2050年のシン・日本経済システムをデザインする 失われた40年回避のための「3つの政策」とは?
東洋経済オンライン / 2025年1月11日 8時30分
しかし、政府資産で有益な資産はあるか。将来の成長を生み出しているような実物資産があるか。投資があるか。昭和40年まで赤字国債は発行されたことはなかった。建設国債(一応支出が投資に当たるもの)ですら存在しなかった。なぜなら、国内には金(カネ)が足りなかったからである。民間部門で企業が投資したい先が、それこそ山のようにあったからである。東海道新幹線は世界銀行の融資に頼った。しかし、それは日本経済の発展にきわめて有効だった。リソースは限られているのである。
今、民間にはふんだんに資金がある。例えば、みずほフィナンシャルグループはソフトバンクグループに何兆円でも貸す。それが経済的に有効な投資であれば資金はどこからでも出てくる。
政府が民間金融機関よりも目利きに優れているとは思えない。かつてはともかく21世紀においては、それはほぼない。前回のラピダスの議論に戻ってしまうかもしれないが、いやそういう議論になる案件はまだしも、明らかに、どう考えても将来の経済成長に貢献し、投資としてリターンが出てくるとは思えないものに、ほとんど支出している。
要は、救済であり、バラ撒きである。そしてそれは常に効率が悪い。子供手当を、子供がいる家庭全員に配るよりも、貧困家庭は貧困対策を行い、子供にとって教育投資効果の大きい託児所、学童を運営するための人材に投資するほうが断然いい。そういう投資、支出ばかりなら、財政赤字があってもかまわない。それは資産となり、将来ペイするからだ。しかし、ただバラ撒くのであれば、それは、その分、民間資金として投資されたはずのものを政府が分捕ってバラ撒いているだけのことで、経済成長を阻害する。
いまこそ必要なのは傾斜配分だ
いまこそ、傾斜配分が必要だ。それは、政府から民間に金を流すことだ。国民に金を配って、投資信託の「オルカン」で海外の株を多く買わせても何の意味もない。資金もいまや限られている。資金を使うということは、人材もそれに巻き込まれるということであるから、金も人も、貴重なのであって、できる限り、政府の手を離れて自由に使えるようにするべきだ。
だから、財政赤字、政府債務は減らし、借り換えも含めた国債発行額をできるだけ減らし、個人の預金も企業の余剰資金も、実物投資に回させることが必要だ。企業投資も、必ず、それには投資主体、それを実物投資として実行、建設、製作する人材が必要であるから、リターンの高い有効な支出主体に金が流れるようにするべきだ。この意味で、設備投資減税は廃止すべきであり、DX投資促進も、やりたくない企業にまで節税のためにやらせるべきでない。
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