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2050年のシン・日本経済システムをデザインする 失われた40年回避のための「3つの政策」とは?

東洋経済オンライン / 2025年1月11日 8時30分

新しいシステムを作るためには、正しい現状認識が必要だ。30年失い続けたおかげで、正しい議論が少しは伝わるようになった。

みずほ銀行のチーフマーケット・エコノミストである唐鎌大輔氏も「東洋経済オンライン」の記事で、「円安に盲従する社会規範は明らかに2022年以降に変わったという確信がある。円安がある程度の不可逆性を帯びた段階でこの意識変化が起きたことは悔やまれるが、結局、人間は経験からしか学べないということかもしれない」と述べている(「今や錦の御旗となった『実質賃金の上昇』の残念感」(2024年12月17日配信)。

日本経済の問題は需要不足によるものではない、ということを明白にしたのが、異次元緩和の成果だ、と黒田東彦・前日銀総裁自身が2014年6月の講演ですでに述べている。

「大規模な金融緩和、財政支出、民間活動の活性化によって需要が高まってきた結果、水面下に隠れていた供給力の問題が顕現化してきたのです。こうした状況のもとで、中長期的な観点から供給力を強化することが重要だという認識が広がってきたように思います。このように、実際に問題として顕現化してきた今こそが、課題の克服に向けた取り組みを進めるチャンスです」(2014年6月23日 経済同友会会員懇談会における講演)

さらに、コロナショック後、昨今、人手不足、エネルギー、資材、部品の供給力を確保することこそが最優先課題だという認識はさらに深まった。そして、この流れは10年以上続くであろう。

したがって、新しい日本経済システムは、需要を喚起する仕組みではなく、限られた人材およびそのほかのリソースを有効に効率的に経済に動員する仕組みでなければならない。この方針が明確になれば、基本原則となる政策は、自ずから導かれる。

「今日本に必要な3つの政策」とは何か

第1に、強い通貨こそ国益である。1990年代半ばにアメリカのロバート・E・ルービン財務長官がこう宣言して、その後アメリカは実体経済、金融市場ともに世界を席巻した。現在の日本も同じである。国際的に人材をひきつけるのも、資源を購入するもの、強い円がその財源となる。また、世界の新興国の成長企業を買収するにも強い自国通貨こそが、その財務的支えとなる。

通貨が強くなる、ということは、自国市場の価値が上がる、ということである。弱い通貨の国の消費市場は規模で見れば小さい。リクルートホールディングスもトヨタ自動車も、その企業価値の大部分をアメリカ市場での収益モデルから得ている。

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