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サラリーマンよ、昭和の一社懸命はもうやめよう 「物価と賃金の好循環」へのいちばんの近道とは

東洋経済オンライン / 2024年4月13日 8時30分

1989(平成元)年の大納会。「バブル世代」の先頭組が定年再雇用となり、若手社員の給与の原資は増えそうだが、実は日本の価値は今上がりまくっている。給料がグンと上がる大チャンスだ(写真:AP/アフロ)

4月8日に公表された最新の景気ウォッチャー調査は、「ドキッ」とさせられる内容だった。

前回の「『物価と賃金の好循環』は本当に持続可能なのか」(3月30日配信)では、「問題はこの賃上げを受けて、個人消費がちゃんと伸びるのか。4月以降の消費と物価のデータを、しっかりウォッチしていく必要がある」という趣旨のことを書いたのだが、しょっぱなから冷水を浴びせられた感がある。

「大幅賃上げ」なのに景気浮揚にほとんど効果なし?

すなわち3月の現状判断DI(指数)は前月比▲1.5の49.8、先行き判断DIは同▲1.8の51.2となった。特に現状判断DIの季節調整値が、50を割り込むのは昨年1月以来のことだ。「前年比5%台の賃上げ」は市場にとってはサプライズであったし、それで日銀も政策変更に踏み切ったのだが、今のところ足元の景気浮揚にはほとんど効果がないようである。

そもそも今年の春闘で大幅賃上げが可能になったのは、世代的な特殊事情も手伝っている。1980年代後半の「バブル入社世代」の先頭が、今年から60歳に差しかかかるのだ。

彼らが「定年再雇用」になっていくにつれて、会社全体の人件費は減少するはずだ。ゆえに社内には向こう数年、若手社員の賃金に上乗せする「原資」があることになる。ということで、賃上げはあと数年続く公算が高い。もっともこの理屈が中小企業にも通用するかというと、そこは少し怪しいのだが。

まあ、それにしたって、中高年の賃金が減る分だけ若い世代の取り分が増えるのなら、これはいいニュースと言えよう。賃金カーブはなるべくならスティープ(急傾斜)化するほうがいい。つまり若いうちから早めに給料を上げておけば、「来年はもっと暮らしが良くなる」という希望を持つことができるし、結果的に生涯賃金を多くできるからである。

それはさておいて、景気ウォッチャー調査のコメント欄はあいかわらず冴えている。お急ぎの方は、調査の中にあるスーパーとコンビニの情報発信を拾い読みすることをお勧めする。この2業種は個人消費の最前線だけに、以下のような鋭い観察が寄せられている。

* 4月からの値上げが報道されていることで、月末に近づくにつれて、トイレットペーパー、ティッシュペーパーが異常なほど売れている。物価高に対する消費者の防衛意識が一層高まっている状況がうかがえる(北海道・スーパー)。

* 客の購買力が落ちてきている。食品の度重なる値上げが効いているのではないか。ガス・電気料金の補助がなくなったら、一層食費に掛ける金が減ってくるようにみえる(東海・コンビニ)。

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