「メルカリで売るんじゃないでしょうね?ってくぎを刺したり(笑)」58歳の小泉今日子が話す還暦後の“楽しみ”
CREA WEB / 2024年3月13日 11時0分
小泉今日子さんと言えば、80年代を代表するアイドルであり、舞台や映画、ドラマ出演もこなす女優。そして、今では株式会社明後日の代表取締役を務めながらプロデューサーといった仕事にも取り組まれています。そんな小泉さんは、大の読書家としても知られています。
書籍『ホントのコイズミさん』は、Spotifyで“本をテーマ”にスタートしたオリジナル番組『ホントのコイズミさん』として放送されていたものから、テーマに合わせた放送回をキュレートして集めたもので、3冊目となる本のテーマは【NARRATIVE】。小泉さんの今の本音をたっぷりと伺いました。
私にとっての日常でも、誰かの特別な日かもしれない
――小泉さんの女性ファンのお話を引き続きお伺いしますが、同世代の女性たちが「ずっとキョンキョンを追っかけている!」という話をよく耳にします。アイドル時代から憧れの女性像として、小泉さんは突出した存在でした。
ありがたいですね。あの頃は男性アイドルもたくさんいて、その人たちの追っかけと言われる女性たちが、テレビ局の前などで出待ちしていたところに遭遇していました。でも、その男性アイドルの方が忙しくておしゃべりする時間がなかったり、ちょっとご機嫌斜めですぐに車に乗って帰っちゃったりするタイミングで、私がテレビ局を出ていくと、よく「今日子ちゃん、これあげる」と、その女性たちがお菓子をくださったりするんです。
「どうして?」と聞いたら、「○○くんが受け取ってくれなかったから、今日は今日子ちゃんにあげる」って。私も「ありがとう」と、こんな感じでよく会話していましたね。話しやすかったんじゃないかな(笑)。
――ファンサービスについて、別のインタビューで、「おしゃべりもサインも、しちゃったほうがいい」と小泉さんはおっしゃっていて。
はい。私にとってファンの方のおしゃべりやサインなどは日常的なことですし、煩わしいと感じる日もたまにはあるかもしれないけれど、その人たちにとっては人生のたった1回きりのチャンスかもしれないじゃないですか。そう思ったら、やはり無碍には断れないと思うんです。
私と話すことで、何日間かでもその人が元気になるのだったら「私も、生きている意味がある」と思うというか。若いときは全部断っていたことありますよ。でも、映画でご一緒させていただいた真田広之先輩がすごく丁寧に対応されているのを目撃して反省したんですよね。
今は、昔のパンフレットを山のように持ってきてサインが欲しいと出待ちしている人がいたりすると、「メルカリで売るんじゃないでしょうね? 顔を覚えておくよ!」ってくぎを刺したりしますが(笑)。
――面白いですね(笑)。CREAの読者は30代ですが、彼女たちにとってもロールモデルとなる素敵な先輩だと思います。
ありがとうございます。でも、ロールモデルにはいろんなタイプがいないといけないと思うんです。これから先はシニアの時代になっていくわけだから、若い人たちが年齢を重ねることに少しでも希望が持てるように。
その一人として、「小泉今日子的な生き方も、アリかも」という感じを目指したいです。
カッコいいシニアの楽しみ方を提案していきたい
――現在58歳と伺いましたが、60歳を迎えるにあたって“壁”のようなものはありますか?
壁は感じてないのですが、自分が60歳になるまでにはやっておこうという目標はあります。ライブとかそういったことなのですが、ツアーマネージャーもバンドマスターも同い年なので、「俺たち、60歳までは何とか毎年ライブを頑張ろう!」と話しているんです(笑)。
でも私は、そのあとは一旦白紙にしようかなと思っていて。「何がしたい」と考えないことにするつもり。その60歳のライブが終わったときに、「私は何をやりたいと思うんだろう」というのを楽しみにしているんです。自分が自分に“サプライズ”という感じかな。
どんな心境になるんだろう、もっと歌いたいと思うんだろうか、もしかしたらちょっと本格的にもう一回文章に向き合ってみるという可能性もあるかもしれません。または、「あ、おばあちゃん役が来た! やった」と思うのか、それとも「野菜とか作りたいなあ」と思うのか……。それを楽しみにしているんです。
――60歳というのは、まだまだ若いですからね。
そうなんです。だから、今もシニアの楽しみ方を色々と提案していて……。J-WAVEで近田春夫さんとラジオをやっているんですが、近田さんと『BAD MORNING! CLUB』という朝活イベントをもう2回ほど主催しているんです。
朝8時オープンで、フリマとライブとDJが入る、そういうイベント。1月に開催したときは笹塚ボウルでやったので、ボーリング大会とお餅つき(笑)。すごくカッコいい音楽がずっと流れて、参加者の方たちを見ていると、とても楽しそうにしているのが嬉しくて。
あとは私のちょっと先輩や同世代の人にもオシャレで可愛くて、カッコいい人がいっぱいいるから、そういう女性たちと集まって何かやりたいねというのを考えています。もうわりと具体化しそうなんですよ。
私は若いときから同世代に向けて、「こんな音楽すごくカッコいいよ」「この人のファッション、イケてるよね」というのをずっと発信してきたので、これから先も「こんなふうに楽しもうよ」というのをまだまだ提案したいなって思います。
――同世代の女性はもちろん嬉しいと思いますし、きっと若い世代も引きこまれそうですね!
