特集2017年10月20日更新

選挙に関するトリビア&衆院選はみだしニュース

22日の衆議院議員総選挙もいよいよ目前に迫ってまいりました。Infoseekニュースでは「衆院選特集2017」と題して今回の衆院選に関する候補者の一覧や公約、あるいは政党や選挙活動に関するニュースなどの情報をお届けしています。今回は、そういった王道のニュースからちょっと外れた、選挙にまつわるトリビアや、衆院選周辺のトピックスをお届けします。

目次

思わず人に話したくなる選挙のトリビア

今回このページですでに取り上げている項目の中には、いわゆる「トリビア」にあたるものもいくつかありますが、さらに知らなくても困らない、でも飲み会の席などで他人にドヤ顔で話すくらいのネタにはなりそうな豆知識を集めてみました。

「投票日は日曜」という決まりはない

地方選挙では「平日投票」の例も

地方選挙か国政選挙かに関わらず「投票日は日曜日」と覚えている人がほとんどだと思われますが、法律上の規定は、衆議院と参議院の補欠選挙が4月か10月の第4日曜日と決まっているだけで、その他の選挙はどの曜日に実施しても問題はないといいます。

北海道の寿都町議選は2015年10月6日の火曜日に投開票が行われました。寿都町は、2005年の町長選挙から町長選、町議選とも木曜日告示、火曜日投開票日です。理由は経費節減で、休日に実施すれば休日勤務手当や時間外手当等がかかりますが、平日なら時間外勤務手当だけで済み、人件費を低く抑えられるからです。

「平日投票」で常に投票率80%超の町も

山形県飯豊町でも1971年の町議選、1977年の町長選から投開票日を平日に設定。同町によると、町議選・町長選とも投票率は常に80%を超えているとのことです。
また、北海道の長沼町、北竜町、東川町などでは、3月、4月の農繁期に入る前の2月28日に町議選や町長選を実施すると慣例で決まっているといい、各町とも高い投票率になっています。

同じ北海道の福島町では、出稼ぎ者が帰省するお盆時期に合わせて町議選の平日選挙を実施、宮崎県高千穂町も1947年以来、町長選、町議選ともに平日選挙が慣例となっています。
平日選挙の投票率
・長沼町議会議員選挙(2011年2月28日=月曜日=投票)81.3%
・北竜町議会議員選挙(2011年2月28日=月曜日=投票)90.93%
・東川町議会議員選挙(2011年2月28日=月曜日=投票)72.98%
・福島町議会議員選挙(2011年8月16日=火曜日=投票)83.27%

かつては国政選挙も日曜日以外が一般的だった

国政選挙では、1969年の衆院選が土曜日だったのを最後に、日曜日が慣例となりました。それ以前の国政選挙では、現在とは対照的に日曜日以外が一般的だったようです。日曜日が慣例となったのは、(1)他の曜日に比べて投票率が高くなると考えられたことや、(2)小中学校を投票所にしている地域も多く日曜日でなければ使えない、などの事情があったとみられます。

ちなみに昨年、「夏の衆参ダブル選挙」の機運が高まっていた頃に、衆院選と参院選の投票日を2日ずらす「時間差ダブル選挙」の噂が浮上。記事によると「衆院選は7月10日、参院選は7月12日(火)」の変形ダブル選の案が検討されているとのことでした。

「期日前投票」の本来の読み方は「きじつ“ぜん”とうひょう」

法律用語では「きじつぜん」が正解

期日前投票は「きじつぜんとうひょう」と読みますが、近ごろテレビやラジオの報道・情報番組では「きじつまえとうひょう」と読まれることがあります。

これについて、熊本県合志市の「よくある質問」ページでは次のような回答があります。

総務省は「きじつぜんとうひょう」という名称で法を成立させました。そのため、法律用語では「きじつぜんとうひょう」が正解です。
しかしながら、NHK等のマスコミが「きじつまえとうひょう」という呼び方で放送したため、一般的には「きじつまえとうひょう」という呼び方が広く浸透してきているのも事実です。
(中略)
総務省は、現在では、どちらの呼び方でもかまわないとの見解と聞いています。

「耳で聞いてわかりやすい」ための配慮?

