2050年のシン・日本経済システムをデザインする 失われた40年回避のための「3つの政策」とは?
東洋経済オンライン / 2025年1月11日 8時30分
第3に、このような支出の無駄の多くは、政府、行政機構の手抜きの結果である。傾斜配分には、目利き能力が必要である。生活保護も生活困窮者、児童虐待対応、すべて人手が必要だ。手間と時間が必要だ。これらを削減しすぎている。
社会的ニーズは高まり、世の中は複雑になっているのに、公務員である必要はないが、これらの担当の人材が少なすぎる。増やすべきところを減らしている。人材、および彼らの時間は貴重なリソースだ。人材とその時間を動員できるように、効率化、傾斜配分をする目利きが必要だ。
だから、公務員は増やす。NPOとの協力をさらに強化する。とことんフレキシブルにする。非正規を正規雇用にするのではなく、非正規という存在自体をなくし、誰でも同じ仕事を同じ給料と同じ地位、尊敬を受けて働けるようにする。なぜなら、投入時間のリソースが足りないからだ。
企業も、副業促進などしている場合でない。週4日。あるいは1日6時間で十分な給料を払い、ワークライフバランスではなく、家庭のこと、地域のこと、NPO活動など、市場経済とは別の活動をする時間を確保する必要がある。
今回の試行錯誤はここまでにする。「システムを提案した」とは到底いえないが、基本的な考え方は「供給力不足を解消する」「金、人、時間は希少な資源であり、無駄に使わないようにする」ことが重要であり、効率的な動員システムが必要であり、そのシステムは、インセンティブなど試行錯誤で柔軟に設計する必要があるが、今回はまずはともかく、基本哲学の認識を社会全体で共有するために試論を試みた。ぜひ、建設的批判をお待ちしている(本編はここで終了です。次ページは競馬好きの筆者が週末のレースや競馬論などを語るコーナーです。あらかじめご了承ください)。
競馬である。
だいぶ前の話になるが、JRA(日本中央競馬会)は2024年9月23日の定例記者会見で、暑熱対策の一環としての札幌、函館の「北海道2場同時開催」は困難だと説明した。
JRAによると、同時開催となると出走馬房が2000~3000程度必要の見込みであり、現在は1472馬房しかなく、別途、大規模な施設が必要だという。一方、新たな調教施設をつくるのは大規模な投資、土地の確保の観点から現実的ではないし、牧場等の外厩から直接レースに出走するのは公正競馬、防疫、情報確保の面から厳しいと説明した。
驚いた。これらの論点は私が強く主張してきたことで(この連載で提言してきた)、まさか、この連載をJRAの方々も読んで下さっているのか!?と色めき立ったが、よく考えると、この提案は、ほぼ同じものを矢作芳人調教師もさまざまな場で発言しており、これに対応したものであることに気づいた。
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