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いじめや性加害など「悪事」が見過ごされる現実 群衆は悪事を止めるために何もしようとしない

東洋経済オンライン / 2024年4月1日 15時0分

誰かがいじめにあったり、攻撃をされていたりするとき、見て見ぬふりをしていませんか(写真:IYO / PIXTA)

いつの時代も企業や個人の不正、ハラスメント、いじめ、性加害の問題に関するニュースは後を絶たない。その原因を探ったところにあるのは、たった数人の「悪人」ではなく、沈黙する大多数の「善人」であると言ったら驚くでしょうか。

「社会規範」にまつわる先駆的研究で全米トップ300の教授の一人にも選出された心理学者キャサリン・A・サンダーソンは、著書『悪事の心理学』を、息子の寮の新入生が飲酒中に転倒して20時間後に死亡したことをきっかけに執筆しました。

この不幸な出来事では20時間もの間、誰一人として救急に電話することはありませんでした。それはなぜなのでしょうか。

心理学・神経科学をもとに、悪事が起こるメカニズムを「傍観者」に着目して解説します(本記事は同書から一部を抜粋、再編集したものです)。

悪事は悪人の仕業か?

2012年8月11日、当時16歳の女子が、米国のオハイオ州スチューベンビルで地元高校の生徒とのパーティーに参加しました。

【写真で見る】1999年に起きたコロンバイン高校銃乱射事件は、同校に通う高校生によって引き起こされた

そこには、同校のフットボールチームのメンバーが含まれていました。彼女はお酒を大量に飲んでひどく酔っ払い、嘔吐しました。そのパーティーに参加していた生徒たちは、彼女が泥酔している様子だったと述べています。

翌朝、彼女は、地下のリビングルームで裸の状態で目覚めました。男子3人に囲まれていましたが、前夜の記憶はほとんどありません。

数日後、パーティーに参加していた数人の生徒が、その女子に何が起きたのかを鮮明に描写した写真や動画をソーシャルメディアに投稿しました。

女子は、服を脱がされて性的暴行を受けており、2013年3月には、スチューベンビル高校のフットボール選手だったトレント・メイズとマリック・リッチモンドの2人がレイプで有罪になりました。

このようなできごとを聞くと、私たちの多くは、これらの悪事は悪人の仕業だと決めてかかってしまいます。

確かに、意識のない10代の女子に性的暴行を加えるのは悪人だけです。悪人が悪事を働くというこの信念は、安心感や心地よさを与えます。

ところが、残念ながら、この考えは間違っているのです。

パレスチナのテロリストを長年研究してきたナスラ・ハッサンは「驚くべきは、自爆テロの実行犯の異常性ではなく、そのあまりの正常性についてです」と述べています。

また、スー・クレボルドは次の言葉を残しています。

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