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日経平均は最高値更新なのに、保有株が上がらない理由は?

トウシル / 2024年3月30日 8時0分

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日経平均は最高値更新なのに、保有株が上がらない理由は?

「クイズでわかる!資産形成」(毎週土曜日に掲載)の第22回をお届けします。資産形成をきちんと学びたい方に、ぜひお読みいただきたい内容です。

今日のクイズ:上昇している株と下落している株、売るならどっち?

「日経平均株価が上がっているのに、保有株が全然上がらない」という話をときどき聞きます。原因はいろいろ考えられますが、最も多いのが「あるパターンの売買」を繰り返した結果です。今日は、みなさまがそのパターンにはまる可能性がないか、確認するためのクイズを出します。

<クイズ> 次のA社とB社の株価チャートをご覧ください。

 5カ月前にA社とB社の株式をそれぞれ1,300円で100株ずつ買いました。その後、A社、B社とも一時1,400円まで値上がりしました。ところが、そこから明暗が分かれました。A社株は悪材料が出て、1,250円まで下落しました。B社株は、好材料が出て、1,450円まで上昇しました。

 ここで、急に10万円資金が必要となり、どちらか売らなければならなくなりました。A社株かB社株、どちらを売ったら良いと思いますか?

<A社・B社株価チャート>

出所:筆者作成

小型株不振続く

「日経平均が上がっているのに、保有株が上がらない」という方は、たぶん、小型株ばかり持っているのだと思います。中でも、東証グロース(旧東証マザーズ)市場に上場している小型株はひどい値動きが続いています。

<日経平均と東証グロース市場250指数の動き:2016年末~2024年3月26日>

出所:2016年末の値を100として指数化。QUICKより著者作成

 チャートをご覧いただくと分かる通り、2021年の秋をピークに、東証グロース市場は大きく値下がりしています。日経平均が大きく上昇しているのに、真逆の動きです。

 不振の最大の理由は、東証グロース市場に上場するインターネット企業やバイオ企業の業績が期待外れとなったことです。東証グロース上場のネット関連株やバイオ関連株が2020年に大きく上昇しています。コロナ禍で人々が外出できなくなり、ネットだけで活動を完結する動きが加速したためです。

 こうした中、東証グロース上場のネット企業には、創業以来、初めて黒字を計上する企業も増えました。待ちに待った高成長がいよいよ実現すると期待を抱かせました。2020年はコロナに対する不安から、バイオ株も買われました。

 ところが、2021年以降、東証グロース市場にとって投資環境は暗転しました。コロナ禍からのリオープン(経済再開)が進むにつれて、人々の活動はネットからリアル経済に戻りました。
一時黒字を計上した東証グロースの新興企業には再び赤字に転落する企業が増えました。

 政府のかけ声で推進してきたDX(デジタルトランスフォーメーション)が期待ほど進まず、日本が諸外国に比べて出遅れてしまった影響もあり、東証グロース市場のネット企業の業績低迷が長引いています。

クイズの正解:売るならさらに値下がりリスクがあるA社

 正解:A社を売るべき。株価チャートを見ると、A社はさらに値下がりするリスクがあります。

 B社は、売るべきではありません。株価チャートを見ると、さらに値上がりする可能性があります。投資のための余裕資金があるならば、B社は買い増ししても良いと思います。

 A社は、売買高が急増して、株価が急落しています。なんらかの悪材料によって、投資家が大急ぎで売り始めたのが分かります。まだ下げ始めて日が浅く、売り材料は新しいので、ここからさらに売りが増えて値下がりするリスクが高いと思われます。

 B社は、売買高が急増して、株価が急騰、高値を更新しています。なんらかの好材料が出て、投資家が大急ぎで買い始めたのが分かります。まだ急騰して日が浅く、買い材料は新しいので、ここからさらに買いが増えて値上がりする期待があります。

チャートから、戦況を読む

 A社とB社の株価チャートを買い手と売り手の戦(いくさ)に見立てて説明します。売買高は、戦っている兵の数を示します。

 まず、A社チャートをご覧ください。当初買い手が売り手を圧倒、売り手は負け続けてどんどん逃げていきました。その内、追手が減り、戦線は膠着(こうちゃく)しました。そこに突然、新手の売り手大軍が現れて一気に買い手をたたきつぶしたところです。戦況は一変し、買い手が必死に逃げていくところを、売り手が猛追しています。

 さてこの状況で、あなたがどちらかの味方として参戦するとしたら、どちらに付きますか。売り手に付いた方がいいのが、分かるでしょう。

 B社はその逆です。戦線が膠着したところで、突然、新手の買い手大軍が現れて、売り手はさらに奥地へ必死に逃げていくところです。ここで参戦するならば、買い手に付いた方が有利でしょう。

悪い銘柄ばかり残す「悪いクセ」

 それでは、冒頭の問いに戻りましょう。日経平均が急騰しているのに、保有銘柄が全然値上がりしていないとしたら、原因は何でしょう?

 いい銘柄はさっさと売り、悪い銘柄ばかり残す「売買パターン」が原因のことがあります。「利益確定を優先し、損切りを遅らせる」売り方が問題です。今日のクイズで言うと、B社を利益確定売りして、A社を残すような売買を繰り返していると、手元に悪い銘柄ばかり残ります。

 個人投資家に非常に多いのが、利益確定を急ぎ、損失確定を遅らせる「悪いクセ」です。売買する時は、利益確定であるか、損切りであるかに関係なく、悪い銘柄を売って、良い銘柄を手元に残すようにしましょう。

「利益確定は遅く!損切は早く!」肝に銘じてください。

(窪田 真之)

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