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1万円で買える米国高配当株5選!11月権利落ち分を解説

トウシル / 2021年10月20日 6時0分

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1万円で買える米国高配当株5選!11月権利落ち分を解説

 米国の株式市場は世界最大の時価総額を持ち、建国当初から株価は右肩上がりの成長を続けています。その理由の一つとして、常に企業の新陳代謝が起こり、時代ごとに革新的な企業を生み出しています。

 米国株式の代表的な株式指数は、鉄道・公共事業以外の工業株30銘柄で構成される「ダウ工業株30種平均(NYダウ)」、NASDAQ(ナスダック)に上場している全銘柄を対象とした「ナスダック総合指数」、NYSE(ニューヨーク証券取引所)とNASDAQに上場している大型株500銘柄を対象とした「S&P500種指数」があります。

 これらに採用されている企業は長期間にわたり利益を出し続け、株価も上昇し、配当を増配し続けている銘柄も珍しくはありません。

 そこで2021年11月権利落ちの米国株高配当5銘柄について解説します(株価、配当利回りなどのデータは2021年10月15日現在、為替は1ドル=114円で計算)。

 その前に、日本と米国の高配当銘柄への投資で、特に重要な3つの違いについて、お伝えします。

(1)米国株の配当金は、通常米国で10%、日本で20.315%の2段階、約30%の課税がされます。しかし確定申告で還付を受けることにより、日本株と同じように20.315%の税率と同じになります。ただし、NISA(ニーサ:少額投資非課税制度)口座で購入した場合は、日本での利益・配当金はもともと非課税のため、還付を受けることはできません。この場合は米国で10%の課税のみとなります。

(2)米国株は日本株と異なり、権利落ち日が月末に集中していません。そのため、銘柄ごとに権利落ち日を確認する必要がありますので注意が必要です。

(3)米国株は日本円で買う円貨決済と、米ドルで買う外貨決済を選べます。日本円から外貨に替える為替手数料も積もれば大きな金額になるので、米国株を買い続けるなら売却時にも外貨決済で米ドルにしなければ無駄に手数料を支払うことになります。

≫関連記事:1万円で買える米国高配当株5選!10月権利落ち分を解説

米国高配当株1:グラクソ・スミスクライン(GSK)

 英国に本社を置くグローバルヘルスケアカンパニーです。

 医薬品事業(Pharmaceuticals)、大衆医療品事業(Consumer Healthcare)、ワクチン事業(Vaccines)製品という3つの事業をグローバルに展開し、それぞれの事業において製品を研究・開発・製造しています。

 時価総額は972億ドルで、日本円で約11兆1,000億円となっています。

事業の注目ポイント

 事業の中心は医薬品事業で、続いて大衆医療品事業、ワクチン事業となります。

出所:決算データより筆者作成

 医薬品事業では呼吸器、HIV(エイズウイルス)/感染症などを取り扱っています。

 また、大衆医療品事業では歯磨きの「シュミテクト」や抗炎症剤「ボルタレン」など日常のヘルスケアブランドを、ワクチン事業では人々を各種疾病から守る数々のワクチンを供給しています。

株式の注目ポイント

 株価は昨年2020年の高値まで戻っていませんが、配当は昨年後半より毎四半期ごとに増配しています。

 昨年、新型コロナウイルスの影響により帯状疱疹(ほうしん)予防接種需要の減少や他の感染症関連医薬品などの売り上げが落ちたこともあり株価が下落し、昨年の高値まで回復していません。

 しかし、株価が下落したことで新型コロナ発生前まで4%台だった配当利回りが5%台まで上昇しており、配当を目的として保有するのにはよい水準ではないでしょうか。

業績動向

 2021年7月28日開示の四半期決算ではEPS(1株当たり利益)・売上高ともに市場予想を上回りました。

 グラクソ・スミスクラインの取り扱う帯状疱疹予防ワクチン「Shingrix」などは、コロナワクチンと同時接種ができないため売り上げが落ちていましたが、各国で2回目の接種が広がるとともにShingrixなどの売り上げが回復し、それに伴い業績も回復してきました。

 また、グラクソ・スミスクラインでもコロナ治療薬の申請を行うなど、さまざまな製品開発を継続しており、今後はそれらの売り上げ拡大と業績拡大が期待されます。

 次回は10月27日に四半期決算の開示予定ですが、市場予想を上回る数字を出せるか注目です。

注意点

 コロナワクチン接種のスピードが各国で異なることや、それに伴う経済回復のスピードが異なることで、グラクソ・スミスクラインの販売計画に変更が発生する可能性があり、それが業績に影響を及ぼすことを同社も懸念しています。

