インフレやアフガニスタンからの米軍撤退…「バイデン政権の1年」を振り返る
ananweb / 2022年3月25日 21時10分
意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「バイデン政権の1年」です。
アメリカのパワーが失われたことが露呈した1年に。
アメリカのバイデン大統領の就任から1月で1年が経ちました。就任直後は57%だった支持率が、1年後は40%ほどに落ち込んでしまいました。コロナ禍でも、経済政策としては、失業率も経済指標も上向きにさせました。ワクチンも2億1600万人が接種済みとなったことをひとつの成果と強調しています。しかし、経済活動は回復していますが需要に対して供給が間に合っておらず、物価が上がって市民はインフレに大変苦しんでいます。支持率が落ち込んだ大きな理由はインフレでしょう。これに対して、バイデン大統領は200兆円規模の大型財政歳出を考えていますが、与党内の反対もあり、議会がねじれた状態になると、こういった法案も通らなくなってしまいます。
外交面では、昨年の夏、アフガニスタンから米軍が撤退する際に大きな混乱が起きました。かつては「世界の警察」といわれ、世界の平和と安全のために貢献してきたアメリカのパワーが失われているということを国内外に露わにする結果となってしまいました。
トランプ政権から一転し、各国との協調関係は取り戻せたので、ヨーロッパ諸国の首脳からは、「コロナ禍でもうまく立ち回れた」と評価の声が上がっています。ただ、トランプ氏はプーチン大統領と疑惑が取り沙汰されるほど仲が良く、中国に対しては真っ向から臨んでぶつかり、ある意味アメリカの影響力を示していました。日本とアメリカの関係も、安倍元首相とトランプ前大統領はとても相性が良かっただけに、岸田政権とバイデン政権の関係が強固ではないところに、アフガニスタンでタリバン政権が復活したり、中国と台湾の緊張関係も高まったり、ロシアがウクライナに侵攻するなど、これでいいのかと思わざるを得ません。
リベラルな大統領が誕生ということで、多くの移民がアメリカに押し寄せました。しかし、不法移民に関してはバイデン氏も頭を悩ませ、結局国境を強化するしかありませんでした。2021年度の不法移民の拘束者数は過去最高に達し、一部のリベラル層からは落胆の声が上がりました。11月には中間選挙があります。ここがバイデン大統領の正念場となるでしょう。
堀 潤 ジャーナリスト。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。Z世代と語る、報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX平日7:00~)が放送中。
※『anan』2022年3月30日号より。写真・小笠原真紀 イラスト・五月女ケイ子 文・黒瀬朋子
(by anan編集部)
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