読売テレビ元アナウンサー、道浦俊彦氏のブログで2004年に記述された内容を見ると、NNN(日本テレビ系列)では「耳で聞いてわかりやすいという観点から、「きじつまえ」と読むことにしたそうです」とあります。05年に追記されたところによると、毎日放送や関西テレビ、テレビ朝日でも「きじつまえ」と言っていたそうです。

選挙期間中に候補者が死亡した場合はどうなる?

人数に制限なく新たな立候補が認められる

公職選挙法に補充立候補の規定があります。選挙期間中に候補者が死亡したり立候補を取りやめたりした場合、人数に制限なく新たな立候補が認められます。候補者の関係者である必要はなく、誰でも立候補できます。
立候補の期限は投票日の3日前(町村長または町村議会議員選挙の場合は2日前)です。期限が過ぎて、首長選挙の候補者が1人の場合は、投票日を5日延期して、延期後の投票日3日前(町村の場合は2日前)まで補充立候補をすることができます。

欠けた候補者への期日前投票は無効票に

欠けた候補者が期日前投票で得た票は無効になるという問題点も指摘されています。

投票用紙は実はものすごくハイテク

選挙に使う投票用紙。実はあれ、普通の紙ではないんです。ポリプロピレンを主原料にした「ユポ」という素材で、水に強く、破れにくいといった特徴があります。下の記事によると、何重に折りたたんでもすぐに元に戻り「薄いプラスチック製トランプに近い印象」とのこと。この素材に筆記用具で書き込みができるよう加工をしているそうです。この「何重に折りたたんでもすぐに元に戻る」という特徴が、開票後に大きな力を発揮しているのです。

投票用紙を折った状態で投票箱に入れても、中で自然に開くので開票作業時の手間が省ける点がセールスポイント。ムサシ広報室長の篠沢康之さん(57)は、「従来は全開票時間のうち、投票用紙を開く作業だけで約3分の1を費やしていました。この作業を何とか効率化できないか、ということで開発がはじまったのです」と経緯を語ります。

さらにこの記事では、いつも突然に決定する選挙に対しどうやって対応しているのか、どのように全国の都道府県の投票所に配送しているのか。さらに開票後の集計など、詳しく書かれていて興味深いです。

この用紙は東京都中央区にある会社「ムサシ」と東京都千代田区の「ユポ・コーポレーション」による共同開発。なんと、2012年12月の衆議院選挙以降、国政選挙でのシェアは100%だそう。
また、この紙の書き心地、触り心地がたまらない!と一時期ネットでも話題になりました。

選挙ポスターの“修正”どこまでOK?

誰しもが…と言うと言い過ぎですが、街角で街頭演説や挨拶をしている候補者の“実物”を見た時に感じる疑問、それは「選挙ポスターの顔と違わない?」。多くのポスターが肌にシワひとつなく、真っ白な歯に若々しく整った髪型。まるで別人のような差を感じる候補者も見受けられます。あまりにも見た目と違いすぎる、現実とかけ離れているポスターは、選挙違反にならないのでしょうか?

ポスターの内容に規制はなし

ポスターを貼る場所や枚数には非常に厳しい規定のある公職選挙法ですが、実はポスターの内容については、これといった規制がないのです。サイズは「長さ42センチ、幅30センチ」を超えてはならないとされていますが、その範囲内なら別に長方形でなくても丸型でもなんでも良いんだとか。まして、ポスターの写真が加工されているかどうかも規制はありません(もちろん、経歴の詐称などは許されませんが)。極端な話、本人の写真でなくても良いらしいのです。

じつは国会で、「候補者の写真があまりに古くて現在の容姿と異なる場合は虚偽記載ではないか」という質問が行われたことがある。これに対する政府の答弁は「虚偽事項公表の規定に該当しない」だった(2004年10月22日、第161回臨時国会)。
大昔の写真でも問題ないなら、画像加工ソフトでシワをなくすくらいの修正は許されるだろう。

規制しない理由は…

上記2004年の例だけでなく、2015年に当時参議院議員だった松田公太氏も質問をしています。その結果、現状の規定を変えるには法律の改正が必要になるとの回答がなされています。

総務省の職員の話では、候補者以外の写真でも法的に取り締まるのは難しいとのこと。つまり、誰の写真を貼っても良いと解釈されているようす。
この規制をつくるのは、公職選挙法の改正が必要になり、インターネット選挙解禁に携わった経験からすると、非常に大変なのがわかります。
(公職選挙法は、原則「全政党」のコンセンサスがないと変えるべきではないという慣習が国会にはあります)