株価動向、配当利回り

配当:2.19ドル
配当利回り:5.61%
株価:39.01ドル(約4,400円)

 権利落ち日は11月中旬予定(権利実施は2022年1月中旬予定)です(2021年10月18日時点で未確定。2020年11月配当を参照)。

 配当は2.19ドル、配当利回りは5.61%、株価は39.01ドルで約4,400円から購入できます(2021年10月15日時点)。

 2018年以降の最高値は47.89ドル、最安値は31.85ドルです(終値ベース)。

米国高配当株2:ラザード(LAZ)

 M&A(合併・買収)アドバイザリー、ミドルマーケット・アドバイザリーなどを提供するファイナンシャルアドバイザリー事業(Financial Advisory)と、世界中の投資家に投資ソリューションと投資管理サービスを提供する資産運用事業(Asset Management Businesses)を中心に事業展開しています。

 時価総額は52億ドルで、日本円で約5,900億円となっています。

事業の注目ポイント

 事業の中心はファイナンシャルアドバイザリー事業で、続いて資産運用事業、ホールセール事業(Corporate)となります。

出所:決算データより筆者作成

 ファイナンシャルアドバイザリー事業ではM&Aアドバイザリーなどのサービスを提供しており、日本では2008年、三菱UFJフィナンシャル・グループのモルガン・スタンレーへの出資を手掛けるなどしており、資産運用事業では、日本でも純資産残高が大きい投資信託の一つであるグローバル・ロボティクス株式ファンドの銘柄選定などのサービスを提供しています。

競合他社

 競合他社として、企業、政府および金融スポンサーを含む顧客基盤に、戦略および財務アドバイスを提供する投資銀行顧問会社であるモーリス(MC)、投資銀行と機関証券会社であるパイパー・サンドラ(PIPR)、アドバイザリーに集中する投資銀行のPJTパートナーズ(PJT)などがあります。

株式の注目ポイント

 株価は昨年の高値を超えて推移しており、配当は2020年以降横ばいで推移しています。

 昨年、新型コロナ発生を受けて一時的に株価は下落しましたが、その後、世界経済の回復を受けて株価は上昇し、現在は新型コロナ発生前の水準を超えて推移しています。

 同社は、金融緩和による経済の回復は今後短期的に下振れする可能性はあるものの、長期的には力強い成長を引き続き継続すると見込んでおり、今後も業績拡大と株価上昇が期待されます。

業績動向

 2021年7月30日開示の四半期決算ではEPS・売上高ともに市場予想を上回りました。

 今後も、炭素排出量削減に伴うビジネスチャンスの拡大や、テクノロジーの進歩がもたらすM&A機会の増加が予想されています。

 また、新たなファンドの立ち上げも行っていますが、こちらも大きな需要を得ており、今後も二つの事業がそれぞれ好調に推移することが予想されます。

 次回は10月28日に四半期決算の開示予定ですが、市場予想を上回る数字を出せるか注目です。

注意点

 欧州において脱炭素化の動きが加速しており、これに伴ってM&Aも加速しています。

 一方で、米国でトランプ米大統領の時に一時環境への対策が頓挫したこともあり、政治的な要因によって欧州でも脱炭素化への動きが停滞し、M&A縮小・業績停滞の可能性がある点には、注意が必要です。

株価動向、配当利回り

配当:1.88ドル
配当利回り:3.75%
株価:50.13ドル(約5,700円)

 権利落ち日は11月上旬予定(権利実施は11月下旬予定)です(2021年10月18日時点で未確定。2020年11月配当を参照)。

 配当は1.88ドル、配当利回りは3.75%、株価は50.13ドルで約5,700円から購入できます(2021年10月15日時点)。

 2018年以降の最高値は57.98ドル、最安値は21.06ドルです(終値ベース)。

米国高配当株3:フェデレーテッド・ヘルメス(FHI)

 世界中の投資家に幅広い資産クラスの投資商品を提供する投資運用会社です。

 米国のミューチュアル・ファンド・マネージャー上位12社の1社であり、ESG(環境・社会・企業統治)アドバイザリービジネスのリーディングカンパニーでもあります。

 時価総額は31億ドルで、日本円で約3,500億円となっています。

事業の注目ポイント

 事業は投資運用事業(investment management business)単一事業で構成されています。

 その中で、売り上げの中心は投資助言料(Investment advisory fees)で、続いて管理サービス料(Administrative service fees)、その他サービス料(Other service fees)となります。

