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2050年のシン・日本経済システムをデザインする 失われた40年回避のための「3つの政策」とは?

東洋経済オンライン / 2025年1月11日 8時30分

しかし、それでは、日本から人材も流出するばかりであるし、何より日本を本拠地にして、日本の文化、社会の価値観の下で生まれた世界的にユニークなモノを世界に高く売るというモデルが成立しなくなる。なぜなら、どの有力企業も国内市場を軽視して、海外のマーケットしか見ないから、日本で面白い製品開発をする意欲が低下し、国内には優秀な人材を置かなくなってしまう。

同時に、海外からも日本支社を重視する意味がなくなり、日本に一流の人材を派遣しなくなる。やはり、国内市場が高度で奥が深いことは、非常に重要である。「グローバル、グローバル」と叫ぶのは一見カッコいいように聞こえるが、そこでは、日本人や日本企業であることのメリットが生きず、デメリットにだけなってしまうから、不利なのだ。

アメリカと中国の企業が強いのは、何よりも自国市場が豊かなので、そこで切磋琢磨して出てきた製品、サービスが世界でも魅力的なものに自然になる流れができているのだ。

世界に誇る日本製品・サービスのほとんどは、日本市場で自然に生まれ、そのユニークさが世界で評価されているものばかりだ。漫画、アニメ、コンビニ。鮨だって牛丼だってラーメンだって、自分たちのために極めたものが世界で圧倒的な魅力があるのだ。したがって、まずは、国内市場。その価値を高めるための強い通貨である。

もう「無駄な消費刺激策」はやめよ

第2に、消費刺激策はやめる。刺激されなければ出てこない消費のために、限られたリソースを使うのはもったいない。お金をぐるぐる回す、無駄遣いでも経済にお金を流すため、というのは需要が極端に不足している1930年代の大恐慌のときにしか役に立たない。

いまは必要のないものを消費し、それを作って売るために貴重な労働力が投入され、次世代につながる製品開発、機械への投資を担当する人材が、政府の景気刺激策で無理やり出てきた消費のためにとられてしまう。これでは、生産力は上がらない。消費で消えてしまうのである。

大阪・関西万博や台湾のTSMCの熊本工場、ラピダスの千歳工場のために、人材も建機もすべて奪われ、ほかの必要な工場や住宅建設が後回しになっている。後者の2つはいいとして、万博は日本の成長機会を奪っているのだ。

財政の補正予算は、災害対応以外はすべてやめる。財政赤字も政府債務も、実はその水準は問題ない。大赤字でもかまわない。国は民間部門または海外から借金をして、何かに支出しているから、その支出が有益な資産として、バランスシートの逆側に計上されていれば問題はない。

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