森林が大気中マイクロプラスチックを捕捉することを世界で初めて実証--ヒトによるAMPs吸入リスク低減において森林が重要であることを明らかに--
Digital PR Platform / 2024年3月27日 14時5分
【概要】
日本女子大学大学院理学研究科の宮崎 あかね(みやざき あかね)教授、同理学研究科の須永 奈都(すなが なつ)博士課程前期学生、早稲田大学理工学術院の大河内 博(おおこうち ひろし)教授、およびPerkinElmer Japan合同会社の新居田恭弘(にいだ やすひろ)氏による研究グループは、葉面に捕捉された大気中マイクロプラスチック(AMPs: Airborne microplastics)に適した葉面洗浄法を開発し、AMPsが葉面のエピクチクラワックスに吸着することにより、葉に捕捉されるというメカニズムを初めて解明しました。
本研究では、森林が陸域におけるAMPsのシンク(吸収源)として機能しており、AMPsの環境動態の解明、ヒトによるAMPs吸入リスク低減において森林が重要であることを明らかにしました。
本研究成果は、『Environmental Chemistry Letters』誌(論文名:Alkaline extraction yields a higher number of microplastics in forest canopy leaves: implication for microplastic storage)にて、2024年3月20日(現地時間)にオンライン掲載されました。
(1)これまでの研究で分かっていたこと
森林は大気中のガス状・粒子状大気汚染物質を樹冠で捕捉し、大気を浄化する「森林フィルター効果」を有することが知られており、森林はAMPsの重要なシンクとして機能する可能性があります。2020年に初めて葉に捕捉されたAMPsが報告され、それ以降いくつかの研究で調査が進められていますが、先行研究には主に二つの問題点がありました。
第一に、先行研究ではAMPsを葉から回収する際に超純水で葉面を洗い流す手法(葉面洗浄法)や超音波洗浄法が用いられてきましたが、葉に捕捉されたAMPsがすべて洗浄されているのか検討されておらず、葉面捕捉量を過小評価している可能性がありました。
第二に、先行研究では市街地の街路樹や公園などの低木が対象であり、高木で構成される森林によるAMPsの捕捉実態や捕捉機構は不明でした。
冒頭で述べたAMPsのシンクとしての森林の機能を適切に評価するためには、先行研究におけるこれら二つの課題を解決することが不可欠です。
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