出所:決算データより筆者作成

 投資運用事業では、投資信託(Mutual Funds)、変額年金基金(Variable Annuity Funds)、私募投資信託(Private Funds)などさまざまな投資サービスを顧客に提供しています。

 また、フェデレーテッド・ヘルメスの管理する資産残高は毎年増え続けており、今後もESG投資を強みとする同社へのさらなる資金流入が期待されます。

競合他社

 競合他社として、世界的な投資戦略を提供する投資管理会社であるアーチザン・パートナーズ・アセットマネジメント(APAM)、持株会社でグローバルな多角的資産管理会社であるブライトスフィア・インベストメント・グループ(BSIG)などがあります。

株式の注目ポイント 

 株価は昨年の高値まで回復していません。

 また、配当は1998年のIPO(株式の新規公開)以来、毎年出し続けており、減配は一度もありません。

 昨年から、総運用資産は上昇していますが、直近の決算で業績が市場予想に届かなかったことで株価が下落しました。

 一方で、自社株買いも進めており、株価の下落幅を抑える要因になっているようです。

業績動向

 2021年7月29日開示の四半期決算では、EPS・売上高ともに市場予想を下回りました。

 要因として、2023年4月より英国が法人税を引き上げることにより、会計上の影響が出たことなどがあります。

 しかし、事業の中心であるフェデレーテッド・ヘルメスが運用するエクイティファンドの半数が同業他社のパフォーマンスを上回って推移しており、今後も継続した資金流入が期待され、これによる今後の業績回復と株価上昇が期待されます。

 次回2021年10月28日に開示予定の四半期決算において、市場予想を上回ることができるか注目です。

注意点

 長期金利上昇に伴うエクイティマーケットからの資金流出の際には、運用するファンドが大きく影響を受ける可能性があり、こういったリスクがある点には注意が必要です。

株価動向、配当利回り

配当:1.08ドル
配当利回り:3.27%
株価:33.02ドル(約3,800円)

 権利落ち日は11月上旬予定(権利実施は11月中旬予定)です(2021年10月18日時点で未確定。2020年11月配当を参照)。

 配当は1.08ドル、配当利回りは3.27%、株価は33.02ドルで約3,800円から購入できます(2021年10月15日時点)。

 2018年以降の最高値は35.96ドル、最安値は12.55ドルです(終値ベース)。

米国高配当株4:サザン・コッパー(SCCO)

 銅、モリブデン、亜鉛、鉛、石炭、銀を生産する世界最大級の総合銅生産会社です。

 サザン・コッパーは業界でもトップクラスの銅鉱石埋蔵量を保有しており、主にペルー、メキシコ、チリといった南米で探鉱活動を行っています。

 時価総額は512億ドルで、日本円で約5兆8,300億円となっています。

事業の注目ポイント

 事業の中心はメキシコ露天掘り事業(Mexican Open-pit)で、続いてペルーでの操業(Peruvian Operations)、メキシコ国際金属鉱業事業(Mexican IMMSA Unit)となります。

出所:決算データより筆者作成

 メキシコ露天掘り事業では、露天掘りと呼ばれる、坑道を掘らずに地表から渦を巻くように地下めがけて掘っていく採掘手法を用いてメキシコで事業を展開しており、ペルーでの操業では同様の露天掘りなどを用いて、事業展開しています。

競合他社

 競合他社として、銅、金とモリブデンの可採・推定埋蔵量を有し、地理的資産および銅生産業者を通じて運営する採鉱会社であるフリーポート・マクモラン(FCX)、鉱物資源産業を行うルクセンブルクを拠点とする会社であるネクサ・リソーシズ(NEXA)などがあります。

株式の注目ポイント

 株価は昨年の高値まで戻っていませんが、直近5四半期連続で増配しています。

 サザン・コッパーが銅の市場価格との連動性が高いこともあり、今年5月以降銅価格が下落していることが、株価が昨年の高値まで回復していない理由の一つのようです。

 しかし、太陽光発電や風力発電など、電気配線に依存する再生可能エネルギーのソリューションが増えていることから、銅の需要が今後数年にわたって堅調に推移すると予想されていることもあり、サザン・コッパーの株価も同様に堅調に推移することが期待されます。

