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JR西の新観光列車「はなあかり」完成までの舞台裏 車内のサービスは日本旅行のツアコンが担当

東洋経済オンライン / 2024年10月7日 7時0分

従って、はなあかりは北陸に特化した観光列車ではない。完成のタイミングから、最初の運用は北陸エリアが選ばれた。季節が変われば、ほかのエリアに投入される。

ほかの鉄道会社では古い車両を観光列車に改造したことにより、観光列車としての寿命が短く、すでに引退を余儀なくされた車両もある。今回、JR西日本はこの観光列車を長期にわたって運行したいと考えた。さらに非電化区間を含むエリア各地を走ることも考慮し、特急「はまかぜ」用に製造されたキハ189系を改造することにした。キハ189系は気動車であることに加え、2010年に製造された比較的新しい車両であるため寿命は長そうだ。

1人当たりの面積をできるだけ広く

運賃・料金設定も「新幹線のグランクラスほど高くはないが、全席グリーンにしてゆったりと優雅にくつろいでいただきたい」という方針も決まった。川西氏の起用も早い段階から決まった。「川西氏はJR西日本の事情をよく理解しているし、JR西日本の地域共生の考え方も理解している」とJR西日本マーケティング本部鉄道マーケティング部の緒方伊久磨氏が話す。

デザインを決めるにあたり、「客室は少なくとも新幹線のグリーン以上のグレードにしないとお客様は満足しない」と川西氏は考えた。「在来線の車両は新幹線よりも小さいので、1人当たりの占有面積が新幹線と同じでも狭く感じる。新幹線のグランクラスに乗ってきた人もいる。敦賀で乗り換えたら“あれ、さっきより狭い?”となってしまう」。

目指すはグランクラスに見劣りしない客室の実現。そこで、1人当たりの占有面積をできるだけ広くすることにした。はなあかりの1両当たりの定員は単純計算で18人。通常ならこのタイプの車両には50〜60席が配置されるので、確かにゆったりとした配置であることがわかる。いすにもこだわった。グリーン車のいすはいろいろな向きで座れるように360度回転し、座面を従来のいすよりも低くしてゆったりと座れる。スーペリアグリーン車はオール個室でいすは本革製だ。

一方で、課題もあった。1人当たりの占有面積を広く取るために前後の座席の間隔を広げると、窓の間隔と合わなくなってしまう。鉄製の車両であれば窓の開口部分の改造は容易だが、キハ189系はステンレス製。材質の特性上、溶接が難しく改造が容易ではない。そのため、「窓の割り付けにいすの配置をどう合わせるかには苦労した」と川西氏が振り返る。

スムーズだった車両改造

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