[選手権予選]洛北が2年ぶりの決勝進出、現校名で“最後の”選手権戦う伏見工振り切る:京都
ゲキサカ / 2015年11月13日 7時30分
勝敗を分けたのは後半のパフォーマンスの差だ。攻撃の手を緩めなかった洛北と、防戦一方となった伏見工。後者を率いる牧戸万佐夫監督は「前半は得点の形もよかった。ただ、うちの選手たちの能力からすると飛ばしすぎた」ことを敗因の一つにあげた。前半から守備で粘り強い対応を見せ、一人ではなく二人で挟み込んでボールを奪いにいく。ボールを奪えば長い距離を走ってカウンター。そうしたプレーにより運動量を消耗していった後半は前に出る勢いやプレー精度、判断力に陰りが見られた。ボールを奪う位置が自陣寄りだったことも、それに拍車をかけている。
なぜ、前半がオーバーペースだったのか。ひとつは個の能力で勝る洛北と渡り合うには、最初からフルスロットで挑まなければならなかったこと。もう一つは準決勝という舞台、京都を代表するスタジアムである西京極での試合というシチュエーションからくる高揚感だ。「この舞台で張り切る気持ち、それが選手にとっていい緊張感になっていたが、はりきりすぎた」(牧戸監督)ことは否定できないだろう。ただし、先に述べたように洛北と渡り合うためには必要な要素であったことも事実。牧戸監督は「あそこで足がつるのは鍛えきれていないから。特に夏場、追い込みきれなかった」と悔しそうな表情を浮かべた。伏見工は02年度の第81回大会で全国大会出場を果たすなど実績があるが、近年はベスト8にすら入れないことが続いていた。入学してくるのも中学時代に実績のあるような選手は少ない。「(ここ数年は)厳しいトレーニングを課しても、やりきれないことが多かった。だから、今年は選手に合わせるというか、少し僕が目線を下げて取り組みました」(牧戸監督)。とはいえ、総体予選でベスト4に入り、選手権予選でも上を目指そうかというチームのトレーニングだ。夏を乗り越えて選手権予選に挑んだ選手たちは、厳しさと向き合いながら懸命についてきていた。ただ、それでも府内トップレベルのチームに勝つには、何かが足りなかったということだろう。
キャプテンのDF村田光一は「思ったより、伏工(フシコウ)のサッカーができた。悔いはない」と話した。伏見工は来年度から洛陽工と統合され、京都工学院高となる。移行は段階を踏んで行われることになっており、現在の1、2年生は来年度も伏見工として活動を行う。再来年度からは伏見工が完全に無くなって、その年に最終学年を迎える生徒(現在の1年生)は京都工学院に移ることになるという。サッカー部については来年度から伏見工と洛陽工、そして京都工学院との合同チームとして公式戦に参加する予定だ。つまり、伏見工が単独で戦うのは、この選手権予選が最後だった。“最後に伏見工業の名を全国に知らしめたい”という思いは誰もが抱いていたが、かといってそれが過度のプレッシャーになることはなかったようだ。「西京極へ来れたのも13年ぶり。楽しもうと思っていました」(村田)。願いは適わなかったが、準々決勝で立命館宇治高を下すなど、伏見工としての最後の大会に華を添えるベスト4進出だった。
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