業績動向

 2021年7月26日開示の四半期決算ではEPS・売上高ともに市場予想を上回りました。

 銅価格が高値で推移していることと、銅に対する旺盛な需要により業績が好調に推移しました。

 現在も、新たな鉱山開発への投資を行うなど積極的に事業拡大を進めています。

 今後も、銅の需要が堅調に推移することで、サザン・コッパーの業績も堅調に推移することが期待されます。

 次回2021年10月27日に開示予定の四半期決算において、市場予想を上回ることができるか注目です。

注意点

 配当は四半期ごとに変動しており、思ったほど配当を受け取ることができないリスクもあり注意が必要です。

株価動向、配当利回り

配当3.6ドル
配当利回り:5.43%
株価:66.21ドル(約7,500円)

 権利落ち日は11月上旬予定(権利実施は11月下旬予定)です(2021年10月18日時点で未確定。2020年11月配当を参照)。

 配当は3.6ドル、配当利回りは5.43%、株価は66.21ドルで約7,500円から購入できます(2021年10月15日時点)。

 2018年以降の最高値は81.53ドル、最安値は23.53ドルです(終値ベース)。

米国高配当株5:アトランティカ・サステナブル・インフラストラクチャー(AY)

 再生可能エネルギーを事業の中心とするインフラ企業です。

 北米、南米、欧州で事業を展開しており、各地域で太陽光エネルギーや地熱エネルギー、水力・風力発電などに投資を行っています。

 時価総額は40億ドルで、日本円で約4,600億円となっています。

事業の注目ポイント

 事業の中心は再生可能エネルギー事業(RENEWABLES)で、続いて天然ガスおよび地熱エネルギー事業(NATURAL. GAS & HEAT)、送電線事業(TRANSMISSION LINES)、水力発電事業(WATER)となります。

出所:決算データより筆者作成

 再生可能エネルギー事業では、太陽光発電などを、天然ガスおよび地熱エネルギー事業では主に天然ガスなどを、送電線事業では送電線の管理運営を事業として展開しています。

 また、地域別では、欧州・中東・アフリカ(EMEA[Europe、the Middle East、Africa])の売り上げが最も大きく、続いて北米(North America)、南米(South America)となります。

競合他社

 競合他社として、電気部門をはじめとする3つの事業を運営する持株会社であるオッター・テール(OTTR)、ニューメキシコ州とテキサス州で電気および電気サービスを提供し、複数の規制ユーティリティを有するPNMリソーセス(PNM)などがあります。

株式の注目ポイント

 株価は昨年の高値まで戻っていませんが、配当は今年に入ってから増配しています。

 新型コロナ発生後、いったん株価は下落したものの、世界的なカーボンニュートラルへの流れもあり、すぐに下落分を取り戻し、新型コロナ前の水準を超えて株価は推移していました。

 しかし、今年3月に発表された決算において太陽光発電や地熱発電への投資などによってコストがふくらみ、EPSが減少したことなどをきっかけに株価が下落し、その後横ばいで推移してします。

 今後は、これらの投資が業績にどれだけ寄与するか注目です。

業績動向

 2021年8月1日開示の四半期決算では売上高は市場予想を上回ったものの、EPSは市場予想を下回りました。

 売り上げについては最近の投資拡大によるものと、米国とスペインでの日射量が増加したことで、前年同期の水準と比較して、売り上げが拡大しています。

 一方、事業拡大のために新規投資を行っていることもありEPSは市場予想を下回りました。

 今後は世界的なクリーンエネルギーへの投資拡大と、直近の事業投資が業績に寄与することで業績拡大・株価回復が期待されます。

 次回2021年11月11日に開示予定の四半期決算で、市場予想を上回る決算を発表できるか注目です。

注意点

 米国ではインフレが進んでおり、それに伴う発電コストの増加への懸念があり注意が必要です。

株価動向、配当利回り

配当1.72ドル
配当利回り:4.74%
株価:36.22ドル(約4,100円)

 権利落ち日は11月下旬予定(権利実施は12月中旬予定)です(2021年10月18日時点で未確定。2020年11月配当を参照)。

 配当は1.72ドル、配当利回りは4.74%、株価は36.22ドルで約4,100円から購入できます(2021年10月15日時点)。

 2018年以降の最高値は46.42ドル、最安値は17.63ドルです(終値ベース)。

≫関連記事:1万円で買える米国高配当株5選!10月権利落ち分を解説

【要チェック】
 楽天証券「トウシルの公式YouTubeチャンネル」では、同筆者が執筆した「やってはいけない資産形成」のコラムを動画で視聴できます。また、リーファス社の公式YouTubeチャンネル『ニーサ教授のお金と投資の実践講座』では、同コラムの他にも動画でお金と投資の知識を学ぶことができます。

(西崎努)

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