今回の衆院選に関するトピックス

元AKB48の川栄李奈が衆院選の顔に

2015年にAKB48を卒業後、女優として快進撃を続ける川栄李奈が、22日に投開票が行われる予定の『第48回衆議院議員総選挙』の選挙啓発キャラクターに決定した。
現在、ポスターやリーフレット、総務省特設ホームページなどを活用した啓発事業を実施中。WEBムービーでは、選挙啓発イメージキャラクターを務める川栄が「選挙の主役は、投票する私たち。日本の明日を、私たちで決めましょう」と投票を呼び掛けている。

本人は「本当にビックリ」「不思議な気持ち」

イメージキャラクターに選ばれた心境を聞かれた川栄は「本当にビックリしています。選挙の時期になると(選挙啓発)ポスターを見かけていたので、そのポスターに自分がなっているのが不思議な気持ちです」と率直な思いを話した。

“おバカキャラは演技だった”疑惑浮上

AKB48時代に売りにしていた“おバカキャラ”とはイメージが全く異なる衆院選の「顔」抜擢。そのことで、ある“疑惑”が浮上することに。

「川栄さんはバラエティ番組でおバカキャラとして注目を集めてブレイクしましたが、その一方で劇場公演などではダンスの振付もバッチリ覚えていてパフォーマンスもみごとだったし、握手会などでのファン対応もスマートで、実はおバカを演じているだけなのではないかと噂になっていましたね」(アイドルライター)

衆院選の啓発活動

今回の選挙は選挙権年齢が18歳以上へ引き下げられて初めての衆院選ということもあってか、若者をターゲットにした啓発活動がいくつか行われています。

キッザニアで「こども模擬選挙」

キッザニア東京とキッザニア甲子園は、10月22日に実施される「第48回衆議院議員総選挙」にあわせ、子どもたちが比例代表方式で実在の政党に投票する「こども模擬選挙」投票体験を実施する。代表を選ぶことや、自分の意見を表明するという姿勢を学ぶ機会を提供する。

「eスポーツ」と連動したPRイベントを開催

東京都選挙管理委員会事務局は10月14日、15日の二日間にわたり「衆議院議員選挙PRイベント」を開催。近年注目を集めている「eスポーツ」を通じて若者の衆院選への関心アップを狙ったイベントだということです。

このイベントは「日本の今に参加しよう」をキャッチコピーに、コンピュータゲーム、ビデオゲームを使った対戦をスポーツ競技として捉える今話題の「eスポーツ」をメインコンテンツとして実施したものです。ネットメディアとの関わりが強い若い人たちに衆議院議員選挙への関心を持ってもらい、1人でも多くの人に投票に参加してもらうことを目的としました。

選挙ポスター掲示板の隣に「ごちうさ」

10月10日、京都市の京都大学に近接する歩道にある京都2区の選挙ポスター掲示板の隣に、アニメ「ご注文はうさぎですか??」のキャラのポスターが4枚貼られた掲示板が登場しました。これは公選法に違反していないのか?と「弁護士ドットコム」が京都市選管に尋ねています。

「公職選挙法には違反しない」

選挙ポスター掲示板の近くに、こうした独自の掲示板を設置することは、公職選挙法に抵触しないのだろうか。京都市選挙管理委員会に聞いたところ、「その事実は把握できていませんが、伺った限りですと、(ごちうさ選挙掲示板は)公職選挙法には違反しないと思います」とのこと。

10月10日、京都市の京都大学に近接する歩道にある京都2区の選挙ポスター掲示板の隣に、アニメ「ご注文はうさぎですか??」のキャラのポスターが4枚貼られた掲示板が登場しました。これは公選法に違反していないのか?と「弁護士ドットコム」が京都市選管に尋ねています。

この掲示板は結局、13日頃に設置した本人(?)によって撤去されたとのこと。

忘れちゃいけない「国民審査」投票も同じ日に

最高裁の裁判官を「審査」する

衆院選と同じ日に、そしてほとんどが同じ場所で行われる「国民審査」。過去に23回も行われていますが、国会議員を決める議員選挙と違い、あまりピンとこない上に、記入なしでいいため、なんとなく終わらせてしまうので影の薄い制度ではあります。

