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「物価と賃金の好循環」は本当に持続可能なのか 「勝負の3年目」となる2025年に必要なものは?

東洋経済オンライン / 2024年3月30日 8時30分

今年の春闘の回答では「前年比5.28%」という数字が出て筆者は思わずのけ反った。だが賃上げを受けて本当に個人消費は伸びるのだろうか(写真:ふじよ/PIXTA)

政府が毎月下旬に発表している月例経済報告 は、経済金融情報の宝庫というか、実は「穴場」なんじゃないかと、以前から筆者は考えている。

月例経済報告の「関係閣僚会議資料」はネタの宝庫

月例経済報告というと、たぶん多くの人が思い起こすのは基調判断であろう。

例えば3月分のそれは、「景気は、このところ足踏みもみられるが、緩やかに回復している」という一文である。

まーったく無味乾燥。しかも景気が「持ち直している」というのと「回復している」というのでは、どっちがいいのか(注:後者がよい)、それこそ普通の人にはさっぱりわからん、ということになるのではないか。

ただし景気というものは、それこそ「景気は気から」の部分もあるわけで、数値化することが難しい。そこで官庁エコノミストが衆議して、強引に一つの文章に落とし込む。そしてこの毎月の基調判断が、「上方修正」されたり「下方修正」されたりで、世間的には注目されることになる。

この基調判断は、今年2月に下方修正されたばかりである。まあ、能登半島地震もあったし、ダイハツ工業の工場停止に伴う鉱工業生産の下振れもあったし、短期的な悪化はやむを得ぬところであろう。ただし地震や企業不祥事は所詮、一過性の出来事であるはず。今年度はコロナ明けに伴う日常生活の正常化があるし、株価上昇による追い風も期待できるから、経済活動は徐々に活発になるだろう、というのが全体の相場観ではないかと思う。

さて、筆者がいつも重宝しているのは、月例経済報告に伴う「関係閣僚会議資料」という20~30ページのPDFファイルである。これぞ内閣府の労作であって、毎月、多彩な表やグラフが詰め込まれている。日本経済の現状に対する「ネタの宝庫」と言っていい。読者諸兄もよろしければ、内閣府の月例経済報告のトップページ(再掲)から、3月分の資料をご覧いただきたい。

「今月のポイント」の冒頭に「賃金の動向」が取り上げられているのは当然であろう。ただし2番目以降に、「アメリカ経済の動向」が取り上げられているのはややめずらしい。

まず単純な日米経済の比較として、このデータを御覧じろ。

○アメリカの基礎統計(2023年)
          アメリカ   日本
名目GDP      27.4兆ドル 4.2兆ドル
1人当たり名目GDP 8.2万ドル 3.4万ドル
人口   3.4億人 1.2億人
実質GDP成長率 2.5% 1.9%

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