年収900万円と年収1000万円で「手取り」はいくら違う?「100万円の差」でも生活レベルは同じ?
ファイナンシャルフィールド / 2024年2月2日 5時30分
年収900万円と年収1000万円、どちらも高収入であることには変わりません。その差は100万円ですが、ここまで高収入だと、100万円の差も、人によってはさほど大きく感じられないかもしれません。そこで、両者の手取りを比較してみました。
年収900万円の手取りはどれくらい?
まずは年収900万円の手取りを計算していきましょう(年収900万円ということで、月々の額面は、単に900万円を12分割した75万円とします)。
税金は額面全額についてかかるわけではなく、額面から各種控除を差し引いた「課税所得金額」に応じた税率でかかります。
控除にはもろもろありますが、取りあえずは、税の計算にあたって適用される控除は、給与所得控除と社会保険料控除(厚生年金保険料・健康保険料・雇用保険料とし、介護保険料については考慮しない)と基礎控除のみとします。
すると、課税対象となる課税所得金額は535万2300円となります【900万円-給与所得控除195万円-基礎控除48万円-社会保険料控除(厚生年金保険料5万9475円+健康保険料3万7500円+雇用保険料4500円)×12ヶ月分】。この場合、所得税の税率は20%、さらにそこから差し引かれる控除額は42万7500円となります。すると、最終的な所得税の額は64万2960円となります(復興特別所得税については考慮しない)。
また住民税は、課税所得金額の10%と仮定して計算すると、53万5230円となります。
最後に社会保険料と所得税、住民税を差し引いた後の手取り額を計算してみると、想定される手取り額は660万4110円となります(900万円-121万7700円-64万2960円-53万5230円)。
年収1000万円の手取りはどれくらい?
では続いて、同じように年収1000万円の手取りがどれくらいになるのか見ていきましょう。
年収1000万円ということで、月々の額面は単に1000万円を12分割した、83万3333円とします。
前項と同様に、課税対象となる課税所得金額は629万8300円となります(1000万円-給与所得控除195万円-基礎控除48万円-社会保険料控除(厚生年金保険料5万9475円+健康保険料4万1500円+雇用保険料5000円)×12ヶ月分)。この場合の所得税の額は、税率20%をかけ、そこから控除額42万7500円を引いた額となるため、最終的な所得税の額は83万2160円となります。住民税は課税所得金額の10%とすると、62万9830円です。
すると、手取り額は726万6310円となります。年収900万円の場合との手取り差は66万2200円です。
年収上の額面の差が100万円あっても、実際のところ、手取り額ではそこまで大きく差がつかない結果となりました。
年収900万円と1000万円、両者の額面の差が100万円あっても、実際の手取りになると66万円程度の差になります。
それは、税金や社会保険料があるからです。100万円の額面であっても、税率や社会保険料の額などにより、66万円ほどの手取り差になったのです。
生活レベルに差はほとんどない
正直なところ、年収900万円と年収1000万円とでは、生活レベルに差はほとんどありません。手取りで66万円の差があるとして、月々の差は5万5000円ほどです。子どもがいるような世帯ならば、生活は多少楽になるでしょうが、大きく実感できるような差ではないでしょう。
独身であっても、せいぜいランチ代や、趣味に使うお金を気にしなくなる程度でしょう。人によっては、差をほとんど感じないかもしれません。
このように、年収900万円と年収1000万円とでは、生活レベルに差がほとんどないといえるでしょう。
まとめ
年収900万円と年収1000万円とでは、手取りの差は66万円程度になるようです。額面年収が100万円違っても、月々の手取り額では5万5000円程度の差であり、生活レベルが大きく変わることはないでしょう。
年収900万円と1000万円とに限らず、手取りの差は額面の差よりも小さくなることが一般的ですが、控除の状況によっては、今回のシミュレーションと異なることも想定されます。
将来のことを考えるにあたり、年収の差と手取りについて気になったときは、どれくらいの差になるのかを一度、試算してみることをおすすめします。
出典
日本年金機構 令和2年9月分(10月納付分)からの厚生年金保険料額表(令和5年度版)
全国健康保険協会 令和5年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表
厚生労働省 令和5年度雇用保険料率のご案内
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.1199 基礎控除
No.1410 給与所得控除
No.2260 所得税の税率
執筆者:柘植輝
行政書士
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