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実はアップルが「圧倒的優位」に立っている分野 EV撤退、AI開発出遅れでも撒いている種

東洋経済オンライン / 2024年3月28日 7時30分

(写真:Philip Pacheco/Bloomberg)

2月末、アメリカの経済誌や通信社が一斉にアップルが電気自動車(EV)の開発計画を中止したと報じた。

アップルが研究者/開発者向けに画像編集用のAI「MGIE」では、命令を入れるとAIが画像を編集してくれる

2014年に始まったと言われるアップルによる自動運転のEV開発計画、Project Titan。アップルはその計画を一度も公式に認めなかったが、テスラやフォルクスワーゲンの重役を引き抜いていたり、最大で5000人近いスタッフが関わったり、同社周辺で頻繁にトヨタ自動車のレクサスを改造した自動運転車両が目撃され、公然の事実となっていた。

同社は今後、その分の研究開発費を生成AIの研究開発に充てるといわれている。計画を進める上で獲得した技術や特許は、今後、さまざまな形で他の製品に転用されるものと期待したい。

「Vision Pro」の存在感

EV開発撤退のニュースを受けて、アップルの先行きを不安視する動きも出ているが、同社は今後、何を事業の柱にしていくのだろうか。

「生成AI」が重要な要素であることは間違いないが、その前に忘れてはならないのが、2月に空間コンピューティング機器として世に送り出したばかりのApple Vision Pro(以下Vison Pro)の存在だ。

Vision Proは、現在の価格設定では決してiPhoneのようなマス向けのメインストリーム製品になることはない。しかし、数年後にそうしたメインストリーム製品を生み出すための土壌づくりとして重要な役割をはたしている。

これまでのAR(拡張現実)/VR(仮想現実)のゴーグルは各社各様で開発し、その上で開発者が独自の方法でアプリを開発して提供していた。対してVision Proがやろうとしているのが、ARコンテンツの品質の向上だ。

アプリ開発のデザインガイドラインも充実

アップルがコストをかけて最新の技術を凝縮して作ったVision Proは、それまでの同類製品と比べて価格が高価な分、圧倒的に精度が高く体験の質が高いことも魅力だが、質の高い体験を提供するにはアプリをどのように設計すればいいかのデザインガイドラインなど開発者向け資料も充実している。

iPodの前にもデジタル音楽プレイヤーはたくさんあり、iPhoneの前にもスマートフォンはたくさんあったが、これらの製品が大成功したのは質の高い体験を提供したからだった(特にiPodを出したときは、まだアップルのブランド力は今ほど高くなかった)。

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