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「年をとったら借金はダメ」と思う人の重大な盲点 間違った思い込みを捨てて老後の生活が豊かに

東洋経済オンライン / 2024年3月25日 17時0分

私が2人の子供を養育している頃、子供に大学教育まで受けさせると最低でも一人当たり2000万円はかかるといわれて驚いた記憶がある。

それから逆算すると、未婚で子供のいなかった彼が住宅を買うのに4000万円もの大金をポンと出せるのは、当然と言えば当然だった。

しかし2点目はどうしても合点がいかなかった。50代といえば10年先の定年退職(当時は60歳定年が一般的)が視野に入ってくる年齢だ。

その年齢で30年のローンを組めば支払いが完了するのは80代だ。退職後も借金を抱えたくない、金利支払いに追われたくないという心情は十分に理解できる。

しかし私が彼の立場なら、手持ちのキャッシュの一部を頭金に充当したとしても、購入資金の大半は住宅ローン(銀行の融資審査に合格することが大前提)で手当てしただろう。

財務諸表的にいえば、負債の部に住宅ローンの借金、資産の部に購入したマンションが計上される。

住宅ローンで手元のキャッシュが増やせることも

住宅ローンにかかる月々の金利支払いは、毎月の月給から充当できる。定年退職後も仕事をしていれば同じく月給から振り向ければ良い。仕事をしていなければ、公的年金や手持ちのキャッシュからローン金利の支払いにあてることも可能だ。

あるいはそれも面倒臭ければ、正式な退職時点で手持ちのキャッシュを使って借金をすべて早期返済してしまえば良い。

重要なことは、シニア世代は手持ちのキャッシュをできるだけ保持し続けるべき、ということだ。

50代で住宅ローンを組む最大のメリットは、手持ちキャッシュをそのまま手元において老後に向けた資産形成に役立てられる点だ。

B君は手元にあるキャッシュ4000万円を利回り4%の銘柄に投資すれば、年間160万円の配当金(税引き前)を手にすることができた。

この配当金から住宅ローンの金利を支払えば、2~3%程度のプラスの利ざや(当時の住宅ローンの変動金利型は1%前後)を抜けた。

それを老後の資金原資に毎年充当することができたのだ。

こうした“荒ワザ”は、異次元の低金利という恵まれた環境だからできたことかもしれない。

銀行は貸し倒れの少ない有利な運用先として住宅ローンの拡大を目指した一方で、借り手は「超低金利+住宅ローン所得減税」によって実質ゼロ%金利で借金することができた。もちろん元本は毎月きちんと返済しなければならない。

低利の住宅ローンは今後も続く可能性が高い

しかし日銀が異次元緩和の修正に転じた現在の局面でも、住宅ローン金利の上昇ピッチは緩やかだ。

現在、大手銀行の固定金利型の住宅ローン金利は、何度も引き上げられたとはいえ依然1.0~1.8%の水準にとどまっている。

変動金利型は0.3~0.6%程度と低水準で据え置かれたままだ。

キャッシュより住宅ローンで住宅購入するほうが相対的に有利な環境は、今後も続く可能性が高い。

都心の高級住宅地に立派な自宅を構えていても、キャッシュに窮したら豊かな老後生活を送ることはできない。

立派な住宅に引っ越してもしばらくすればすぐに慣れてくる。ありがたみも薄れる。人間はそういうものだ。

一方、キャッシュが底を突けば本当の地獄が待っている。シニア世代はキャッシュを粗末にしてはならない。

川島 睦保:フリージャーナリスト、翻訳家

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