[選手権予選]玉野光南が2年連続の全国出場に前進、兄の背中を追う朝原が躍動:岡山
ゲキサカ / 2016年10月31日 18時5分
[10.30 全国高校選手権岡山県予選準決勝 玉野光南高 2-1 岡山龍谷高]
全国大会で活躍した兄に追いつきたい。身長161cmながら卓越した技術と軽快なプレーで相手を手玉に取る玉野光南高のMF朝原康平が、兄を超えるための2度目の挑戦に臨んでいる。第95回全国高校選手権の岡山県大会は30日に準決勝を行い、連覇を目指す玉野光南は、2-1で岡山龍谷高を下して決勝進出を決めた。
前半21分に1年生FW飯尾柊太がまた抜きで相手をかわし、シュートモーションに入ろうとしたところでカバーに入った相手に倒されてPKを獲得。MF岩本大輝が決めて先制した。さらに同31分、右のショートコーナーからのセンタリングを左ウイングの小林敬幸が頭で決めて追加点を獲得。後半は、前日に強豪の作陽高を破って勢いに乗る岡山龍谷が反撃し、MF横田守が相手最終ラインからボールを奪って1点を返した。その後も岡山龍谷の反攻が続いて接戦となったが、玉野光南がリードを守り切って勝利を収めた。
玉野光南は、小さなシャドーストライカーが、攻撃の核として躍動した。浦和のペトロビッチ監督がJ1の広島や浦和で採用した3-6-1システムを導入した今季のチームにおいて、朝原は攻撃に変化をつけるキーマンとして重要や役割を担っている。後半に全体が間延びして相手にセカンドボールを拾われて守勢を強いられて後半27分に交代となったが、配球役としては欠かせない存在だ。
乙倉健二監督は「今年は、個の能力が高いわけではない。シンプルにアタッカーを使っても通用しないが、相手の不意を突くタイミングでボールが渡れば面白い。彼のところでキュンと攻撃の角度が変わる形にしたい」と攻撃のアクセントを付ける役目を朝原に期待していることを明かした。朝原の武器は、細かいボールタッチと頻繁に体の向きを変える動きによるボールキープから決定機を生み出すパス。前半31分には右サイドのワンツーで壁パスを出す役となったが、細かいタッチでわずかに角度をつけることでラストパスの精度を高めた。前半38分には浮き球で相手の背後へボールを落としてチャンスメークした。パスが効くのは、身体能力の差をカバーするために磨いて来たドリブルで相手の体と視線を引き付けることができるからだ。朝原は「スピードも高さもないから、相手に寄せられたとき、いなせるようにとドリブルを磨いてきた。ここにボールを置こうというアイディアは、常に1つか2つ、持っている」とキープの秘訣を語った。
朝原は、兄の背中を追って玉野光南の門をたたいた選手だ。3年前、玉野光南は全国大会で16強に進出。その一員に兄の拓也がいた。「選手権に行くために、公立で強いチームを探していた。兄の代が全国でベスト16になって、影響された」と玉野光南を進路に選んだ理由を話した。昨季は1年生ながら全国大会の登録メンバー入りを果たしたが、ベンチ入りは果たせないまま初戦の2回戦で星稜高(石川)に敗れた。兄はベンチ入りを果たしたが、出場はできなかった。朝原は「見ていて、そんなに遠い世界だとは思わなかった。間近で先輩たちの姿を見て格好良いなと思ったので、今度はあのピッチに立って観客を沸かせたい」とあと一歩に迫った舞台に強い思いを抱いている。11月5日、岡山学芸館高との決勝戦で夢への道をこじ開けるため、小さな体に秘めるエネルギーを爆発させるつもりだ。
(取材・文 平野貴也)▼関連リンク
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