時」というのがあるんです。僕自身は、一番の買い時は暴落時だと思っていますが、それは1年のうち、何度かしかありません。
つまり、買いたい銘柄があっても我慢し、暴落時を待つ。それができる人が勝てるように思います。
──なるほど。特に難しいことではない、という気もします。
それがそうでもないんです。なぜなら、投資家というのは、常にポジションを持っていたいものです。いつどんなときも何かを保有していたい。
何も持っていないときに、経済情勢が好転して株価が上がったりすると、みすみす稼ぐチャンスを逃すことになりますよね。それが嫌なんです。だから、待つことができず、つい買ってしまう。
──その気持ちを抑えられるようにならないと勝てない、ということでしょうか。
僕はそう思います。
──買い時と同様、売り時を待つのも大事ですか。
はい、もちろんです。
──売り時は、待てばいいというものではないように思います。もっと上がるだろうと待っているうちに下がることもあれば、もうそろそろ上がるだろうと待っていてもどんどん下がることもありますよね。
そうですね。ただ、買った銘柄が下落したときに関しては、皆さん、売るのが早すぎるように思います。
このままどんどん下がるのではないかと恐怖に駆られるのはよくわかります。今のうちに損切りして、被害を最低限に抑えようとするのも当然でしょう。でも、怖いからと売る前に、他の手段も検討してみるべきではないでしょうか。
──そういうとき、例えばどんな手段がありますか。
ナンピン(購入後に値下がりしたとき、同じ銘柄を買い増しして平均購入価格を下げること)もその1つでしょう。その後、株価が上昇すれば、より大きな利益を得られますから。
──ナンピンは絶対にしないという投資家も少なくないように思います。
ナンピンがいいか悪いかは、投資スタイルなどにもよります。だから、僕も誰彼かまわず勧めるつもりはありません。実際、初心者にはリスクが大きいかもしれない。ただ、少しでも下がったら売るというのは、あまり賢明ではないと思っています。
──なるほど。ときには売りたい衝動を抑えることも大事なのですね。次回は、これから投資を始めたいという人に、具体的なアドバイスをお願いしたく思います。
▼ラジオヤジさんインタビューをもっと読む!
中編:「しょぼトレ」のススメ。ビギナー向け株式投資
後編:日米最強銘柄を探せ!
(トウシル編集チーム)
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