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生成AIは今後の金融業界をいかに変容させるのか 自社連携を超えたビジネスモデルの大転換

東洋経済オンライン / 2024年3月29日 7時0分

金融業界における生成AI活用の未来について解説します(写真:metamorworks/PIXTA)

2022年のDALL·E 2やChatGPTのリリース以降、生成AIが多くの人に知られるようになり、その技術の進歩には驚きをもって世間では受け止められた。それまで研究段階であった生成AIが、いよいよ多くの業界で生成AIのビジネス活用が進み始めている。

本記事では、生成AIがどのようにビジネスを進化させるかを描いた『AIナビゲーター2024年版』の筆者の1人で、野村総合研究所・シニアリサーチャーの金子洋平氏が、金融業界における生成AI活用の未来について解説する。

生成AIの導入には3つのフェーズがある

金融業界においても、当然その活用が多く検討され始めており、特に、大規模言語モデル(LLM)を中心とした生成AIの金融機関内での活用が注目されている。今回は、金融機関におけるLLMの活用の進み方を大きく3つのフェーズに分類した。

フェーズ1は自社データと連携しない形で既存のLLMを安全に活用できる環境が整備された状態である。この状態にある金融機関はすでに多く、自社専用のLLMベースのChatGPTライクなチャット環境を利用してアイデア出しや文章案の作成などを行っている方も多いのではないだろうか。

フェーズ2は、自社データと連携し既存業務の効率化を行うフェーズである。RAG(Retrieval-Augmented Generation)などの技術を用いて自社データとLLMを連携し、チャットなどを介して自社データを容易に参照、自社データの情報にもとづいた文章生成を行える状態である。

フェーズ3は生成AIによるビジネスモデルの革新である。現状ではアイデアベースの議論は行われているが、金融機関においてフェーズ3の具体的な検討や実現に向け推進し始めるには至っていない。

現状、取り組みが進んでいる金融機関であっても、フェーズ2の段階にあり、自社データとLLMを連携させてPoC(Proof of Concept)を進めている。具体的には、文章作成、問い合せ応対支援、議事録生成などの主に一般的な社内業務に生成AIを活用し、業務効率化を図る取り組みが行われている。ただし、本格的な実用段階はこれからであり、現在はPoCを通じた試行錯誤の段階が多いといえる。

実用に向けた課題をいかに乗り越えるか

生成AIを実用段階に移行するためには、いくつかの課題を乗り越える必要がある。金融機関では生成AI活用の課題として、データ保護、回答の正確性(ハルシネーションの発生)、活用のためのリテラシー、回答の不確実性(回答文章が生成の度に異なる特性)などが挙げられることが多い。また、実用段階への移行においては生成AIの導入によって、どの程度の効率化や品質向上を達成したかの費用対効果や従業員への影響の評価も重要になってくるだろう。

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