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アングル:デフレ脱却「年央にも」、根強い慎重論 関係閣僚は検討否定

ロイター / 2024年3月6日 18時57分

 3月6日、政府内でデフレ脱却宣言をめぐる議論が浮上している。都内で2023年11月撮影(2024年 ロイター/Issei Kato)

Yoshifumi Takemoto Kentaro Sugiyama

[東京 6日 ロイター] - 政府内でデフレ脱却宣言をめぐる議論が浮上している。春闘や日銀のマイナス金利解除などの動向などを踏まえ、日本経済の体質改善が確認できれば、財政再建への効果などもにらみ、年央にも検討したいとの声が一部にある。もっとも、そもそも宣言自体が必要なのか疑問視する声も強く、最終的にどう着地するかは見通せていない。

共同通信は2日、政府が物価の上昇傾向を受け「デフレ脱却」を表明する検討に入ったと報じた。この報道について林芳正官房長官は4日、「現時点ではそのような状況に至っていない」と発言。新藤義孝経済財政相は5日の閣議後会見で、現時点では具体的に検討していないが、各種経済指標を踏まえ総合的に判断すると述べた。

複数の政府関係者によると、経済と物価の好循環が実現し、日本経済が構造的にデフレ体質から転換したと確認できれば、政府としてはデフレ脱却宣言を行いたい方向で検討されているもようだ。時期について、別の政府関係者は「今夏前後が焦点となる」としている。2人の政府関係者は、マイナス金利解除後の利上げを視野に入れるには「デフレではない経済環境をさらに前進させる必要がある」とも語る。

もっとも政府・与党内にも様々な意見がある。「すでにインフレに苦しむ状況下で、宣言そのものが受け入れられるのか」(閣僚経験者)との指摘がある。

デフレ脱却を表明するかを巡り「そのような検討をしている事実はない」(鈴木俊一財務相)とする声もあり、少なくとも現状では時期尚早との見方も根強い。

デフレ脱却判断を巡り、政府は、消費者物価指数、GDPデフレーター、需給ギャップ、単位労働コストの動向を重視してきた。ここにきて賃金上昇、企業の価格転嫁の動向、物価上昇の広がり、予想物価上昇率なども加えた「総合判断になる」(内閣府幹部)と説明している。

消費者物価指数(生鮮食品を除く総合、コアCPI)の上昇率は今年1月まで22カ月連続で2%以上となり、GDPデフレーターの前年比は5期連続プラスとなった。ただ、需給ギャップの直近の推計値はマイナス、単位労働コストの前年比もゼロ近傍で、4条件がそろって「青信号」となっているわけではない。

ある政府関係者は「4指標は非常に不安定。仮に4つが青信号になってデフレ脱却宣言しても次の四半期で一つ「赤」になるとかいくらでもあり得る。その時にやっぱり違いましたとは言えない」とし、宣言に慎重な見方を示す。

別の政府関係者は「景気の波がどうかというのと同じように事後的に専門家の議論を経て決められる性質のものではないか」という。

岸田文雄首相は、年初の施政方針演説で「日本経済に染み付いたデフレから完全脱却し、熱量あふれる新たな成長型経済に移行していくチャンスを手にしている」と言及した。施政方針に先立つ政府与党連絡会議では「官民が連携して賃金が上がり、可処分所得が増えるという状況を今年夏には確実につくる」としている。

デフレ脱却宣言の効果について、一部の関係者からは、宣言にこぎ着ければ、デフレ下で正当化されてきた政権与党からの歳出圧力が弱まり、「財政の平時化をより確かなものにする副次的効果が得られる」(別の内閣府幹部)との指摘が出ている。

(竹本能文、杉山健太郎 編集:石田仁志)

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