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[SEVENDAYS FOOTBALLDAY]:フィールド・オブ・ドリームス(ラインメール青森・奥山泰裕)

ゲキサカ / 2018年6月10日 9時18分

「そのまま引退するのは、自分の中で悔しい気持ちが大きくて、『辞めるってどうなの?』って凄く思ったんです。その前の年に結婚もしていましたし、プロでやらせてもらえる所があるんだったら、どんなリーグでもいいから、やっぱり何か良い思い出として“成し遂げる”とか、そういうポジティブな感じで『自分はやれる所までやった』と言って辞めたいと思っていた」奥山にとって、JFL昇格とその先のJリーグ昇格という明確な目標は、十分魅力的に映った。「『生活できる。じゃあやるぞ』って感じでした」。2015年。奥山は青森の地で再スタートを切る決断を下す。

 その年の地域決勝で優勝を飾り、JFLへと駆け上がったラインメールは、昨シーズンのリーグ戦でも2位と躍進。奥山も「まだJ3ライセンスはないんですけど、来季ぐらいに申請するとかいう話も出ているんです」と認めたように、周囲の気運が高まりつつある中、2018年シーズンは経験豊富な望月達也監督を新指揮官に迎え入れ、内外に本気度を示す。天皇杯予選でも青森県を制し、3年ぶりの本大会出場を決めると、初戦で作新学院大学を相手に3-3と打ち合い、最後は10人ずつが蹴り合ったPK戦をモノにして、2回戦へと駒を進める。そこで待っていたのが、千葉という因縁の相手と、フクアリという因縁の舞台だった。

 6月6日。天皇杯2回戦。“4度目”のピッチへ、奥山が歩みを進めていく。「今までいろいろな決断やタイミングがあったけど、そういうものがまたここでやってくるのは、『運命的な感じもあるな』と思った」一戦は、前半わずか3分にスムーズなサイドアタックから、最後は太田徹郎が冷静な一刺しを千葉ゴールに突き立て、ラインメールが先制点を奪取する。

 以降も守備に回る時間が長い状況でも、時折アタックの意欲を窺わせるラインメール。41分には奥山が右サイド深くまで侵入し、折り返したボールは味方と合わなかったものの、「『オマエも若くないから』みたいに言われて(笑)、周囲がコンディションに気を遣ってくれている部分もあるんですけど、そこで気を遣わせなくてもいいくらい、最後まで元気に走りたい気持ちはあります」と主張する10番は攻守に奮闘。前半はラインメールが1点をリードして、45分間が終了した。

 後半6分。奥山に見せ場が訪れる。右サイドを得意のドリブルで疾走。マーカーに掴まれながらも、前へ、前へと突き進み、最後はボールを失ったが、アグレッシブさを誇示してみせる。「マーカーが1枚イエローカードをもらっていたので、あそこで頑張らなくても、もうちょっとうまさを出して自分が倒れたら退場だったかも、ということも終わってから気付きました。でも、あの時はゴールしか見えていなかったので」。正直な言葉にプレースタイルと実直な性格が滲む。

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