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【泊まりたい物語のあるホテル】 モードの最先端を伝えたパリ「オテル・サン・レジス」

CREA WEB / 2024年1月30日 7時0分

 クリエイターが愛した部屋、クリエイションが生まれたホテル。特別なアドレスでは、歴史を紐解いたり、アートの域の調度品を崇めたり。パリならではの創造の館に滞在すると、イマジネーションが無限に広がる。

 今、泊まりたい“物語”のある素敵ホテルを5回に渡りご紹介。


モードの最前線を伝えた伝説の隠れ家ホテル

◆Hôtel San Régis(オテル・サン・レジス)


スノウは74号室のテラスからの眺めをこよなく愛した。Photo:Romain Richard

 パリの楽しみのひとつは、とっておきの隠れ家を見つけ、そこに秘められた逸話を探ること。

 “黄金の三角地帯”と呼ばれるパリ屈指の高級エリアにありながら、意外と知られていないサン・レジスは、まさにそんな願望も満たしてくれるホテルだ。


かつてカーメル・スノウが好んだという最上階の“デュプレクス”。現在は2フロア別々の部屋となっており、こちらの74号室は彼女が“ペントハウス”と呼んだ上階のベッドルーム。

 1857年に建てられた邸宅を受け継ぎ、1923年にホテルとして開業したサン・レジス。

 すでにクチュール・メゾンが立ち並びはじめていたこの界隈で、戦後間もなくパリ出張の宿を探していた『ハーパーズ バザー』アメリカ版編集長、カーメル・スノウのアンテナに引っ掛かる。


サン・レジスの“ペントハウス(現74号室)”で、アシスタントを従えて仕事をするスノウ(中央)。

 クラシックかつシックな内装と親密な雰囲気が気に入った彼女は、ここのペントハウスを定宿とし、パリ滞在時のオフィスにもした。

 折しも、すぐ近くのアヴェニュー・モンテーニュにアトリエを構えたのがクリスチャン・ディオール。


“デュプレッス”の下階のサロンだった空間は、現在は60号室に。調度品は、創業当時の趣を残す。

 1947年2月、彼が発表した初のクチュール・コレクションにいたく感嘆したスノウがサン・レジスの部屋から発信したのが“ニュールック”の文字。今や辞典にも掲載されるこの言葉は、実は、このホテルで生まれたのだ。

 一方、すでに同じ通りにスタジオを構えていたのが、写真家リチャード・アヴェドン。彼はスノウに会うためサン・レジスを頻繁に訪れたといい、ここで撮影したディオールのドレスをまとったサニー・ハーネットが誌面を飾ったのは1954年のことだった。


ホテルを切り盛りする姉妹、ゼイナさん(右)とサラさん。建設された当時から残るステンドグラスの前で。

 それから70年が経った今、ホテルを切り盛りするのは、現オーナーの令嬢ゼイナさんとサラさんの姉妹。

「宿泊客には、思い切りパリを感じてほしいのです。それも、古臭い印象は与えずに。そこで改修の際には、壁には街と調和する石灰岩を、カーテンやソファにはピエール・フレイの布地を使ったのです」と語るサラさん。


廊下はパリのモニュメントを描いた壁紙で覆われている。

 実は彼女もディオールとの繋がりをもち、6年にわたってファインジュエリーのマーケティングに携わった。

 なお2024年2月中旬からapple TV+では、クリスチャン・ディオールを主人公としたオリジナルドラマ「The New Look」を配信する。

 スノウ役を演じるのは、グレン・クローズ。サン・レジスがストーリーにどんな形で登場するのか、それは見てのお楽しみだ。


ネオクラシック様式のファサード。

Hôtel San Régis(オテル・サン・レジス)

所在地 12 rue Jean Goujon 75008 Paris
電話番号 01 44 95 16 16
客室数 42室
料金(1室) 460ユーロ~
https://www.hotel-sanregis.fr/

文=乗松美奈子
撮影=橋本 篤
編集=矢野詔次郎

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