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誕生間もない銀河、中心ブラックホールの成長速度は極端に小さかった 東大の研究

財経新聞 / 2024年3月13日 18時28分

一般的な銀河(上)とクエーサー(下)との銀河中心ブラックホールの質量成長速度の違い(画像: 東京大学の発表資料より)

 従来、銀河全体の質量増加速度と、銀河中心にある超大質量ブラックホールの質量増加速度は、比例関係にあると考えられてきた。だが東京大学の研究によれば、誕生して間もない銀河では、銀河全体の質量増加速度に比べて、超大質量ブラックホールの質量増加速度が極端に小さいことが判明している。

 これは現在の銀河中心にある超大質量ブラックホールの質量に至るには、銀河進化過程で極端に質量増加速度が高まるプロセスを経る必要があることを意味し、それに相当するプロセスがクエーサーだ。

 東京大学は9日、122~130億光年の距離にある銀河のX線画像8967枚を明るさごとに分別し、X線強度を解析したところ、ブラックホールが発するはずのX線がどの年代の銀河においても検出できなかったと発表した。

 誕生間もない時代の銀河の解析が可能になったのは、すばる望遠鏡によるところが大きい。すばる以前の集積データ(つまり比較的最近の銀河データ)では、銀河全体の質量増加速度と銀河中心ブラックホールの質量増加速度は比例関係にあった。だが、すばるによって観測された120億年以上前の銀河では、この関係が成り立たないのだ。

 つまり、誕生間もないころの銀河は、星をたくさん誕生させていたが、中心ブラックホールの活動は活発でなかったことになる。また遠方銀河には、銀河ハローを確認できない非常に強い光を発するクエーサーが多く確認されている。

 クエーサーは銀河中心ブラックホールの活動が極端に活発になっている状態のもので、我々の天の川銀河も、かつてクエーサーの時代があった。

 なお、宇宙において距離は古さを表すことになり、例えば122億光年の距離にある銀河は、122億年前の姿を見ていることになる。

 今回の研究成果は、銀河の進化プロセスが平坦ではなく、クエーサーのような劇的な進化プロセスを経るものであることを間接的に証明したが、もしも天の川銀河が再びクエーサー化したら、人類は滅亡させられてしまう。我々にとって現在の銀河系は、非常に都合の良い時代であることを忘れてはならない。

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