私も「同世代が分かってくれればいいや」と思っているのですが、そういう考えで行ったことに、不思議と若い人たちも興味持ってくれるんですよね。いつもそう。
むしろ、私たちが企画を考えるときに“若い子にウケる”ことを考えてはダメなんです。自分たちが楽しめることを「わあ、楽しい!」ってやっていると、若い人たちが「面白そう!」ってきてくれるんですよね。それは60歳まではしっかりやっておきたいですね。
いいムードを循環させていけば、世界は幸せになれる
――では、やはり60歳以降の小泉さんの動向も着目しないと……。
消息を絶っちゃうかもしれないし、分からないですよ(笑)。みんなが「そう来たか!」と思うようなことをやっちゃうかも、ですし。
――書籍の中で「諸先輩方と“死”について話すことがある」とおっしゃっていましたが、60歳を目の前にして、ご自身の中で“人生のゴール”のようなものをお持ちですか?
特にないんです。でも本当にこんなに長く生きるとは思っていなかったんですよね。
私は小さい頃から【死】というものにすごく興味がありました。“死にたい”というわけではなく、どっちかというと“憧れ”に近い感覚だったと思います。物語の中に出てくる“死”も、映画の中に出てくる“死”も、あと、身近な人の“死”も、すべて美しいモノとして見えていたんです。【死】自体が恐ろしいものではないという感覚が、ずっと自分の中にあって。
だから、“生きている”ことを考えるよりも、“死ぬ”ことを考える時間のほうが長かったです。そうこうしていたら意外と生きたなという年齢まで来ちゃって(笑)。でも今度は、ここまで来ちゃうと本当に【死】が遠くないところにあって、急に具体化してきた感じ。
だから、リアルな話になっちゃいますが、私は独り者だし、こんな仕事をしていると権利関係がかなり面倒なんです(笑)。姉の子どもたちは分からないだろうし、迷惑かけたくないのでそういう準備を始めないといけないなぁとか、そういうことは考えています。
――なるほど。最近、小泉さんは『文藝春秋』2月号の有働由美子フリーアナウンサーとの対談でバラエティ番組に対して「出たくない」「くだらないから」と話されたことがネットニュースなどで取り上げられましたが、実際に舞台などの制作にも関わっていらっしゃるので、どういった意図があったのかをお聞かせいただけますか?
原稿チェックもさせていただいたので、訂正することもできましたが、そうしなかったのは私です。それに色々な人が乗っかってしまい、大事になった感覚は一瞬ありましたが、でも別に何とも思ってないです。だって、本当にそう思うんだもんって感じなんですよ(笑)。
あの発言は特に現場でモノを作っている方や出演されている方に対してというわけではなく、構造自体がおかしくなってるよ、という話をしたかったんです。どの業界もそうですが、アップデートをしていかないことに問題がありそうだなと思っていて。
私の場合は、何が作りたいか、とてもシンプルです。人が元気になったり、楽しいと感じたり、希望を持てるようなものが作りたい。何だか子どもみたいな答えですけど(笑)、それを忘れちゃってない? と、そんなふうに思っています。
――最後に30代のCREA世代の読者にメッセージをいただけますか?
私が子どもを産んでいたら、CREA世代になっている可能性もあるかもしれないのかぁ。最近、ライブにも親子で来てくれる方、多いんですよ。お母さんと娘さんという組み合わせはあるだろうなと思っていましたが、息子とお母さんというパターンでもかなり来てくれているようなんです。
若い子たちは私が出ている出てないは関係なく、私がプロデュースしていることに興味を持ってきてくれているようなので、それもすごく嬉しくて。
そうだな。みんなのお母さんとお父さんを元気にすることは私の役目。その“元気になったお父さんとお母さん”から、いいムードを受け取ってください。ライブは本当にそういう気持ちでやっているので、そのムードを受け取ってくれたら、友達やみんなに分けてほしい。そうやっていけば、世界は幸せになりませんかね? みんなで支え合い、循環し合って生きていきたいですね!
小泉今日子
神奈川県生まれ。1982年『私の16才』で芸能界デビュー。以降、歌手・俳優として、舞台や映画、テレビなど幅広く活躍。2015年より代表を務める『株式会社 明後日』では、プロデューサーとして舞台や音楽イベントなどの制作も手掛ける。文筆家としても定評があり、著者に『黄色いマンション 黒い猫』(スイッチ・パブリッシング/第33回講談社エッセイ賞)、『小泉今日子書評集』(中央公論新社)など多数。2021年4月より約2年半の間、Spotifyオリジナル・ポッドキャスト番組『ホントのコイズミさん』にてパーソナリティを務める。
ジャケット 149,600-、パンツ 69,300-
ともに forte_forte (CORONET 03-5216-6518)
ピアス(両耳) 118,800-、リング/右 198,000- ・左 88,000-
すべて oeau (Harumi Showroom 03-6433-5395)
文=前田美保
撮影=深野未季
スタイリスト=藤谷のりこ
ヘアメイク=石田あゆみ
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