投票所では裁判官の名前が記された用紙を渡され、辞めさせたいと思う裁判官の名前の上の欄に「×」を書くことができる。信任する場合は何も書かない。「×」が有効票の過半数に達すると罷免されるが、戦後、審査を受けた延べ172人の裁判官で罷免された人はいない。2014年に審査を受けた5人の罷免を求める率は8~9%台だった。

そもそも、議員候補と違い街頭に立つこともなく、報道される機会もほとんどないため、審査といっても何者かすらわからないのにという方が多いのではないかと思われます。そういった方のために?最高裁や総務省で、今回審査される裁判官のプロフィールを掲載しています。また、総務省のページのリンク先にある「審査広報」には担当した判例や「裁判官としての心構え」も載っているので、それを読むことでその裁判官のことを多少なりとも知ることができます。

Infoseekニュースにも「弁護士ドットコム」から各人のパーソナルを説明した記事が配信されています。ちょっと親近感が湧く情報多いですね。また時事通信は今回の候補となった各裁判官にアンケートを行っています。

ちなみに、以前ちょっとだけ話題になったブリーフ裁判官

ブリーフ一丁の姿や縛られている姿など、自身の際どい写真をツイッターに投稿していた、東京高裁の現役裁判官・岡口基一氏(50才)が口頭で厳重注意を受けた。ネット上ではファンも多かった岡口氏に対しては擁護する意見もあるが、やはり批判も多い。

この「口頭で厳重注意」をしたのが今回の候補のひとり、戸倉三郎裁判官です。決してブリーフ一丁になった方ではないです、念のため。

上記のエピソードは完全な余談であり、今回の審査になんら影響をあたえることはないと思いますが、多少なりともその人のパーソナリティがわかれば、より深く知りたい、と思うかもしれません。一人ひとりの解説をすることはできませんが、Infoseekニュースの検索窓で、「裁判官名+裁判官」(例えば戸倉三郎氏だったら「戸倉三郎裁判官」)を入力して検索したら、(全員分ではありませんが)担当した事件・判例が出てくる場合もあります。あの有名事件を担当していたんだ!とか、こういう判断をする人なんだ!など分かることがあるかも。また、日本を騒がせた騒動の関係者だったり意外な検索結果も出てくるので、試して見る価値はあると思います。

「名物候補」のポスターから過激文句が消える

又吉イエス氏、通算17度目の選挙

「唯一神・又吉イエス」こと、世界経済共同体党代表・又吉光雄さん(73)は、「腹を切って死ぬべきである」といった過激なフレーズが並ぶ選挙ポスターで知られる。衆院選は、「マニフェスト選挙」といわれた2003年からはじまり、過去5度の挑戦歴を誇る。今回は、国・地方合わせ通算17度目の選挙だ。恒例の東京1区から出馬している。

「腹を切って死ぬべき」といった過激フレーズが姿を消す

又吉氏を有名にしたのが、黄色地に黒の小さい文字で大量に自らの主張が書き込まれたポスターだ。とりわけ、その中で展開されている独自の主張が目を引く。例えば12年の衆院選のポスターでは、対立候補が又吉氏らの活動を「邪魔・妨害」しているとして
「毎日5万人以上が死んでいる命を殺すものである」
と主張。男性の対立候補者4人を名指ししながら
「責任をとって、日本人であるなら腹を切って死ぬべきである」
などと罵倒。女性候補者についても「腹切り」以外は
「死ぬべきも当然である」
と同様だ。
だが、今回の衆院選ポスターでは「腹を切って死ぬべき」といった表現は姿を消し、対立候補ではなく対立政党を「嘘政治・嘘政党である」と罵倒するにとどまった。

今回は準備が間に合わなかった

ポスターから恒例の過激フレーズが消えた理由について、又吉氏は準備の時間がなかったことを明かしています。

「今回、降ってわいたよな選挙でしょ?(衆院解散の)噂が出て、選挙まで1か月ぐらいですよ!その中で選挙するというのは無理な話」
などとポスターやビラ、選挙公報用の原稿の準備に追われたとして、次のように発言。立候補者の確定が遅れたため、単に準備が間に合わなかったことを明かした。

ひとつくらいは「へ~」と思う情報はありましたでしょうか。これを読んで少しでも選挙に興味を持つことがあれば、22日は是非投票所に足をお運びください。