<Wコラム>「東方神起」ユンホはなぜ「大韓民国の息子」と呼ばれたのか
Wow!Korea / 2016年5月18日 19時4分
■メディアの大見出しを比べてみる
新聞の見出しは、記事を端的に表す象徴的な役割を持っている。
特に、5月11日の韓国メディアのネット版では、ユンホ(東方神起)が陸軍の特級戦士に選ばれたという報道があふれたが、その見出しを見ていて「いかに大きなニュースとして扱われているか」がすぐにわかった。
いくつか列挙してみよう。
「アイドルスターの鑑」(『ヘラルドPOP』)
「ユノユンホ、軍の特級戦士に選抜、ネットユーザーは“どこまでも誠実”から“歴代最高のアイドルみたい”」(『世界日報』)
「こんな軍人は初めて、あまりに頼もしい」(『韓国経済TV』)
「ユノユンホ、軍の特級戦士選抜、射撃・精神力・戦闘技量で90点以上を達成」(『スポーツ朝鮮』)
「すべての課目で90点以上達成、歴代最高のアイドル」(『ソウル経済』)
「ユノユンホ、軍の特級戦士に選抜、“大韓民国の息子”凛々しい姿が話題」(『ソウル新聞』)
とりわけ“大韓民国の息子”という見出しに心が動かされた。
それを付けた『ソウル新聞』は韓国でも有名なメディアで、私(康熙奉〔カン・ヒボン〕)も何度か本社に行って記者と懇談したことがある。「紙面は堅実」という印象があり、その『ソウル新聞』がユンホのことを“大韓民国の息子”と称したのには感慨深いものがあった。
■「息子」に込められたニュアンス
韓国で息子のことは「アドゥル」と言うが、この言葉には「頼もしい」というニュアンスが付きまとう気がする。そう思うには理由がある。息子は一族を継承していく重要な存在だからである。
韓国社会を長く見ていると、息子と娘の育て方に明らかな違いがあると感じる。どう違うのか。
韓国ではどの家庭でも先祖を供養する祭祀があまりに多いが、それを仕切るのは男性だけである。女性はお供え物のご馳走を作るが、祭祀の儀式には関わらない。というより、関われない。それが、朝鮮王朝時代(1392~1910年)から続くしきたりなのである。
つまり、息子は祭祀の仕切りを受け継ぐ正式な後継者となる。それだけ、どの家庭でも大切に育てられる。特に、母親が息子を溺愛する傾向が強い。「息子を舐(な)めるように可愛がる」という言葉が生きているほどだ。そういう点では、「やがて他家に嫁ぐのだから」という意識が働く娘の場合と育て方が異なる。
今は韓国社会も変わってきているし、日本以上の少子化で「息子だから、娘だから」という分け方は顕著ではなくなっているが、それでも息子には「頼もしい後継者」という意味づけが残っている。
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