[国体少年男子]本来は主にシャドー、ボランチ、ワイド。万能性発揮する広島県の3バックが無失点勝利
ゲキサカ / 2016年10月6日 3時20分
[10.5 国体少年男子準決勝 東京都 0-2 広島県 遠野運動公園多目的運動広場]
2試合連続で先に2点を先取されていた広島県だが、この日は守備陣が奮闘。1対1で抜群の強さを発揮したDF中谷超太(広島ユース、1年)、鋭い読みでゴールを守り続けたCB鈴直樹(広島ユース、1年)、そして俊足を活かして広範囲にカバーリングしていたDF大越寛人(広島ユース、1年)の3バックがそれぞれの特長を発揮して東京都をシュート2本、無得点に封じた。
この3人、本職のポジションはDFではない。中谷はシャドーで鈴はボランチ、大越もワイドを兼任するプレーヤーだ。いずれもDFの経験が豊富ではないという3人だが、彼らは今大会で複数のポジションに対応できる万能性を持っていることを結果で証明している。2回戦と準々決勝では前線の選手たちがチャンスを逸し続ける中で我慢できずに失点してしまっていたが、この日は見事に無失点を続けて後半半ば以降にMF山口直也主将(広島観音高2年)とMF大堀亮之介(広島ユース、1年)が決めた2得点を引き出した。
中谷は「前半(東京)は高さで来て、後半はちょっとちょこちょこ(崩しも交えて攻撃)してきた。形は前半と後半と全然違って難しかったけれど、DF3枚がしっかり守れたと思います」。特に自身は1対1でほぼ完璧な対応。岩成智和監督(広島ユース)も「中谷は1対1で抜群に頑張っていた。(MF松本大弥、鈴に加え)中谷と大越もMVP級だった」と賞賛していた。その中谷は「相手は縦に速かったので中切りながら縦に行かせようとして、自分はそこを狙ってよく取れたと思います」と自身のプレーに及第点を与えていた。
3バックの3人は普段、広島ユースセカンドの一員としてプリンスリーグ中国でプレー。トップチームが戦うプレミアリーグのひとつ下のカテゴリーでの戦いとなっているが、対戦相手はともに全国総体8強の米子北高と瀬戸内高や立正大淞南高、広島皆実高、作陽高など強豪揃い。広島ユースセカンドは下級生中心の陣容だが、強豪校のトップチームたちと勝ったり負けたりの試合を繰り返し、優勝争いを演じる中で成長を遂げている。中谷は「プリンスリーグの相手がハイプレッシャーで来ている分、こっちでは余裕を持ってやっている」。U-16の国体に比べると、球際の強度の部分などはプリンスリーグの方が上。それだけに彼らは慌てることなくプレーし続けて勝利に貢献している。
今後プロ入りを目指す上で、ひとつのポジションしかできない選手が生き残ることは難しい。この国体で万能性を磨かれている3バックは大阪府との決勝でも相手を封じることができるか。中谷は初の日本一を懸けた決勝へ向けて「自分の1対1の強さを発揮できたり、仲間のいいところを引き出せるパスを出したり、声がけをしてしっかり勝ちたい。明日、勝って新しい伝説を作りたいと思います」。普段から厳しいリーグ戦を戦っている彼らが、その万能性も再び発揮して全国制覇を果たす。
(取材・文 吉田太郎)▼関連リンク
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